映像人類学先端研究会

院生代表者

  • 福田 浩久

教員責任者

  • 小川 さやか

概要

 本研究会では 、多様化する複合的なメディア状況のなかでフィールドワークを考える。調査の手法としてペンで「書き取る」だけでなく、カメラやマイクなど多様な機材で「書き取り」、映像やCD、インスタレーション、ゲーム、SNS、VR、ARなど多様な媒体で成果を発表するマルチモーダル人類学がアメリカ人類学協会で提唱されたのが2017年である。こうした近年の傾向に鑑み、研究者がマルチモーダルな調査手法および成果発表を自身で遂行できるよう基礎的な能力を提供するのが本研究会の目的である。昨年度の研究会では映像に重点を置き、映像(マルチモーダル)人類学について「読む」「観る」「撮る」「編む」ことで考えてきた。今年度ではそもそもフィールドで調査をするということは何なのか、エスノグラフィーを「制作」するということは何なのかという人類学的研究の原点に立ち戻って考えたい。「制作」という概念は近年邦訳も刊行されたインゴルドの著作でも取り上げられているが、フィールドワークという行為そのものがフィールドワーカーと調査対象者たちの「制作」であるという原点に立ち返ることが、モードの多様化する現代において、一層欠かせないと考えるからである。

●参考文献:Collins, Durington, Gill, 2017 “Multimodality: An Invitation”. American Anthropologist. 119 (1): 142–146、インゴルド, 2017, 『メイキング─人類学・ 考古学・芸術・建築─』, 左右社

活動内容

  • New! ワークショップ「制作と人類学」
  • 立命館の映像人類学先端研究会では、このたび「制作と人類学」と題したワークショップを開催します。インゴルド 『メイキング』(2017 [2013])や上妻『制作へ』(2018)など、近年、人類学周辺で制作するということについての言及が盛んになってきていますが、講師には人類学と制作ということについて深く、長く、考えていらっしゃる『文化のなかの野性 芸術人類学講義』(2019 [旧装2000])の中島智先生をお招きします。一方的に話を聞いて頭で理解するというよりは、テーマに相応しく実際にフィールドに出て、身体で理解していただく演習になります。演習形式ゆえ、小人数の募集にはなりますが、ご関心の方は福田(isthisapen7[at]gmail.com〔[at]を@に置き換える〕)までご連絡ください。

    【タイトル】制作と人類学
    【講師】中島智 
    【日時】8/8(木) 13:00- 19:00頃
    【場所】立命館大学 衣笠キャンパス 創思館411号室
    【定員】10名
    【概要】制作空間としてのフィールドワークを考えたとき、求められるのはアノニマスな客観的手続きではなく、アノニマスな共制作ではないだろうか。そこでは表現されたものから表現されていないものを読み取っていく交感作用が看過できない。たとえば人類学者はインフォーマントたちが「表現しなかったもの」をみる。というのは、もし「表現したもの」のみに頼るのなら、彼らにカメラやノートを渡し、彼らに撮ったり自己申告してもらえば済むことだからだ。ある文化で自然化/無意識化されているものは、それを自然化していない余所者にしか見えない。制作、そしてフィールドワークは、そうしたアノニマスな位相(時間の外、空間の外)に身を置くことでもある。 

    構成メンバー

    ・福田浩久
    ・小田英里
    ・酒向渓一郎
    ・柴田惇朗

入試情報 先端研 刊行物 学術誌 プロモーションビデオ