2011年12月22日 酒井直樹氏企画

繋争する〈共感〉をめぐって
―酒井直樹氏とともに2011年を考える―

チラシはこちら(PDFファイル)

2011年は、私たちの世界認識を揺るがす様々な出来事に満ちていたのではないだろうか。
「アラブの春」と称される中東・北アフリカでの民衆蜂起。3月11日の大地震と津波、その後の原発事故、そして事実を隠蔽する日本政府、電力会社、マスメディア、知識人たちの責任を問う無数のデモ、座り込み、直接行動、それらへの弾圧。米国における「Occupy Wall Street」ムーヴメントの発生と拡散。TPPをめぐる論争。「9・11」から10年、そして米軍によるビン・ラディン殺害。ソ連崩壊から20年……。
これらの出来事はそれぞれ独自の文脈や歴史的背景を持っており、それぞれの出来事を個別具体的に分析・検討することが不可欠だ。しかし、これらをつないでみると〈共感〉という繋争の力が浮き上がってくる。共感の輪がどのような力を持っているのか、既存の世界秩序をどのように揺るがしているのか、あるいは既存秩序の軋みを巧妙に隠蔽・補修してしまうものなのか。これらが本ワークショップにおける問いである。こうした問題意識について、酒井直樹氏(コーネル大学)と共に、主に東日本大震災以降の日本におけるいくつかの事象を手掛かりに考える。
東日本大震災後、日本各地、そして国境を越えて世界各地から被災地へ支援=共感の輪が広がっている。その一方で、「絆」や「がんばろう、ニッポン!」という曖昧な共感を促すスローガンが、日本政府や電力会社の責任や都市と地方の関係性などの浮かび上がった重要な問題を隠蔽するようにして流布していった。共感は、ある出来事に向き合おうとする情動であり、また、ある出来事によって浮かび上がった危機や責任の所在を隠蔽するものだ。共感は、人びとを繋ぎ、同時に既存の秩序や社会関係への争いの力をも生み出す。
私‐たちが、改めて痛切に認識しているであろう、〈共感〉が暴力であり、可能性でもありうるような、その繋争のあり様をめぐって、2011年の様々な出来事を振り返りながら討論をしたい。

日時:2011年12月22日(木)15:00~18:30
会場:立命館大学 衣笠キャンパス 学而館2F第2研究会室
内容
(1)問題提起
・青木 千帆子(立命館グローバルイノベーション研究機構 研究員)
・橋口 昌治 (立命館大学衣笠総合研究機構 ポストドクトラルフェロー)
・大野 光明 (立命館大学先端総合学術研究科 一貫制博士課程)
(2)酒井直樹氏からの応答
(3)フロア参加者を含むディスカッション
※司会 本岡大和(立命館大学先端総合学術研究科 一貫制博士課程)
参加費無料・事前申込不要

会場アクセスマップ
主催:立命館大学先端総合学術研究科公募研究会
「東アジアの近代と帝国主義的人種主義の批判的再考」
連絡先:ja072046[あっと]ed.ritsumei.ac.jp(本岡)
↑[あっと]を@に変更ください。

≪酒井直樹氏プロフィール≫
1946年生まれ.東京大学文学部卒業.シカゴ大学を経て,現在コーネル大学教授.日本思想史、文化理論、比較思想論、文学理論、を専攻.
著書に『死産される日本語・日本人』(新曜社),『日本思想という問題』(岩波書店),『〈世界史〉の解体』(西谷修との共著),『過去の声』(以文社),『日本/映像/米国』(青士社),『希望と憲法』(岩波書店)など.

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