芸術経験と作品存在の哲学的解釈学的研究

院生代表者

  • 根岸 貴哉

教員責任者

  • 竹中 悠美

企画目的・実施計画

 本プロジェクトの目的はハンス・ゲオルク・ガダマーの『真理と方法Ⅰ』(轡田収他訳、法政大学出版局、1986)の講読を、芸術経験や作品について論ずる際の解釈学的方法論を理解することであった。しかし、招聘予定であった講師の都合により困難になったため、代替講師として大阪大学名誉教授である上倉庸敬を招聘し、 エチエンヌ・ジルソンの『絵画と現実』(佐々木健一、谷川渥、山縣熙訳、岩波書店、1985年/11)の購読を進めることとなった。本書は、哲学の手法を用い、絵画を考察するためのものであり、芸術経験を哲学的に考察することを目的とする本研究会の趣旨に合致している。本書における「現存」概念や絵画作品の実在論の理解を通して、各研究分野への応用を目指した。

活動内容

  • 第1回研究会
  • 日時:2016年10月26日(水) 18時00分~21時00分
    場所:衣笠キャンパス究論館プレゼンテーションルームC
    内容:ガダマー『真理と方法』の60頁から80頁までの予習を行った。

  • 第2回研究会
  • 日時:2016年11月16日(水) 18時00分~21時00分
    場所:衣笠キャンパス究論館プレゼンテーションルームA
    内容:上倉先生を招聘して、エチエンヌ・ジルソン『絵画と現実』における現存(existence)概念について議論を行った。

  • 第3回研究会
  • 日時:2016年11月30日(水) 18時30分~21時00分
    場所:衣笠キャンパス究論館プレゼンテーションルームC
    内容:上倉先生を招聘して、『絵画と現実』における「物理的現存性」についての確認を行った。

  • 第4回研究会
  • 日時:2017年2月8日(水) 16時00分~19時30分
    場所:衣笠キャンパス究論館コミュニケーションルーム
    内容:上倉先生を招聘して、『絵画と現実』における「存在様態」に関連する点を議論した。

  • 第5回研究会
  • 日時:2017年2月11日(土) 16時30分~19時30分
    場所:衣笠キャンパス究論館プレゼンテーションルームC
    内容:上倉先生を招聘して『絵画と現実』における運動性・連続性の問題から、絵画作品と音楽作品の比較、検討を行った。

成果及び今後の課題

 本プロジェクトの成果としては、以下のものが挙げられる。第一に、哲学的な問題を通して、絵画作品の実在論について理解できた点である。物理的現存容態、芸術的美的現存容態といった絵画作品に関連する現存容態を確認した。そのうえで重要なことは、美的経験は存在の容態、客観存在の容態におおいに依存しているということであった。また、絵画作品における運動性問題を、「ラオコーン論争」などを例にとり、様々な美術史家、美学者の観点から考察した。
 これらの問題を各章、各文節ごとに英語、フランス文献などの原文、また背景となっている議論なども確認しつつひじょうに細かく購読を進めたことにより、哲学や芸術に関する知識を得ただけではなく、書籍の「読書法」の一助にもなった。くわえて、絵画と音楽の比較や、絵画における運動性の問題などを各参加メンバーの興味、関心や専門に近しい問題が取り上げられていたため、積極的な議論を行うことができた。
 その一方で、講読の速度が遅かった点は、昨年度から引き続き課題として挙げられる。今後も参加者の関心に合わせて十分な議論を行っていくことは、各自の研究の発展にとって要であると考える。

構成メンバー

根岸 貴哉(表象領域・2014年度入学)
向江 駿佑(表象領域・2015年度入学)
焦 岩(表象領域・2014年度入学)
髙見澤 なごみ(表象領域・2014年度入学)
西澤 忠志(表象領域・2016年度入学)

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