2014年度:ビデオゲーム文化研究会

院生代表者

  • 彭 莱

教員責任者

  • 吉田 寛

企画目的・実施計画

本研究会は、ビデオゲームをはじめとするコンテンツ分野に関する歴史・変遷・現状を巡って、特にグローバルな視点から、既存のゲームスタディーズや視覚文化に対する理解を深めながら、将来性を検討することを目的としたものである。本研究会においては、個々分野の分析だけではなく、多数のコンテンツを横断的に概括し、今後のビデオゲームや視覚文化に関する研究の方向と課題の提出を試みる。また、申請者たちはこの研究会を媒介として、各分野に関心を持つメンバーの交流・支援のためのネットワークを構築することも目的として努めてきた。
各研究会では、他研究科や他大学の院生、学生たちも含めておよそ月一回の頻度で研究会を開催し、他研究科や他大学院の院生たち含めて幅広い見地から研究を深めていった。主な内容として、ゲームスタディーズ関連文献、特に今年度の研究会ではゲームスタディーズをこれから学んでいく参加者が多かったため、より基礎的なゲームスタディーズ、ゲームデザイン論の文献である、Katie Salen Tekinbaş, Eric Zimmerman; Rules of Play: Game Design Fundamentals: Massachusetts. The MIT Press, 2003.(『ルールズ・オブ・プレイ-ゲームデザインの基礎-上・下』(山本 貴光訳,ソフトバンククリエイティブ,上巻2011,下巻2013)を輪読、重要な章を要約して発表した。必要に応じて、原著や英語文献にも目を通した。輪読を進めつつ各研究分野に当てはめて具体的に考えることで、参加者の理解度を高めるとともに積極的に発言を行う事に勤めた。

活動内容

・第1回研究会 
日時:2014年7月17日(木)16時30分~19時00分
場所:創思館409号室
内容:初回では『ルールズ・オブ・プレイ』において特に参照される、「第7章 ゲームを定義する」(邦訳上巻収録)を中心に読み進めた。邦訳版と原著との翻訳のニュアンスの違いによる文章の読み方に気を付けて読み進めたほか、著者のジマーマンによるゲームの定義についての記述を読み進める中で、「ゲーム」と「遊び」との関係をどのように考えるべきか、「ゲーミフィケーション」といった、現実、即ち人工的でない空間に影響を与える遊び、ゲームはどのように定義すればよいかなどについて、それぞれが意見を出し合い、活発に議論を行う事が出来た。

・第2回研究会 
日時:2014年7月30日(木)13時00分~16時00分
場所:創思館411
内容:第2回目には本研究会のメンバーに加え、他大学の学生も参加した。参加者の提案により、同じくゲーム研究において参照され、また遊戯文化研究においても多分に関わるものである、「第9章 魔法円」(邦訳上巻収録)を中心に輪読した。この章における議論の原点である『ホモ・ルーデンス』(ヨハン・ホイジンガ原著,高橋英夫訳,中央公論新社 ,1973)も参照しながら読み進めつつ、魔法円という、遊びの始まりと終わりに関わる事について議論していく中で、魔法円という概念によるゲーム空間の構造に関する詳細及び、その理論を使う事の限界について理解することが出来た。

・第3回研究会 
日時:2014年10月27日(月)10時30分~13時00分
場所:創思館411号室
内容:参加者の提案により、1~2回で読み進めた内容を改めてまとめなおしたものと言える「第22章 ゲームを定義する」(邦訳下巻収録)の章を中心に読み進めた。本文中に依拠していたロジェ・カイヨワの『遊びと人間』(多田道太郎、塚崎幹夫訳、講談社、1990)の遊びの四分類の定義を参照しつつ理解を深めていった。その中で、「ゲーム」と「遊び」という言葉が持つ意味と、その定義がどのように今まで行われてきたのか、実際に我々はどのように扱えばいいのか、という問題と、「シリアスゲーム」のような教育にゲームを取り扱うといった、現実世界における「ゲーム」の利用は「遊び」と言えるのかどうかなど、「ゲーム」と「遊び」という言葉が持つ諸問題について活発に議論を深めることができた。

・第4回研究会 
日時:2014年11月25日(火)13時00分~16時00分
場所:創思館406号室
内容:参加者の提案により、今までの遊戯論、ゲームデザイン論の整理、分析が多い『ルールズ・オブ・プレイ』の中で、独自の主張を特に発信し、現代のゲームに関する言及が多いと思われる「第14章 創発システムとしてのゲーム」(邦訳上巻収録)の部分を中心に読み進めた。結果として、ジマーマンが提示した、新しいゲームやシステムが作られる中で生まれる、遊びの要素の「emergence(邦訳では創発)」に関する記述について理解を深めた。それを踏まえ、ビデオゲームにおける「遊び」の要素が如何に、どこで生まれるのか、また最終的にデジタルゲームとアナログゲームにおける創発の違いなど、ゲーム研究における、特にデジタルゲームに独自に存在するものを中心とした議論を深める事が出来た。

成果及び今後の課題

本研究会では特に原著を中心とした内容把握とともに、ゲーム研究における基礎部分を理解するため、詳細に章を要約し、またゲーム研究の前提となる遊戯論の基本文献も参照して読んでいく事を重視した。参加者が特に重視したい章を中心的に取り上げていく事で、参加者が活発に発言でき、よりゲーム研究についての理解を深める事が出来た。
当初は基本文献の中で『ルールズ・オブ・プレイ』だけではなく、様々な英語文献も読み進めて理解を進める事を予定していたが、結果としては『ルールズ・オブ・プレイ』の読解のみに留まってしまい、他の文献を読み進められなかったことが反省点に挙げられる。これからゲーム研究を進めていく参加者が、ゲーム研究の基礎を整理し、共通の理解を得た上で活発な議論を行えた事は本研究会の成果であると考えられる。
 今後もこのような研究会を行い、参加者間におけるゲーム研究に関する理解を深めつつ、これについてより議論を行う場を作る事を考えている。また、ただ読み進め、議論を進めるだけではなく、研究会での内容を踏まえた発表や、論文作成へと発展させていきたい。

構成メンバー

ホウ ライ(表象領域・2010年度入学・代表者)
リョウ ウキ (表象領域・2012年度入学・研究分担者)
川崎 寧生 (表象領域・2008年度入学)
シン ジュヒョン (表象領域・2014年度入学)
ショウ ガン (表象領域・2014年度入学)

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