2014年度:芸術経験と作品存在の哲学的解釈学研究

院生代表者

  • 山口 隆太郎

教員責任者

  • 竹中 悠美

企画目的・実施計画

本プロジェクトの目的は、ガダマー『真理と方法』の講読を通して、芸術経験や作品について論ずる際の解釈学的方法論を理解することであった。ガダマーの解釈学は20世紀ドイツにおける主要な芸術哲学であり、様々な芸術実践を例に作品の存在論を展開している。彼の解釈学的方法を理解することにより、構成員各自がそれぞれ研究対象にしている諸芸術に応用して、各自の研究を発展させることができると考えた。
本プロジェクトでは、昨年度に引き続き、講師として大阪歯科大学の石黒義昭先生を招聘して、助言を得ながらHans-Georg Gadamer; Wahrheit und Methode: Grundz?ge einer philosophischen Hermeneutik, J.C.B. Mohr, 1960(『真理と方法Ⅰ』轡田収他訳、法政大学出版局、1986)を原文に基づいて読解し、理論的背景の把握および主要な概念を理解することを目指した。また、構成員各自の研究課題にそった研究発表を行うことも予定した。

活動内容

・第一回研究会
日時:2014年7月19日(土)14時00分から18時00分
場所:朱雀キャンパス312号室
内容:石黒先生を招聘して、邦訳145頁から154頁を輪読し、関連する論点を議論した。
・第二回研究会
日時:2014年10月26日(日)14時00分から18時00分
場所:朱雀キャンパス313号室
内容:石黒先生を招聘して、邦訳154頁から166頁を輪読し、関連する論点を議論した。
・第三回研究会
日時:2014年12月8日(月)17時30分から20時30分
場所:衣笠キャンパス 創思館406号室
内容:これまでの講読箇所および関連するテーマについて議論した。鹿島がこれまでの要点について、高見澤が重要概念である「ミメーシス」について、報告した。根岸貴哉(表象領域)が「シラーの「遊戯」論」と題した報告を、焦岩(表象領域)がホイジンガの遊戯論を紹介し、ガダマーの「遊び」概念との比較がなされた。山口はガダマーが例示する演劇に関連して、「ギリシア悲劇からオペラへ」と題した報告を行った。
・第四回研究会
日時:2014年12月14日(日)14時00分から18時00分
場所:朱雀キャンパス312教室
内容:石黒先生を招聘して、邦訳166頁から175頁を輪読し、関連する論点を議論した。
・第五回研究会
日時:2015年2月16日(月)14時00分から18時00分
場所:朱雀キャンパス312教室
内容:石黒先生を招聘して、2月21日の研究会に向け、山口の発表草稿「アルフレッド・シュッツの音楽論における音楽経験――音楽作品・時間・リズム」を検討した。
・第六回研究会(文芸学研究会第57回研究発表会との共催)
日時:2015年2月21日(土)13時30分から18時00分
場所:朱雀キャンパス304教室
内容:山口「アルフレッド・シュッツの音楽論における音楽経験――音楽作品・時間・リズム」、里中俊介(大阪大学)「プラトン「詩人追放論」における快の問題」、竹中悠美「1930年代アメリカの災害表象における文学的救済と写真的呵責」の各発表が行われた。

成果及び今後の課題

本プロジェクトの成果として次の二点が挙げられる。第一に、ガダマー解釈学における基礎的な考察箇所を講読し、①「遊びSpiel」概念から芸術経験への橋渡しとして「観衆」が必要であること、②芸術作品とその経験という二分法ではなく、経験を媒介に浮かび上がってくる作品存在を考察すること、これらがガダマーの根底となる立場であることが確認できた。これらのことは、ガダマーが例示した演劇や音楽のみならず造形芸術においても重要な点であると思われるし、その点を随時ディスカッションすることができた。第二の成果として、講読で得た知見と関連するテーマを第三回および第六回研究会で議論することができたことが挙げられる。特に第三回研究会では、研究会構成メンバー以外の院生も参加し、「遊び」概念の広がりについて考える機会となった。
丁寧な読解と活発な議論が行われた反面、講読のスピードが遅かった点は反省すべきであろう。だからといって、やみくもに速く読むことが良いとは思われない。今年度の反省をふまえつつも、これまでの長所を無くさずに、解釈学の核心に迫るべく講読を続けていきたい。

構成メンバー

山 口 隆太郎(表象領域・2013年度入学・代表者)
鹿 島 萌 子(表象領域・2008年度入学)
川 﨑 寧 生(表象領域・2008年度入学)
角 田 あさな(表象領域・2008年度入学)
高見澤 なごみ(表象領域・2013年度入学)

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