「分析哲学と芸術」研究会(2017年度)

院生代表者

  • 西川 秀伸

教員責任者

  • 吉田 寛

企画目的・実施計画

 本研究プロジェクトは、哲学と芸術学(本年度は音楽学)の最新の議論を研究することを通じて、美学、表象文化論の理解を深めることを目的としている。本年度は、現象学と音楽学で近年出版された二つの著作の輪読を通じて、哲学研究(現象学、とりわけフッサール)および作曲家研究(シューベルト)に習熟することを目標としている。
 加えて、両著作の著者である哲学者の植村玄輝氏(岡山大学専任講師)と音楽学者の堀朋平氏(国立音楽大学ほか非常勤講師)をお招きし、哲学および音楽学の研究と美学が出会う場面を講義いただく。植村氏には「現象学的態度と美的体験の関係(フッサールとホフマンスタール)」を、堀氏には「シューベルト歌曲分析の一視座――親友による新プラトン主義的古代観の形成」を、それぞれ論じていただく予定である。
 本プロジェクトの意義は複数ある。まず、各メンバーにとって、文献読解力を培うとともに、哲学と芸術学の最新の議論を理解する力を養うことである。次に、美学・表象文化研究というアカデミズムにとって、隣接領域の研究者の視点を導入することで、従来とは異なった視点から現象学的美学、歌曲分析をそれぞれ展開することである。

活動内容

  • 公開研究会

    日時:2017年11月19日(日) 14:00 – 17:00
    場所:立命館大学衣笠キャンパス 創思館403/404

    【当日のプログラムと要旨】

    14:00~14:50 堀朋平「音楽と反復――シューベルトとマゾヒスムの接点から」

    音楽において反復という事象は、文脈によって無際限の広がりを持つ。古典音楽のフィールドでいえば、シューベルトほど――創作・受容の双方で――反復の遍在が指摘されてきた作曲家は稀である。そこにはおよそ、(1)ミクロな音型の(演奏困難な)反復、(2)形式にかかわるマクロな(発展を阻害する)反復、(3)(おもに歌詞とかかわる)美的な反復、という3つのレベルが存在するといえよう。音楽解釈の学際化が著しいここ30年来、これら3層にわたって広く再検討が進んでいる。とくにレベル(3)では、「宙吊り」や「痛みの持続」といった観点からドゥルーズのマゾヒズム論を絡めた研究も提出されている。それらの研究への批判を足がかりとして、「反復強迫」を含めた美的な反復の意味論について風呂敷を広げ、ディスカッションの題材としたい。

    15:00~15:50 植村玄輝「現象学的態度と美的体験:フッサールと美学の接点?」

    まとまった著作というかたちでこそ議論を残してないものの、フッサールは美的体験にも哲学的な関心を示し、講義や草稿、そして書簡のなかで、それについていくらか立ち入って論じている。では、フッサールの美的体験論に興味深いところがあるとすれば、それは何か。本発表ではこの疑問に、以下の二つの話題を手掛かりにして暫定的な答えを与えたい。

    1. 1904/05年講義における像意識の現象学的分析(Hua XXIII, Nr. 1)。
    2. 1907年1月12日付ホフマンスタール宛書簡における、美的態度と現象学的態度の類似性の指摘(Hua Dok III/7, 133–136)

    16:00~17:00 全体討議

    (その後、懇親会を予定しております)

成果及び今後の課題

本研究会を通じて、現象学と音楽学における方法論を習得するとともに、ディスカッションの作法や研究会のオーガナイズ方法を各人が学ぶことができた。

構成メンバー

◎西川秀伸 先端総合学術研究科 3 表象
竹中悠 先端総合学術研究科 5 表象
後山剛毅 先端総合学術研究科 3 表象
安田智博 先端総合学術研究科 7 生命
森敬洋 先端総合学術研究科 1 表象
根岸貴哉 先端総合学術研究科 4 表象
西澤忠志 先端総合学術研究科 2 表象

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