生命論研究会(2025年度)

  • Qu Hongkin

教員責任者

  • 美馬 達哉

概要

〈生命〉というのは、もはや単なる生物学的事象の指示対象ではない。それは近代における知の制度的配置の中核を成しつつ、統治・倫理・経済・美学の諸領域を横断しつつ変容し続ける概念である。そして現代社会において、「生命」という語は、あらゆる領域を貫通するキーワードとして機能している。生殖医療、遺伝子工学、終末期ケア、気候危機、感染症管理、そしてAIといった領野において、生命はもはや自然的な事実だけではなく、制度的に定義され、政治的に管理され、倫理的に構築される対象へと変貌している。
 とりわけ、本研究会は以下の三点を柱とする。一、生命論の哲学的系譜の再検討:ベルクソン、カンギレム、フーコー、ドゥルーズ、モランらに代表される現代思想による生命論の展開を鳥瞰する。二、日本近現代思想における生命観の特異性の検討:澤瀉久敬らの仕事を手がかりに、近代日本における生命観の変容とその制度的・文化的条件を析出する。三、医療、教育、福祉、司法等における生命の定義と操作の実践、すなわち生命に対する介入の歴史的変遷に、総合的視点を導入しつつ検証する。
 

活動内容

構成メンバー

QU Honglin
OUYANG Shanshan
宮内 沙也佳
WANG Yusen
WANG Yuyang
徳永 怜
今井 友哉
山村 洸貴

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