『ダイビング・ベル――セウォル号の真実』特別公開プロジェクト演習

4月23日『ダイビングベル』特別公開プロジェクト演習チラシ

日時・場所

日時:2016年4月23日(土)14時~17時
場所:立命館大学衣笠キャンパス充光館301 (定員170名)

登壇者

特別ゲスト:アン・ヘリョン(『ダイビング・ベル』監督)
コメンテーター:江利川憲(シネ・ヌーヴォ代表取締役社長)・原祐介(立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員)
司会:竹中悠美(立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授)

主催

立命館大学大学院先端総合学術研究科

『ダイビング・ベル』紹介

2014年4月16日、476人の乗客を乗せた旅客船「セウォル号」が全羅南道珍島郡沖で沈没した。事故による死者は295人、行方不明者9人、捜索作業員は8人が犠牲になった。船には修学旅行中の檀園高等学校の生徒325人が乗船しており、若い多くの命を失った。韓国の国立海洋調査院によると、現場周辺に目立った暗礁はなく、当時の視界は良好、波高約1mと、航行の安全に影響するような自然条件はなかったという。
事故の原因は不法な過積載による重量オーバー、運航の困難な海域に船長が席を離れ経験未熟な三等航海士が舵を握ったことなどが挙げられている。事故発生時に乗組員が乗客を適切に避難させずに船室に留まるよう指示したのも、犠牲者を増やした原因として指摘されている。しかし、これほど多くの被害者を出した背景には、これだけでは説明しきれない現実があった。
事故から4日目、珍島の彭木(ペンモク)港に到着したイ・サンホ記者は、テレビや新聞の報道とは異なる”現実”を目の当たりにする。「史上最大の救助作戦」「178人のダイバーを動員」といった勇ましい当局の発表とは裏腹に、救助のできない海洋警察、責任を回避する政府、現実を伝えないメディア……。結局、時間をかけてゆっくりと沈み行く船を目の前に、救助もままならず死者は増える一方だった。セウォル号事件とは何だったのか。その真相を突き止める渾身のドキュメンタリーだ。(フライヤーより)

釜山国際映画祭と映画『ダイビング・ベル』

セウォル号事件のタブーに触れた本作は、2015年10月に行わた釜山国際映画祭でも波紋を広げた。釜山国際映画祭の組織委員長を務める釜山市の徐秉洙(ソ・ビョンス)市長が「釜山国際映画祭の発展のために、政治的な中立性を欠く作品を上映することは望ましくない」とし、本作の上映の中止を求めたのだ。映画祭のプログラムに対して行政の長が意見するのは前代未聞のことだった。すでに審査を経て上映が決まっている作品に対して市長が中止を求めるのは、言論弾圧であり表現の自由を脅かすものとして、映画界だけでなくメディア界からも非難された。結局、上映は行われ、チケットは完売。観客から多くの喝采を受けた。
しかし、今年2月、徐市長は上映に踏み切った組織委の李庸観(イ・ヨングァン)執行委員長を事実上、更迭した。釜山市が監査の過程に問題があったとし、李氏に辞任を要求したのだ。映画界は「報復人事だ」として大きく反発。同月25日に開かれた組織委の総会では、出席らが李氏の再任を求めたが、徐市長が強引に閉会宣言をし、総会を終了させてしまった。96年から20年の歴史があり、アジアの代表的な映画祭となっている釜山映画祭への政治の不当な介入に対しては、韓国だけでなく外国の映画界からも批判の声が挙がっている。(フライヤーより)

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