マイノリティとマジョリティのディスコミュニケーション研究会 「ただ存在するだけでいい/他者との関わりの 中に自分の生きるをつないでいく」

「ただ存在するだけでいい/他者との関わりの 中に自分の生きるをつないでいく」

 
開催日時・会場
2023年9月30日(土)14:00~16:00
会場:Zoom ※13時45分以降入室可能
※文字情報保障を行います
 

講師:福田暁子(ふくだ あきこ)氏
東京在住の盲ろう者。現在内閣府障害者政策委員会委員、東京女子大学非常勤講師(「ダイバーシティとコミュニケーション」)などを務める。コミュニケーション方法は触手話が中心。使用文字は点字。多発性硬化症のため人工呼吸器と電動車イスを使用。

<講演会の内容>
見えず聞こえない盲ろう者は他者とのコミュニケーションをどのように経験しどのように捉えているのか。通訳・介助者やヘルパー、他の障害者との関わりの中で感じることを福田氏に語ってもらう。

<プログラム>
14:00 開会挨拶 大谷いづみさん(立命館大学生存学研究所 所長)
14:05 講演 講師・福田暁子さん
テーマ「ただ存在するだけでいい/他者との関わりの中に自分の生きるをつないでいく」
質疑応答
15:55 閉会挨拶 飯田奈美子さん(立命館大学衣笠総合研究機構 専門研究員)

〇参加申込
9月28日(木)までに下記フォームから参加の申し込みをお願いします。
https://forms.gle/uCxxd5xrg3FhAHEQ6
登録後、ZoomのURLを後日メールにて送付いたします。

〇共催
立命館大学生存学研究所

問い合わせ:種村光太郎
gr0529kp@ed.ritsumei.ac.jp

ドミニク・ウィルキンソン教授とのラウンドテーブル

ドミニク・ウィルキンソン教授とのラウンドテーブル

 
◇開催日時
 2023年10月12日(木)16:20~18:40(最大19:00)
 
◇開催場所
 立命館大学創思館3階(303・304)+Zoom配信

会場および資料準備の都合がありますので、現地で参加される方は、10月6日(金)までに下記にお申し込みください。
https://forms.gle/uLFgcePfkmqmRfhZ7
 
▼Zoomで参加の方は、当日、以下からお入りいただけます。
https://ritsumei-ac-jp.zoom.us/j/99556028492?pwd=Y1A1T1RZMEVvVEp4NDlJK2RLaEE4dz09
ID: 995 5602 8492  パスコード 000000

▼日本語での要約的な通訳あり

 

◇プログラム
座長 美馬達哉

第1部 “日本の終末期医療”
16:20 –
田中美穂(日本医師会総合政策研究機構主任研究員・立命館大学大学院博士後期課程学生)
“The feeling of being a burden to others at the end of life: focusing on policy and social/cultural characteristics in Japan”
「終末期における他者への負担感:日本の政策と社会・文化的特徴に着目して」
16:40 –
ディスカッション

第2部:”苦しむ子どもの倫理”
17:10 –
ウィルキンソン教授によるショートプレゼンテーション
参加者は、対象論文である下記に目を通しておいてください。
対象論文
Wilkinson, D. and Zayegh, A. (2020) Valuing life and evaluating suffering in infants with life-limiting illness. Theoretical Medicine and Bioethics 41:179-196. https://doi.org/10.1007/s11017-020-09532-x
「生命を脅かす病気を有する乳幼児における生命の価値と苦痛の評価」
参考文献
Turnham, H. and Wilkinson, D. (2022) Chapter 24 Ethical Issues and Decision Making for Children: A European Perspective, in K. Wasson, M. Kuczewski (eds.), Thorny Issues in Clinical Ethics Consultation, Philosophy and Medicine 143. https://doi.org/10.1007/978-3-030-91916-0_24
Brick C, Kahane G, Wilkinson D, et al. (2020) Worth living or worth dying? The views of the general public about allowing disabled children to die. J Med Ethics 46:7–15. https://doi:10.1136/medethics-2019-105639

17:30 –
ディスカッション
コメント
笹月桃子(西南女学院大学保健福祉学部)
高橋花子(同志社女子大学看護学部看護学科・立命館大学大学院博士後期課程学生)

18:30 –
閉会の辞
田坂さつき (立正大学文学部)
 

◇ウィルキンソン教授の略歴
ドミニク・ウィルキンソン氏はオックスフォード大学の医療倫理学教授であり、オックスフォード上廣実践倫理センターの医療倫理学部長兼副所長である。オックスフォード大学ジョン・ラドクリフ病院新生児集中治療コンサルタント。ジーザス・カレッジ・オックスフォード上級研究員。
 

◇謝辞
本会議は、科学研究費補助金・学術変革(A)「尊厳学の確立」(2023-2027)の助成を受けて開催する。
 

主催:学術変革領域A「尊厳学の確立」(領域代表者:加藤泰史)
共催:基盤B「生命操作の倫理ー生と死の自己決定をめぐって」(研究代表者:田坂さつき)、立命館大学先端総合学術研究科、立命館大学生存学研究所

シンポジウム・社会防衛と自由の哲学をめぐって


プログラム

※クリックでPDFファイルダウンロード

企画趣旨

 コロナ禍によって前景にせり出した公衆衛⽣と個⼈の⾃由との相克という問題は、古くて新しい哲学的問いである。古代から繰り返されてきた疫病を前にして、「社会を防衛しなくてはならない」という思想はいかにして⽣まれ、集団での予防と個⼈の⾃由のせめぎあいはどのように論じられたのか。さらには、病原体、マスク、ワクチン、治療薬、患者、健康⼈、医療者、統計データが織りなす世界の多様性を、哲学はいかにして思考できるか。倫理学的であると同時に、存在論的な問題設定のアリーナがそこに開かれる。
 この企画では、丸善から出版予定の『講座新哲学8巻 社会防衛と⾃由の哲学』(責任編集:美⾺達哉、総編集:森下直貴先⽣)の著者(⽟⼿先⽣、⻄迫先⽣、佐々⽊先⽣、浜⽥先⽣)に加えて、児⽟先⽣にもご参加いただいて、公衆衛⽣について⼈⽂社会学的な議論を深めることを⽬的としている。
 シンポジウムに先⽴って、関連した内容の研究を⾏っている⽴命館⼤学先端総合学術研究科の院⽣による発表も⾏う。

日時・場所

日時:2023年8月31日(木)13:40開始 18:00終了予定
会場: 立命館大学衣笠キャンパス 創思館4F 407・408
ハイブリッド方式開催・対面参加要申込
キャンパスマップ
https://www.ritsumei.ac.jp/campusmap/kinugasa/
対面参加申込フォーム(〆切:8月30日21時)
|閉会後情報交換会に参加希望の場合、申込
フォームにご一報ください|
https://forms.gle/Rx8V6PhRKP78DeUx8

ZOOM参加のみ事前申込不要。
ミーティングID: 992 0296 4703
パスコード: 000000

主催:医療社会学研究会
共催:立命館大学大学院先端総合学術研究科、立命館大学生存学研究所

 

プログラム

Ⅰ 研究発表
13:40
キョク コウリン[立命館先端研 院生]
「語られる黴毒」

14:10
オウ ユウシン[立命館先端研 院生]
「中国における献⾎事情」

Ⅱ シンポジウム
15:00
美馬達哉[立命館大学・教授]
「趣旨説明」

15:10
玉手慎太郎[学習院大学・教授]
「公衆衛生の倫理」

15:40
西迫⼤祐*[沖縄国際大学・准教授]
「公衆衛生の哲学」

Ⅲ 指定コメント
16:10
浜⽥明範* (⼈類学)
[東京大学・准教授]

16:25
児玉聡* (倫理学)
[京都大学・教授]

16:40
佐々木香織 (STS・社会学)
[札幌医科大学・教授]

Ⅳ 総合議論
17:00-18:00

*Zoom参加

立岩真也先生関連情報

「立岩真也先生を偲ぶ会」アーカイブ

 立岩真也氏は先端総合学術研究科で22年間にわたり教員として活躍し、2023年7月31日に62歳という若さで亡くなりました。大学院教育への貢献は大きく、病床にいながらも院生の指導に尽力されていました。
 研究面では、グローバルCOE「生存学創成拠点(2007-2011)」の拠点リーダーを務め、その後継となる生存学研究センターのセンター長、生存学研究所(2019-)の初代所長としても活躍されました。また、2023年には、立命館大学を代表する先進的研究者RARAフェローとしての活動を新たに始められたばかりでした。
 立岩真也氏にご縁のあった方々が集い、氏のご功績を偲びたいと存じます。

 
◇開催日時・会場
2024年1月27日(土) 11時00分 (開場10時30分)~12時10分
於:立命館大学朱雀キャンパス 5F 大講義室
 
◇会次第
●開会の辞
〈司会〉 立命館大学 後藤基行(先端総合学術研究科・准教授)
●あいさつ
〈主催者代表〉同 生存学研究所所長 大谷いづみ(産業社会学部・教授)
〈共催者代表〉同 副学長      徳田昭雄(経営学部・教授)
〈同僚代表〉 同 副学長     松原洋子(先端総合学術研究科・教授)
〈修了生・大学院生代表〉      戸田真里(先端総合学術研究科修了)
●名誉教授称号授与
●閉会の辞
〈当会実行委員会代表〉同 美馬達哉(先端総合学術研究科・教授)
 
◇配信アーカイブ
 こちらからご視聴ください。
 
 
主催:立命館大学大学院先端総合学術研究科、立命館大学生存学研究所
共催:立命館大学研究部
 
 

障老病異アーカイブズ・プロジェクト
立岩真也所長の遺志を未来に

 立岩先生が所長を務めた生存学研究所では、現在クラウドファンディングを実施しています。
 こちらからご覧ください。

『現代思想2024年3月臨時増刊号 総特集=立岩真也』

『現代思想』2024年3月臨時増刊号 総特集=立岩真也 -1960-2023-
『現代思想20243月臨時増刊号 総特集立岩真也』
ISBN 978-4-7917-1460-5
「生存学」の思想と実践

「障老病異」を抱え、人びとがともに生きて在ることを思考してきた社会学者・立岩真也。「生存学」を基盤とする、アカデミアと当事者、支援者が手に手を取り合う基盤はどのようにつくられ発展していったのか。『生の技法』や『私的所有論』に始まる立岩自身の、また立岩との協働によって練り上げられた仕事を総括し、またそのバトンを引き継ぐための総特集。
先端研関係者も多数寄稿しております。

院生プロジェクト2023スタートアップ報告会

Public-Inclusion-Research-Project

Public-Inclusion-Research-Project
 

マイノリティとマジョリティのディスコミュニケーション研究会(MMD研)

日中社会の生と死ポスター
 

フランス現代思想研究会

フランス現代思想研究会
 

「少数者と教育」研究会

「少数者と教育」研究会
 

「障害者と労働」研究会

「少障害者と労働」研究会
 

ゲーム研究基礎文献講読会

ゲーム研究基礎文献講読会
 

「アート/クラフト」研究会

「アート/クラフト」研究会
 

近現代芸術論研究会

近現代芸術論研究会
 

ソーシャル・プラクティスとアート研究会

ソーシャル・プラクティスとアート研究会
 

映画・テレビドラマ映像分析研究会

映画・テレビドラマ映像分析研究会
 

incurable研究会

incurable研究会
 

家庭内・親族間等における人権問題研究会

家庭内・親族間等における人権問題研究会
 

食の文化変容研究会

食の文化変容研究会
 

SOGI研究会

SOGI研究会
 

2022年度博士論文・博士予備論文構想発表会

2022年度 博士論文/博士予備論文構想発表会

先端研では、博士予備論文(修士論文に相当)・博士論文の構想発表会を行なっています。
構想発表会は、プロジェクト型教育・学際的研究を推進する先端研ならではの、多様な関心をもつ院生・教員・研究者らが集う貴重な機会です。ぜひこの場に参加して、先端研の魅力を体感してみてください。

2022年度 秋学期 博士論文/博士予備論文構想発表会
論題・スケジュール

開催概要
日時:2023年2月8日(水)
会場:立命館大学 衣笠キャンパス 創思館カンファレンスルーム

2023年2月8日(水)

  • 13:00~13:50 <博士>(公共)「教育・労働における「多様性と包摂」を阻むもの──日本の障害教員運動の歴史から」
  • 14:00~14:50 <博士>(公共)「生活の場における看護師の専門性」
  • 15:00~15:35 <予備>(表象)「“動かない”肥満表象の再検討」

2022年度 春学期 博士論文/博士予備論文構想発表会
論題・スケジュール

開催概要
日時:2022年7月23日(土)~7月25日(月)
会場:立命館大学 衣笠キャンパス 創思館カンファレンスルーム

2022年7月23日(土)

  • 10:40~11:15 <予備>(公共)「外国人労働者問題と外国人技能実習制度の変遷─制度の展開と受容のされ方─」
  • 11:20~11:55 <予備>(表象)「『監獄の誕生』における監獄の失敗とその存続――監獄の批判者達の真理と権力への従属に着目して――」
  • 12:05~12:40 <予備>(公共)「知的障害者の高校進学-北村小夜のたたかい-」
  • 14:10~14:45 <予備>(表象)「九鬼の「可能性」に着目し、九鬼哲学の美と目的の両義性を統合的に解釈する」
  • 14:50~15:25 <予備>(公共)「聴覚障害学生支援は、聾者の困難をどのように軽減させているのか」
  • 15:35~16:10 <予備>(共生)「人間同士の触れ合いにおける性的快楽の生成」
  • 16:20~17:10 <博士>(公共)「希少性皮膚難病を抱えて生きるということ―表皮水疱症者たちを巡る社会構造の実態―」

2022年7月24日(日)

  • 10:00~10:35 <予備>(生命)「中国における血液政策と組織の変遷(1949-2020)」
  • 10:40~11:15 <予備>(公共)「子供を産む意味 -中国の代理母を例として-」
  • 11:25~12:15 <博士>(生命)「近代日本における結核管理――病原菌と人間との関係をめぐる歴史研究」
  • 13:45~14:20 <予備>(公共)「トランスジェンダー男性の子を持つ親の“経験”と社会的背景」
  • 14:25~15:15 <博士>(公共)「神経難病の人びとの暮らし――入所施設を出て地域で暮らす」

2022年7月25日(月)

映画・テレビドラマ映像分析研究会(2023年度)

院生代表者

  • 荒木 慎太郎

教員責任者

  • 竹中 悠美

概要

本研究プロジェクトは、映画と近年研究され始め活発に研究されるようになったテレビドラマに焦点を当てる。
映画とテレビドラマが相互に影響しながらどのように発展してきたのか、またテレビドラマが独自の価値を獲得し映画とは違うものとして成立していくのかを検討し、映像作品を脚本や監督・演出といった制作の面から分析する能力を向上させることを目的とする。
本研究会は映像作品を鑑賞し、ディスカッションを行うことが基本的な様式となる。多様な視点からディスカッションを行うことで、専門を超えて新たな気づきが生まれることに期待する。講師を招聘し、専門的な分野からの意見とご教授をいただくことで、映像作品を理論・実践の面から検討することも行う。ゲスト講師は映画美学と映画実践に精通する大阪大学名誉教授の上倉庸敬先生を予定し、制作分野など他のゲスト講師の方にも交渉中である。
映画の都市である京都は、歌舞伎などの大衆娯楽とも関係性が深い。映画もその始まりは劇場のひとつの演目であり、娯楽文化は鑑賞する環境変化の歴史でもある。テレビの登場と普及によってお茶の間を中心とした娯楽鑑賞が中心となり、かつて娯楽の中心であった映画館は減少し、大型化していく。小さな映画館の運営はコロナ禍によってさらに厳しいものとなるが、近年「コミュニティシネマ」など、新たな映画との関りや鑑賞の形が提案されている。映像作品を分析する能力を向上させるとともに、京都という劇場文化の残る都市の利を活かし、鑑賞の様式についても検討することで、映像文化についての見識を広めていく。現在、地域コミュニティーとシアターの新しい形について検討するために、京都芸術大学大学院芸術研究科准教授の今井隆介氏と西舞鶴のミニシネマを調査する計画がある。京都映画祭や大阪アジアン映画祭など、映画と劇場に触れることのできる映画祭への参加も検討する。
本研究会の意義は、映画とテレビドラマを、脚本や監督の作風といった制作の面から検討することである。加えて、見るという映像文化における鑑賞とその様式に注目することは、劇場・茶の間・個室・スマートフォンと個人視聴の性質を強めていく鑑賞環境とスクリーン、そのショットの関係など作品を分析し検討するための糸口になる。

活動内容

・第一回研究会
日時:2023年9月28日(木)16時~19時
場所:創志館408
内容:上倉庸敬先生(大阪大学名誉教授)を招聘し、デヴィット・ボードウェル『小津安二郎 映画の詩学』第三章の読書会を行った。継続して購読を行うために、整理を行いながら、第三章の精読を行った。

・京都映画祭「中島貞夫監督 追悼企画」鑑賞会
日時:2023年10月13日(金)13時20分~20時
場所:よしもと祇園花月劇場
内容:よしもと祇園花月劇場にて行われた京都映画祭に参加し、「中島貞夫監督 追悼企画」の『893愚連隊』『狂った野獣』『日本暗殺秘録』の鑑賞を行った。劇場という鑑賞環境と鑑賞の様式を体験することで、鑑賞環境やスクリーンの重要性を再認識することができた。

・第二回研究会
日時:2023年10月26日(木)16時~19時
場所:創志館408
内容:上倉庸敬先生(大阪大学名誉教授)を招聘し、デヴィット・ボードウェル『小津安二郎 映画の詩学』第四章の読書会を行った。ボードウェルの指摘する、小津作品のシュジェートとファーブラの組織化の原理について理解を深め、上倉先生にご教授をいただいた。

・第三回研究会
日時:2023年12月7日(木)16時~19時
場所:創志館412
内容:上倉庸敬先生(大阪大学名誉教授)を招聘し、デヴィット・ボードウェル『小津安二郎 映画の詩学』第五章の読書会を行った。ボードウェルの指摘する、小津作品の「Style 文体」の外在的規範・内在的規範を中心に理解を深め、上倉先生にご教授をいただいた。

・第四回研究会
日時:2023年12月21日(木)16時30分~19時
場所:創志館408
内容:イングマール・ベルイマン監督『仮面/ペルソナ』(1960)を鑑賞し、ディスカッションを行った。スーザン・ソンタクのペルソナ論を扱いながら、議論が展開された。

・第五回研究会
日時:2024年2月8日(木)16時~19時
場所:創志館312
内容:上倉庸敬先生(大阪大学名誉教授)を招聘し、デヴィット・ボードウェル『小津安二郎 映画の詩学』第六章の読書会を行った。ボードウェルの指摘する、小津作品の外在的規範・内在的規範を引き続き扱いながら、ボードウェルの述べる自由と秩序について理解を深め、上倉先生にご教授をいただいた。

成果及び今後の課題

 本研究会を通じて、読書会においてはデヴィット・ボードウェル『小津安二郎 映画の詩学』で論じられている映像論(小津論)について理解を深めることができた。映画の題材や主題、スジェートとファーブラ、スタイル(文体)など、ボードウェルの指摘する小津映画に対する理解を深めることで、映画作品を読み解く力を養うことができた。映像作品の鑑賞会においては、学内での作品鑑賞に加えて京都映画祭の上映に参加することができ、個人視聴とは異なる劇場での鑑賞の形態には、本来笑うはずのない場面で笑いが起こるなどの劇場という場の観客間で共有される特殊な見られ方があることが改めて分かった。読書会と作品鑑賞を行うことで、テクストと作品のヴィジュアルの双方を参照しながら映像理論の理解を深めることができた。
 京都映画祭の上映会に参加し、劇場という鑑賞環境やその観劇様式を調査することはできた。しかし、計画していた研究会としてコミュニティシネマを調査し、映画の上映と楽師によるピアノ伴奏という無声映画の観劇様式に触れ鑑賞環境について議論と検討を行うことはできなかった。
 メンバーと意見交換を行いながら、映画やテレビドラマという垣根にとらわれず、映像作品と映像理論についての理解を深めることを目的とし、一定の成果を得られたと考える。研究会の活動を通じて、メンバーそれぞれが自身の研究分野と映像文化の関係性を明確化して研究活動に取り組んでいくことで、研究会の質の向上が期待できるという今後の活動と取り組み方の気付きを得た。今後はメンバーの研究内容についても意見交換を行い、理解を深めながら、映画やテレビドラマといった映像作品についての理解を深め、実践も行えるように研究活動を行っていきたい。

構成メンバー

荒木慎太郎
西川秀伸
嶋津麻穂
宮内沙也佳

活動歴

2022年度の活動はコチラ

ソーシャル・プラクティスとアート研究会(2023年度)

院生代表者

  • 藤本 流位

教員責任者

  • 竹中 悠美

概要

本研究プロジェクトの目的は、現代美術に関する文献を用いた講読会を通して、とりわけ2000年代以降により社会的実践として問われている現代美術の在り方についての知見を深めるということである。具体的な内容については以下の通りである。2023年6月から2024年2月にかけて美学・芸術学に関連した研究を行なっている院生メンバーを中心として月2回の定期研究会を開催する。定期研究会では、同院生プロジェクトの昨年度の講読文献であった『ラディカント』(2022年、フィルムアート社)の著者であるキュレーターのニコラ・ブリオーによる『The Exform』(2016年、Verso)を取り上げ、その文献内容をまとめたレジメを用いた発表形式で講読会を進めていくものとする。さらに、この定期研究会と並行して、関西圏の美術館・アートフェアを対象としたフィールド調査と、その調査報告会を実施し、より実践的な場における研究者としての審美眼を訓練していくものとする。本研究プロジェクトの意義は、美学・芸術学を中心とする、多様な研究対象からなる学際的な院生メンバーによって、2000代以降の現代美術のなかで注目される「ソーシャル・プラクティス」としての現代美術作品とそこで駆動している理論についての議論を行なうことである。これによって、院生メンバーのそれぞれの研究領域のなかで前提とされる理論や先行事例を共有することで、各専門分野だけにとどまることのない幅広い知見の獲得を狙っていく。また、それに加えて、講読会・報告会を通したレジメの制作・調査報告発表などの、全般的な研究発表に必須とされる実務的な演習を重ねることで研究者としてのスキルアップを目指すことも本研究プロジェクトの意義の一つである。

活動内容

第一回研究会
日時: 2023年7月18日
場所: オンライン(Zoom)
内容: ニコラ・ブリオー『The Exform』イントロダクションの講読。

第二回研究会
日時: 2023年10月28日
場所: 国立京都国際会館
内容: アートフェア「Art Collaboration Kyoto」のフィールド調査。

第三回研究会
日時: 2023年10月30日
場所: 究論館プレゼンテーションルームC
内容: 第二回研究会で実施したフィールド調査についての検討会。

第四回研究会
日時: 2024年1月6日
場所: 究論館1F
内容: ニコラ・ブリオー『The Exform』第1章の講読。

成果及び今後の課題

 本研究会は、現代美術、デジタルメディア、現代思想などの領域を研究対象とする院生メンバーが集まったことから、文献講読、フィールド調査の検討会においても、それぞれの関心が切り口となるような事例、コメントを議論に取り入れることができたと言える。ブリオーの文献資料もフランス現代思想の複雑な文脈に依拠した章があったことから、専門的な知見を持つ院生メンバーとともに講読を実施できたことは非常に有意義であった。しかしながら、講読会にせよフィールド調査にせよ、スケジュール調整などの都合によって昨年度よりも研究会の開催数が減少してしまった。そのため、研究会のなかで文献講読を定期的に実施するためのスケジュール調整に工夫が必要であると思われる。

構成メンバー

藤本 流位
Kyo KIM
北村 公人
高畑 和輝

活動歴

2022年度の活動はコチラ

フランス現代思想研究会(2023年度)

院生代表者

  • 北村公人

教員責任者

  • 小泉義之

概要

本研究プロジェクトの目的は、フランス現代思想に関する文献を用いた購読会を通じて、分野の知見を深め、研究者としてのスキルアップを目指すことである。具体的な内容としては、2023年6月から2023年2月にかけて、関連研究を行うメンバーによる月例の研究会を実施し、文献の購読とレジュメ作成を行ない、発表形式で購読会を進めていく。さらに、秋学期以降は公開研究会を開催し、フランス現代思想を専門とする講師を招聘し、より専門的な講義とディスカッションを行う。
本研究プロジェクトの意義は、以下の通りである。
1. フランス現代思想分野における知見の深化:文献の購読とディスカッションを通じて、フランス現代思想の理論やアイデアについてより深い理解を得ることができる。
2. 研究者としてのスキルアップ:レジュメ作成や研究発表を通じて、研究方法や論理的思考力など、研究者として必要なスキルを向上させることができる。
3. 学外講師との交流:公開研究会を通じて学外の専門家と交流し、専門的な知識や視点を得ることができる。

活動内容

フランス現代思想研究会

<公開研究会テーマ>
ドゥルーズ+ガタリのマイナー文学的戦略から問う人文知の「出口」

<開催日時・会場>
【第一弾:思想編】

2023年11月5日(日)13:00~16:00(開場:12:30)
会場:立命館大学 衣笠キャンパス 究論館 プレゼンテーションルーム
ゲスト講師:小林卓也氏(ソトのガクエン代表)
講演「知と実践を(再び)結びつけるもの ——ドゥルーズ+ガタリ『カフカ』的マニエリズムから」

【第二弾:創作編】
2023年11月25日(土)13:00~16:00(開場:12:30)
会場:立命館大学 衣笠キャンパス 究論館 プレゼンテーションルーム
ゲスト講師:髙橋耕平氏(アーティスト)
講演「切断のあとで ——2000年代の自作をめぐって」

<公開研究会のコンセプト>
【第一弾:思想編】

冷戦の終結以降の時代において、人文知は実践的な価値を見失い、今日では役立たない知識に成り下がったと見なされることも少なくありません。そのような現代の状況下でもなお人文系の道を選ぶ者は、この時代の変化に適応するための生存戦略を探らざるを得ないと言えるでしょう。

つまり、私たち大学院生は、「博士論文を書く」という目標をクリアするだけにとどまらず、「その研究内容を社会にどのように還元するか」を考えることが求められているわけです。

そのような時代状況の要請に応えるのはもちろんのことですが、さらに私たちが所属しているのは一般的な大学院ではなく、「先端総合学術研究科」です。したがって、一般的な大学で行われているような、研究テーマとなる分野の専門的かつ最新=「先端」の情報に精通するだけでなく、情報を領域横断的=「総合」的に判断する能力を鍛え、さらにそこから新たなフロンティア=「出口」(D+G『カフカ』でキーワードとなる語です)を開拓し、社会的な実践を思考することが、ここ、「先端」「総合」学術研究科では求められているわけです。

では、そのような「出口」を見出すにはどうしたら良いのか。
今回の公開研究会第一弾では、ドゥルーズ研究者として現在は京都産業大学で教鞭を執りつつも、その「ソト」で、私塾「ソトのガクエン」を運営している小林卓也さんをお呼びし、自身の「出口」である私塾の活動と、研究の関係性についてお話ししていただきます。その上で全体討議として、これまでに研究会で行った『カフカ』の議論をもとに、「自身の研究成果を社会的に役立つ形でどのように活用していくのか」という問題を、さらに深掘りします。

【第二弾:創作編】
ドゥルーズとガタリは『カフカ』において、カフカの創作について議論しており、特に、(例えばラカンにおける「ファルス」のような)特権的な意味作用から逃走すること、つまりは、(芸術)作品に対して一つの固定的な解釈を生み出そうとするあらゆる試みを妨害することがひとつのテーマになっています。

ドゥルーズとガタリによれば、カフカ作品というのは、例えば「カフカ=不条理文学」といったレッテルを貼り、一義的に解釈することを求めているのではないと言います。そうではなく、カフカ作品が私たちに提案しているのは、むしろ「解釈」という凝り固まった意味作用の結びつきをほどき、新たな「地図」を見つけ出す実験をしている(=「マイナー文学」と呼ばれます)と言うのです。

このドゥルーズとガタリのカフカ読解から、本研究会で議論になったのは、カフカのような「一義的な解釈や意味作用からの逃走」という実践は、カフカ以外であればどのようなものが当たるのか? また、この戦略というのは実際にはどのように応用可能か?ということです。ここでは特に、時間芸術である映像作品に着目し、議論しました。

そこで、今回の公開研究会第二弾では、京都を拠点に活動するアーティストの高橋耕平さん(映像を反復・複製することから発生するズレをテーマにした作品で知られる)をお呼びし、高橋さんのご自身の作品や、創作活動のプロセス等についてレクチャーをしていただきます。その上で、これまでの研究会で行ってきた『カフカ』の議論をまとめて発表し、カフカ以外の「マイナー文学的戦略」として、現代ではどのような「創作」が可能なのか、実際の芸術実践の側面から探ります。

〇参加申込
イベント当日までに下記フォームから参加の申し込みをお願いします。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScnFb2lQ05x98syHyLMMB6_6Da-GkAVkbbSAVz1C_MPdZGA4Q/viewform

〇主催
立命館大学大学院 先端総合学術研究科 「フランス現代思想研究会」
問い合わせ:北村公人
gr0583pr@ed.ritsumei.ac.jp

成果及び今後の課題

 2023年度の課題としては、研究会の議論が、「フランス現代思想」を研究する者の中だけで終わってしまったことである。今後は、先端研に所属する、多様なバックグラウンド、そしてさまざまな研究を行っている院生とのコミュニケーションを強化していき、多角的な視点を得ながら、本研究会の掲げる目標(フランス現代思想と社会との接点を見出すこと)を達成していきたい。
 また、2023年度に実施した月例の研究会、公開研究会で得られた成果を、(院生プロジェクト「C:成果発信型」に申請し)「フランス現代思想研究会機関誌」(仮)としてまとめ、その成果を発信する予定である。

構成メンバー

北村 公人
立川 宗一郎
徳永 怜
濱中 健太
蛭間 直人

(※2025年1月28日に文言を一部修正しました)

マイノリティとマジョリティのディスコミュニケーション研究会(MMD研)(2023年度)

院生代表者

  • 澤岡 友輝

教員責任者

  • 立岩 真也

概要

【目的】
聴者とろう者、健常者と障害者(盲ろう者・高次脳機能障害者など)、日本語母語話者と非日本語母語話者などのように多数派と少数派のコミュニケーションには方法や形態の異なりが存在するだけでなく、マジョリティ側の方法に強制させられたり、また、それにより情報アクセスの制限や自分の思いや意見を述べる機会の減少など、マイノリティが抑圧されたりしてしまうことがある。マイノリティとマジョリティのコミュニケーションにおいて、自己決定がどのようになされているのか、社会の構成員としてどのように主体的に参加しているのか、さらにコミュニケーションの「平等化」や「民主化」(野口2016)の達成を志向していくには何が必要でどうすればいいのか。ディスコミュニケーション(コミュニケーションとして機能しているが、それが「平等化」「民主化」されていないもの)の事例を通して、コミュニケーションとはどのような行為/現象なのかについて考えていきたい。
【内容・方法】以下の2点である。1. 研究目的に沿った研究者に講演をしてもらい、コミュニケーションの様々な方法や状況の課題について理解を深めていく。講演会の内容は録音・録画を行い、『遡航』に講演録を掲載する。2. 研究会メンバーが各自のテーマでの研究を発表する。査読付き論文に向けた作業だけでなく、査読に出せない資料、レポートなどを遡航に掲載することも目的とする。さらに、3年後に書籍刊行を目指す。
【意義】本研究会の意義は、コミュニケーションに関する障害や、他者とのコミュニケーションにおいてもどかしさを感じる状況にいる人々に着目する研究者が集まり、意見の交換や報告を経て各自の研究力向上/学術研究に寄与できるという意義を持つ。
【参考】Goffman, E. (1959) The Presentation of Self in Everyday Life. Doubleday & Company.: 石黒毅(訳)(1974)行為と演技――日常生活における自己呈示.誠信書房.
野口裕二 (2016) 医療コミュニケーションの変容――平等化と民主化をめぐって, 保健医療社会学論集, 27(3), 3-11.

活動内容

「ただ存在するだけでいい/他者との関わりの 中に自分の生きるをつないでいく」


開催日時・会場
2023年9月30日(土)14:00~16:00
会場:Zoom ※13時45分以降入室可能
※文字情報保障を行います
 

講師:福田暁子(ふくだ あきこ)氏
東京在住の盲ろう者。現在内閣府障害者政策委員会委員、東京女子大学非常勤講師(「ダイバーシティとコミュニケーション」)などを務める。コミュニケーション方法は触手話が中心。使用文字は点字。多発性硬化症のため人工呼吸器と電動車イスを使用。

<講演会の内容>
見えず聞こえない盲ろう者は他者とのコミュニケーションをどのように経験しどのように捉えているのか。通訳・介助者やヘルパー、他の障害者との関わりの中で感じることを福田氏に語ってもらう。

<プログラム>
14:00 開会挨拶 大谷いづみさん(立命館大学生存学研究所 所長)
14:05 講演 講師・福田暁子さん
テーマ「ただ存在するだけでいい/他者との関わりの中に自分の生きるをつないでいく」
質疑応答
15:55 閉会挨拶 飯田奈美子さん(立命館大学衣笠総合研究機構 専門研究員)

〇参加申込
9月28日(木)までに下記フォームから参加の申し込みをお願いします。
https://forms.gle/uCxxd5xrg3FhAHEQ6
登録後、ZoomのURLを後日メールにて送付いたします。

成果及び今後の課題

 毎月研究会を実施し、各メンバーの研究計画・執筆中の論文について意見交換や議論・相談をすることができた。また、盲ろう者を対象とした博論本の輪読会を行い、盲ろう者に関する基礎的な知識だけでなく、調査の方法や博士論文の書籍化についても学習した。年度内に二回行った公開研究会では研究会メンバーの知識を向上したうえで、研究会外部へも盲ろう者・失語症者に関する知識の普及・増進を図ることができた。コミュニケーションに関する企画の立案・プロジェクトの運営を通して得た、誰もが情報の授受を保障されている企画の在り方と計画遂行能力を生かして、今後は、各メンバーによる研究助成金申請や研究科への交渉などで情報保障にかかる費用を捻出あるいは確保することを課題とする。

構成メンバー

◎澤岡 友輝
種村 光太郎
森下 摩利
石川 真紀