エージェンシー研究会

院生代表者

  • 今里基(春季)→荒木健哉(秋季)

教員責任者

  • 小川さやか

企画目的・実施計画

近年の文化人類学における大きな変化としてアクター・ネットワーク論の浸透があげられる。例えば、B.ラトゥールは、近代的な認識論である、主体/客体、人間/非‐人間といった枠組みを批判し、人間と非‐人間間の対称性を強調する。こうした認識は、人間だけでなく「もの」にも主体性を認め、人間と「もの」が織りなす複雑なネットワークへと関心を向ける必要性を訴えた。今日の人類学における「存在論的転回」(ontological turn)の動きは、こうした理論の浸透の表れといえる。こうした研究動向におけるキーワードのひとつは「エージェンシー」である。人間/非-人間を問わず、対他的に作用する存在をエージェンシーとして把握することは、人類学における西洋的認識論を根本的に変革する可能性を秘めている。今後は、こうした観点から民族誌を記述することは不可欠になることが予想される。そこで本研究会では、①近年の人類学におけるエージェンシーに関する文献を読むことでエージェンシー研究についての動向を把握し、②これらの研究における課題を抽出、批判し、③自らの研究で応用可能にすることを目的とする。

活動内容

以下の日程で輪読会の実施。Daniel Miller Material Cultures(1999)とAlfred Gell Art and Agency(1998)の二つの文献を章ごとに担当者を決め翻訳し、研究会ではその翻訳を基にして議論をした。

2018年7月23日第一回開催 輪読する文献及び、担当者を決定
2018年8月3日第二回開催(担当 酒向)
2018年8月28日第三回開催(担当 荒木)
2018年9月11日第回開催(担当 小田)
2018年9月20日第四回開催(担当 八木)
2018年9月27日第五回開催(担当 今里)

成果及び今後の課題

本研究会で用いた、Material culturesArt and Agencyの二つの文献は邦訳されていないが、現在の人類学における物質文化論やエージェンシー論に強く影響を与えている文献である。その二つの文献を基にした議論を行い得られた知見は、今日の人類学内の理論動向の転重要な転換点の1つを研究会構成メンバーに再確認させ、フィールドワークを含む研究会構成メンバーの個々の研究活動に一定の貢献を果たした。引き続き研究会を行い、参加メンバーの都合から中途で終わった『Art and Agency』の翻訳、また『Material Cultures』や『Art and Agency』の議論が今日の人類学においてどのように受容され、批判されてきたかをめぐる議論を検討することを今後の課題としたい。

構成メンバー

・今里 基
・荒木 健哉
・八木 達祐
・小田 英里
・福田 浩久
・酒向 渓一郎

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