ゲーム実作検討会

院生代表者

  • 焦 岩

教員責任者

  • 吉田 寛

企画目的・実施計画

 本研究会ではゲームを社会の様々な側面においていかに活用できるのかという問題を趣旨とする。そこで、Gamificationの方向で日本語教育における学習成果を向上するという目的をもち、『ゲームデザイン手法を日本語教育プロセスデザインへの導入』というテーマで進めていく。諸参加者はその目的を達成するため、個々の知識を活用し、目的に関わる要素と問題を議論したうえでゲーム案を提出する。その案に沿うゲームシステムを実作し、実験をおこなう。この実験の結果に基づき、ゲームが社会で活用できることを証明する。
2015年度まで活動してきたゲームに関する研究会は、主に理論的な作業をおこなっている。しかし、ゲームを社会で活用するための実践的な研究も必要であると思われる。そのため本研究会は社会にゲームの知識を還元することに努め、最終的には実践をするデータと結果に基づいて理論を再検討することによって、理論と実践の連動的な知を得ることを目指す総合的な研究というところに意義がある。
 今年度における研究活動は10回の定例研究会を開催し、定期的に中間報告をおこなうことを予定している。また、シリアス・ゲームに関する研究をおこなっている韓国祥明大学校のユンヒョンソッブ先生に『ゲームの社会への価値』と題した講演とゲーム研究センターでの講演を二回でおこなっていただく。今年度の研究成果については、日本デジタル学会(DiGRA JAPAN)で発表する。そして、実作したゲームシステムを用いる実験をおこない、データと結果を集計し、目的を達成したのかを検討する。また、今年度の活動を整理し、学会への投稿論文を執筆する。

活動内容

構成メンバー全員が本年度,フィールドワークから整理事項をまとめ査読論文を執筆という状況になったため,研究成果を還元するためにも,充実したフィールドワークと論文完成に専念することとした。そのため,個人情報が多く含む事項であったため,フィールドワークや資料収集報告をまとめるための1回の研究会(2017年2月25日)非公開で行うにとどまった。
もっとも力を入れた各自のフィールドワークは次の通りである。

  • 定期例会
  • 第1回研究会
    日時:平成28年6月10日(金) 9:30~12:00
    場所:究論館
    内容:第一回では、全10回を予定している今後の研究会の予定、役割分担を決め、又、本研究についての参考文献の確認等を行った。

    第2回研究会
    日時:平成28年7月28日(木) 18:00~20:00
    場所:創思館 412教室
    内容:現在の日本語教育についてのプレゼンテーションを日本語教育研究科のメンバーが行った。
    発表者、議題は以下の通りであった。
    稲田 「国内外の多様な学習者」について
    山口 「日本語教授法について」について
    藤崎 「第二言語習得と学習」について
    廣田 「日本語の教科書、授業内で行われるゲームについて」について

    第3回研究会
    日時:平成28年8月2日(火) 10:00~12:20
    場所:創思館 405、406教室
    内容:韓国のゲーム業界の第一人者であるユン先生に来日頂き、講演会を開催した。
    研究会メンバー以外の方にも講演会に参加頂き、ユン先生が今まで、実践されてきた様々な分野におけるゲームの活用や、今後、考えられているゲームの多分野での活用の可能性を紹介頂き、参加者の方々との質疑応答を行って頂いた。

    第4回研究会
    日時:平成28年8月24日(水) 10:30~12:00
    場所:究論館
    内容:焦さんによる、ドイツ、Universität Leipzigにて8/15~17に開催された「Replaying Japan 2016」の報告をした。

    第5回研究会
    日時:平成28年9月23日(金) 15:00~16:00
    場所:究論館
    内容:「日本語教育システム」ゲーム案の検討
    焦さんが作成されたの「ゲーム要素を導入する日本語教育システム企画案(仮)」を元について、改善点等を議論した。

    第6回研究会
    日時:平成28年11月2日(水) 9:00~11:30
    場所:究論館
    内容:「日本語教育システム」ゲーム案の検討
    授業方針の確認と授業内容・授業の流れを決定、また、被験者の学生の集め方について検討した。

    第7回研究会
    日時:平成28年11月9日(水) 9:00~10:30
    場所:究論館
    内容:「日本語教育システム」ゲーム案の検討
    藤崎さんに諺・四字熟語の導入の模擬授業をしてもらった。

    第8回研究会
    日時:平成28年11月17日(木) 19:30~21:40
    場所:究論館
    内容:「日本語教育システム」ゲーム案の検討
    ・今後のスケジュールの確認
    ・授業で使用するテスト等の作成者の分担確認

    第9回研究会
    日時:平成28年12月14日(水) 9:30~10:30
    場所:究論館
    内容:日本デジタルゲーム学会に向けて参加形式、提出書類の確認等の検討と確認

    第10回研究会
    日時:平成29年1月18日(水) 9:00~10:30
    場所:究論館
    内容:
    日本語学校への協力依頼の進捗状況報告と日本語学校への説明資料の方向性の検討
    デジタルゲーム学会に提出する予稿原稿の方向性の検討

  • 上記毎月の定例研究会以外の臨時研究会
  • 日時:平成28年12月7日(水)9:00~10:30
       平成28年12月17日(土)9:30~12:00
       平成28年12月21日(水)9:30~12:00
       平成29年1月18日(水)9:30~12:00
       平成29年1月31日(火)20:30~11:00
       平成29年2月16日(木)9:30~12:00
       平成29年2月23日(木)9:30~12:00
       平成29年3月2日(木)10:00~12:30
       平成29年3月9日(木)10:00~12:00
       平成29年3月16日(木)10:00~12:00
       平成29年3月19日(日)18:00~22:00
    場所:究論館
    内容:参考文献についての輪読・発表・議論
    日本デジタルデジタルゲーム学会で発表する予稿作成
    日本デジタルデジタルゲーム学会で発表する本原稿作成
    平成29年3月20日(日)に実施する授業(実験)の内容の精査、準備

  • 本プロジェクトの実験(授業)
  • 日時:平成29年3月20日(月)9:00~12:30(実験実施)
    場所:究論館プレゼンテーションルームA・B
    内容:日本語学習者に対して本プロジェクトで作成した「ゲームデザイン手法を用いた日本語教育」の授業実施と被験者へのアンケート、インタビュー

成果及び今後の課題

 本プロジェクトの成果として以下の点が挙げられる。
ゲーム手法を用いた日本語教育をプロセスデザインし、そのシステムを平成29年3月11日(土)星城大学で行われた「日本デジタルゲーム学会」で論文発表を行った。
 また、本プロジェクトでデザインした日本語学習システム「王者の学習」を用いて大学生、大学院生、日本語学校生を対象に授業を実施し、そのプロセスデザインの有効性を確認する実験を行った。その実験は平成29年3月20日(月)に行ったばかりであり、まだ、実験で得られたデータの正確な検証、分析は行えていないが、参加者のインタービューやアンケートでは、本プロジェクトが目標としていた日本語学習におけるモチベーションのアップを実感したと回答をした被験者が多く見られ、今後の検証、分析で有効性を確認できる結果が期待できるのではないかと思われる。
 また、今回は先端総合学術研究科の院生2名と言語教育情報研究科の院生3名のというそれぞれの専門領域を超えたプロジェクトであったので、先端総合学術研究科の院生は専門外である日本語教育分野の知識を吸収でき、言語教育情報研究科の院生も専門外であるゲーミフィケーションの知識を得ることができた。
 また、博士課程の院生、修士課程の学生が一緒に研究することで、論文作成、学会発表等に不慣れな修士課程の学生が博士課程の学生から過程や手法を学べたことも大きな成果であると思われる。
 今度の課題としては、平成29年3月20日(月)に行った実験結果のデータの整理、分析を行いその効果の検証を行う。また、今回の実験およびその準備に際しての反省点等をメンバー間で話し合いの場を設け、今回の研究を実際に教育現場に導入するために、改善点の有無の検討を行う。
 また、このプロジェクトは平成29年3月31日にて修了となるが、引き続き、このメンバーで先日発表した「日本デジタルゲーム学会」での発表論文に、その後の実験実践やその結果を追加執筆し、「日本デジタルゲーム学会」への論文投稿を目指したい。

構成メンバー

焦 岩(表象領域・2014年度入学)
江 葉航(表象領域・2015年度入学)
廣田 恵美子(言語教育情報研究科日本語教育学・2016年度入学)
山口 美咲(言語教育情報研究科日本語教育学・2016年度入学)
藤崎 美津子(言語教育情報研究科日本語教育学・2016年度入学)<

先端研 刊行物 学術誌 プロモーションビデオ