東亜メディア・デザイン研究会/Study Group of Media Design in East Asia /东亚媒体设计研究会

院生代表者

  • 張 憲

教員責任者

  • 竹中 悠美

企画目的・実施計画

 2018年度に引き続き、本プロジェクトの目的は日本、中国、台湾、韓国を中心とした東アジア地域における多様な美術、工芸、ファション、デザイン、サブカルチャーを各々メディアでありかつデザインとしての観点から学際的・包括的に研究することでる。
 2019年度上半期においては、メンバーを集まり、東アジアにおけるメディアデザイン、特に今回の議題であるPost-Event Imagesについて、先行研究を背景に、メンバーそれぞれの研究領域から意見交換を行う。そして、下半期においては、台湾・台南美術館の学芸員Kuan, Hsiu-Hui(関秀恵)氏を招き、国際的オープンワークショップを行う予定であった。

活動内容

 「実施計画」で述べたように、本年度のメインイベントとして、2020年3月4日(水)に講師としてKuan, Hsiu-Hui(関秀恵)氏を招聘し、「The Possibility of the Post-Event Images(事件/災難之後,影像如何可能?)オープンワークショップ」を開催する予定であったが、COVID-19の影響を受け、参加される方々の安全と健康を考慮した上、ワークショップを中止した。

成果及び今後の課題

 ワークショップを中止せざるを得なかったが、本来の目的として、国際的ワークショップやフィールドワークの開催を通じ、台湾の映像研究についての情報を交換し、2018年度の欧米の先端メディアデザインと違った東アジアの視野を加え、より統合した理論を提示することができたであろう。そして、個人研究だけでなく、台南美術館などの研究施設間の交流を果たすことによって、各地域の研究連携を促進することも今後の課題として残されている。

構成メンバー

・張憲
・枝木妙子
・XU TING
・高見澤なごみ
・橋本真佐子
・李怡君

活動歴

2018年度の活動はコチラ

生命倫理研究会(2019年度)

院生代表者

  • 髙木 美歩

教員責任者

  • 小泉 義之

企画目的・実施計画

 本研究会の目的は、生命倫理学に関する基礎的な研究力を養うことである。
 具体的な内容および実施方法としては、月に一度読書会を開催し、生命倫理に関する重要文献・論文の輪読を行うことを活動の基本とする。その際、各読書会の担当を決定し、それぞれのメンバーが年度中に1-2回、レジュメを作成し発表を行う。基本の活動に加えて、常時発表者を募り、希望があればその都度研究会を開催して、互いに助け合いながら各自の研究の発展を目指す。
 また、2019年12月から翌年2月を目途に、読書会で検討したテキストの著者をお招きして公開研究会を行う。招聘する講師は2019年9月までに確定し、報告する。

活動内容

月1回の読書会および2019年度中の公開研究会の実施

  • 2019年度 生命倫理研究会 公開研究会
    「わたしたちはアイデンティティをいかに引き受けるべきか」
    日時:2020年2月15日(土)13:00~16:30(開場12:45)
    場所:立命館大学衣笠キャンパス創思館403・404
    アクセス
    講師:藤高和輝氏(大阪大学)
  • 内容:
    私たちは誰しも、アイデンティティと無縁ではいられない。
    アイデンティティによって私たちは自己を認識し、他者から承認される(あるいは、否定される)。
    しかし「アイデンティティを引き受けること」は、一回限りの単純な行為ではないし、必ずしも確固としたものでもない。
    それは時に苦痛を引き起こすものでもありうるし、私たちはさまざまなアイデンティティを抱えながら生きている。
    脱アイデンティティも主張されるこの時代に、「アイデンティティを引き受ける」とはどのようなことなのか。
    そして、私たちはいかにアイデンティティを引き受けるべきなのか。
    今回の研究会では藤高和輝氏をお招きし、トランスジェンダーの事例を中心に「アイデンティティの引き受け」における複雑性や多様性についてお話いただき、共に議論する。

    その他:
    ・公開研究会の事前予約・参加費等は不要、入退場自由です。
    ・藤高先生のご講演の他、関連した院生発表やディスカッションを行います。
    ・藤高氏のご講演については
     藤高和輝「アイデンティティを引き受ける」『臨床哲学』16 pp. 23-41.
     藤高和輝 「とり乱しを引き受けること――男性アイデンティティとトランスジェンダー・アイデンティティのあいだで」『現代思想』2019年2月号 pp. 127-138.
     上記2本の論文にお目通しいただくと、より理解が深まるかと思います。
    ・研究会終了後、大学付近で懇親会を行います(17:00~、4000円程度)。
     参加を希望される方は2月3日17:00までにお申し込みください。
    ・ご連絡は【研究会代表、高木】まで

成果及び今後の課題

本研究会は2019年6月から夏季休暇を除いて、月1回の読書会を継続して行った。
読書会ではメンバー全員が率直に意見や感想を公開し合うことで、読解力が身についたと考えている。
また、夏季休暇中から、外部の講師を招いて行う公開研究会の計画を立てた。
本年度は大阪大学から藤高和輝氏を招き、公開研究会「わたしたちはアイデンティティをいかに引き受けるべきか」を2020年2月に衣笠キャンパスにて実施した。
公開研究会の開催に際して、広報も積極的に行った。
公開研究会には研究会のメンバーを含めて30名弱が参加し議論した。
独自に作成したメーリングリストも必要に応じて使用され、読書会以外の交流も行われていた。
多忙な中でも読書会を継続し、公開研究会を目標とした活動のペースを維持することが、今後の課題である。

構成メンバー

・髙木美歩
・北島加奈子
・秋葉峻介
・竹松未結希
・坂本 唯
・柴田惇朗

活動歴

2012年度の活動はコチラ
2013年度の活動はコチラ
2014年度の活動はコチラ
2016年度の活動はコチラ
2017年度の活動はコチラ
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「音楽と社会」研究会(2019年度)

院生代表者

  • 山口 隆太郎

教員責任者

  • 千葉 雅也

企画目的・実施計画

 本研究会の目的は、音楽と社会の相関に着目し、音楽学のみならず歴史学や社会学、人類学等の知見を参照しながら音楽・文化研究が行えるよう、必要な知識、方法論を多様なバックグラウンドを持つ参加メンバー間の議論から身に付けることであった。音楽研究において、対象となる作曲家や作品を社会とのかかわりの中で考察することは今や当然のこととなり、様々な学問分野を融合する視点をもって研究を進めることが必要となっている。本研究会はこうした近年の研究の動向を踏まえ、参加メンバー各自の研究に対する視野を広げるため、多様な視点から音楽研究の方法論を議論することで、各自の研究にその知見を活かすことを目標とした。さらに本研究会の意義は、研究発表会開催に関わる企画および運営をとおして、研究遂行能力を高めることにもあった。
 上記の目的を達成するため、今年度は以下二点の活動を行った。1)音楽と社会の相関に着目する本研究会の趣旨に基づき、音楽社会学をはじめ、広く文化に関する基礎研究を講読しながら、各自の音楽研究への適用可能性を含めて議論し、様々な方法論を検討した。2)多様な文化研究の一事例として、学内外の研究者の研究発表会を行った。

活動内容

1)基礎となる文献の講読
 春学期に4回、秋学期に2回の研究会を、立命館大学衣笠キャンパスと京都大学吉田南キャンパスで実施し、次の文献をメンバーで議論した。
①2019年4月21日(日)13時~15時(会場:京都大学吉田キャンパス吉田南総合館南棟126)
講読文献:ヴァルター・ベンヤミン「複製技術時代の芸術」
②2019年6月8日(土)13時~15時(会場:立命館大学衣笠キャンパス究論館プレゼンテーションルームA)
講読文献:坂部恵『かたり――物語の文法』
③2019年7月13日(土)15時~17時(会場:京都大学吉田キャンパス吉田南総合館南棟126)
講読文献:ヴァルター・オング『声の文化と文字の文化』(1~3章)
④2019年9月21日(土)14時~16時(会場:立命館大学衣笠キャンパス究論館プレゼンテーションルームA)
講読文献:ヴァルター・オング『声の文化と文字の文化』(4~7章)
⑤2019年11月30日(土)14時~17時(会場:京都大学吉田キャンパス吉田南総合館南棟126)
講読文献:スチュアート・ホール他編『カルチュラル・アイデンティティの諸問題』(1, 2, 6章)
⑥2020年3月22日(日)10時30分~12時(会場:立命館大学衣笠キャンパス究論館プレゼンテーションルームA)
講読文献:スチュアート・ホール他編『カルチュラル・アイデンティティの諸問題』(7, 10章)

2)講演会の開催
 2020年1月15日(水)13時~14時30分に、立命館大学アート・リサーチセンター多目的ルームにおいて、ネバダ大学講師でクラリネット奏者のイワン・イワノフ氏Ivan Ivanov Ph.D.を招いて「Surrealism in Music」と題した講演会を実施した(立命館大学アート・リサーチセンターとの共催)。当日の参加者は10名であった。
 本講演は、サルバドール・ダリのコンセプトを作曲の中で実践したバラダの作品を通じて、シュルレアリスムと音楽とのかかわりを明らかにしたものであった。講演後の質疑の時間では、バラダと同じくアメリカで活躍した作曲家ジョン・ケージとのかかわり、バラダの同時代の作曲家との影響関係、バラダの政治に対する態度など、バラダに関する質問が中心となった。以上を通して本講演会では、作曲家の作品に対する影響が、ある個人との関係のみに帰結させることができるかといった点に関する議論を深めることができた。

3)研究発表会の開催
 2020年2月1日(土)に、キャンパスプラザ京都第一会議室において、「音楽と社会」研究会の研究フォーラムを開催した。当日は約25名の学内外の研究者が来場した。当日のプログラムは以下のとおりである。
【院生発表①】11時~13時
原塁(京都大学大学院)「武満徹の後期創作におけるイメージとかたち」
荒木真歩(神戸大学大学院)「民俗芸能における正統性の獲得――記録映像を用いた習得に着目して」
西澤忠志(立命館大学大学院)「明治30、40年代の音楽鑑賞論の展開と問題意識――小松耕輔の音楽評論から」
【院生発表②】14時~16時55分
中辻柚珠(京都大学大学院)「プラハ・モダニズム研究史――成立期における言説とその特徴」
奥坊由起子(立命館大学大学院)「1920年代イングランドの音楽における国民性とモダニティ」
加納遥香(一橋大学大学院)「社会主義ベトナムにおける革命と音楽――ベトナム・オペラ《コー・サオ》に着目して」
松本理沙(京都大学大学院)「グループ・マテリアル活動初期におけるコミュニティの表象」
【講演】17時10分~18時
田邉健太郎氏(立命館大学)「映画音楽、物語空間、虚構の語り手」
院生発表では、各セクションを緩やかに関連し合うテーマの発表で構成し、すべての発表を行ってからコメンテーターの吉田寛氏(東京大学)によってセクションの議論の整理や各発表に対するコメントがなされた。その後、討論の時間を設け、フロアを含めて活発な議論が行われた。また、田邉氏の講演では、分析美学の文脈から映画音楽についての研究を取り上げ、「語り手」をどのように考えるかが議論された。
本企画を通し、他大学を含めた発表者や講演者、会場との調整を行うことで、研究を遂行する上で必要なコミュニケーション能力を養うとともに、芸術や文化の研究に対する視野を広げることができた。

  • 「音楽と社会」研究会 研究フォーラム
  • 日時:2020年2月1日(土)11:00-18:00
    場所:キャンパスプラザ京都 第一会議室
    アクセス

    【タイムテーブル】

    発表要旨はこちらよりご覧いただけます。

    院生発表 第1部(11:00-13:00)
    ・原塁(京都大学大学院)「武満徹の後期創作におけるイメージとかたち」
    ・荒木真歩(神戸大学大学院)「民俗芸能における正統性の獲得――記録映像を用いた習得に着目して」
    ・西澤忠志(立命館大学大学院)「明治30、40年代の音楽鑑賞論の展開と問題意識――小松耕輔の音楽評論から」

    院生発表 第2部(14:00-16:55)
    ・中辻柚珠(京都大学大学院)「プラハ・モダニズム研究史」
    ・奥坊由起子(立命館大学大学院)「1920年代イングランドの音楽におけるナショナル・アイデンティティとモダニティ」
    ・加納遥香(一橋大学大学院)「社会主義ベトナムにおける革命と音楽――ベトナム・オペラ《コー・サオ》に着目して」
    ・松本理沙(京都大学大学院)「アクティヴィズム・アートにおける表象と行動――1980年代アメリカを例に」

    講演(17:10-18:00)
    ・田邉健太郎(立命館大学)「映画音楽,物語空間,虚構の語り手」

    コメンテーター:吉田寛(東京大学)

    主催:立命館大学先端総合学術研究科

成果及び今後の課題

 今年度はシンポジウムを企画しなかったことで、音楽と社会の相関をより広くとらえ、幅広い文献の講読に取り組むことができた。その結果、さまざまな分野の研究の視点を各自の音楽研究への適用可能性を深く議論することができた。また学内外の研究者と共同して研究会を開催することができ、討論を通してそれぞれの研究を深めるとともに、芸術や文化の研究にとって重要な主題を議論することができた。また、企画・運営を行うことでメンバーの研究遂行能力を高めることにつながった。しかしながら、学外施設を利用するにあたり、より綿密な計画や確認が必要であった。今回の計画を見直し、次年度以降の研究会に生かしていきたい。

構成メンバー

【先端総合学術研究科】
奥坊 由起子(表象領域)、SHIN Juhyung(共生領域)、西澤 忠志(表象領域)、松本 昂也(共生領域)、森 敬洋(表象領域)、山口 隆太郎(表象領域)
【学外参加者】
荒木 真歩(神戸大学大学院)、加納 遥香(一橋大学大学院)、中辻 柚珠(京都大学大学院)、原 塁(京都大学大学院)、牧野 広樹(京都大学大学院)、松本 理沙(京都大学大学院)、吉田 瞳(京都大学大学院/エアランゲン大学)

活動歴

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2015年度の活動はコチラ
2016年度の活動はコチラ
2017年度の活動はコチラ
2018年度の活動はコチラ

Core Ethics vol.15

立命館大学大学院先端総合学術研究科
『Core Ethics』Vol.15 2019年

コアエシックス15号_表紙

目次 PDF<139KB>
奥付 PDF<50KB>
正誤表 PDF<239KB>


論文

警備業法の制定過程と警備業における請負労働の変容
――労働組合・国会資料を中心に――
岩﨑 弘泰 p.1
PDF<574KB>

日本の児童精神医学の黎明期におけるいわゆる自閉症処遇前史
――1945年終戦前まで――
植木 是 p.13
PDF<422KB>

インペアメントがディスアビリティに先行するのか
――インペアメントとディスアビリティの個人化をめぐって――
北島 加奈子 p.25
PDF<307KB>

ビジュアルノベルにおける構造とそのリアリティー
――ゲームデザインとゲームプレイをめぐって――
江 葉航 p.35
PDF<672KB>

ガーナ都市部における「シュガー・ダディ」との交際関係
――動機をめぐる視座の再考――
小田 英里 p.47
PDF<434KB>

精神障害当事者にとっての「リカバリー」とはなにか
――福祉的就労施設に20 年通所する利用者の語りから――
駒澤 真由美 p.59
PDF<453KB>

財政面から見た日本的インクルーシブ教育システムについての考察
――障がい者制度改革推進会議と特別支援教育の在り方に関する特別委員会の財政面での議論に着目して――
柴垣 登 p.73
PDF<452KB>

消え去る媒介者としての「軽度発達障害」
髙木 美歩 p.85
PDF<392KB>

ルポルタージュ絵画再考
――ライトアップ展論争の争点をめぐって――
髙見澤 なごみ p.97
PDF<3,350KB>

歴史的時間の固有性について
椿井 真也 p.111
PDF<342KB>

視覚障害のある教員の学習指導に対する支援システム
――「一元支援」から「多元支援」への試案――
中村 雅也 p.121
PDF<330KB>

日本における吃音観の歴史と伊沢修二
――不治の疾患から悪癖へ――
橋本 雄太 p.135
PDF<402KB>

筋ジストロフィー患者の療養生活の場の選択
――独居在宅に向けたネットワークの構築――
坂野 久美 p.147
PDF<441KB>

孫が生まれる時
――視覚に障がいのある妊産婦の実母の事例――
平田 恭子 p.161
PDF<416KB>

産業社会におけるコンヴィヴィアリティのための道具の条件とは何か
安田 智博 p.175
PDF<408KB>


研究ノート

障害のある教員をめぐる政策の歴史と現状
――労働政策、および教育政策の側面から――
中村 雅也 p.185
PDF<332KB>

厚生労働省「生活扶助相当CPI」に関する批判的言説、計算方式、および使用された数値の検討
三輪 佳子・白井 康彦 p.197
PDF<1,022KB>

Martin Roth(マーティン・ロート)

ロート写真

領域

表象

職位

教授

専門

メディア・日本地域研究

担当科目

特殊講義III
表象論史
応用講読演習VII/表象領域講読演習CA
超領域実践プロジェクトCA
プロジェクト予備演習III(表象)
プロジェクト演習(表象)

業績

※21年度以降の最新情報は、下記にリンクされている研究者学術情報データベースをご参照ください。

2020年度業績一覧
2019年度業績一覧

関連情報

研究者学術情報データベース

  • 研究者学術情報データベース
  • 2018年|立命館大学大学院 先端総合学術研究科

    2018年度 行事

    2018年4月

    • 1日(日) 院生オリエンテーション
    • 2日(月) 入学式 
    • 6日(金) 春セメスター授業開始

    2018年5月

    2018年6月

    2018年7月

    • 8日(日) 7月実施入学試験 試験日
    • 20日(金) 7月入試合否発表/9月入試出願開始
    • 20日(金) 前期セメスター授業終了
    • 22日(日) 2017年度 博士論文/博士予備論文構想発表会 前期
    • 23日(月) 2017年度 博士論文/博士予備論文構想発表会 前期

    2018年8月

    • 3日(金) 9月実施入学試験 出願締切
    • 5日(日) 『コア・エシックス』投稿原稿検討会
    • 6日(月) 『コア・エシックス』投稿原稿検討会
    • 7日(火) 『コア・エシックス』投稿原稿検討会

    2018年9月

    • 9日(日) 9月実施入学試験 試験日
    • 21日(金) 9月入試合格発表
    • 26日(水) 秋セメスター授業開始

    2018年10月

    • 2日(火)  秋季構想発表会

    2018年11月

    2018年12月

    2019年1月

    • 11日(火) 2月実施入学試験 出願締切
    • 18日(水) 秋セメスター授業終了

    2019年2月

    • 3日(日) 2月実施入学試験 試験日
    • 22日(金) 2月入試合否発表
    メディアからの発信 2018年度
    スラムツーリズム研究会

    院生代表者

    • 八木 達祐

    教員責任者

    • 小川 さやか

    企画目的・実施計画

     本プロジェクトの企画目的は、世界的に広がるスラムツーリズムの内実とその諸相を整理し、スラムツーリズムの議論の土台を築くことにある。主な実施計画としては、研究メンバーによる文献調査と、公開シンポジウムの開催である。公開シンポジウムでは、前半にアジア・アフリカ・ラテンアメリカ地域を専門とする各者の発表からスラムツーリズムの多様なかたちを表出させる。後半では全体議論を通じて、事例間の異質性や共通性を議論し、あらゆる既存研究との接続のしかたや新たな道筋を導くことを目指す。

    活動内容

     特筆すべき活動内容として公開シンポジウム「スラムツーリズムの展開――その多様性と創造性」(2018年8月3日10時00分~16時30分、創思館303・304)の開催が挙げられる。当日はスラムツーリズム研究の中心的な研究者である観光社会学者のファビアン・フレンゼル(University of Leicester)の基調講演に加え、大阪・釜ヶ崎で観光人類学的調査を行ってきた須永和博(獨協大学外国語学部交流文化学科准教授)、開発援助の視点からチリでの人類学的研究・開発プロジェクトを実施してきた内藤順子(早稲田大学理工学術院准教授)による講演と、八木達祐(先端総合学術研究科院生)、佐久間香子(立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員)、福田浩久(先端総合学術研究科院生)による研究発表を行った。
     当日のプログラムとしては、第一部に、「スラムツーリズムの現在」と題して発表者たちによるアジア、アフリカ、ラテンアメリカを横断した個別具体的な調査報告を行い、スラムツーリズムの事例蓄積を目指した。第二部の「スラムツーリズムの外部から――空間・場所・他者」では、各報告者たちのフィールドにおける「他者」との出会いや空間・場所・移動にかんする考察について研究発表を行い、スラムツーリズムでない視点からスラムツーリズムとは何かを改めて議論した。第三部では、「総合討論」へと移り、あらゆる分野の既存研究におけるスラムツーリズムの位置付けや事例間の共通性・異質性、研究対象としての課題や可能性について幅広く議論を行った。

    • 公開シンポジウム「スラムツーリズムの展開――その多様性と創造性」
    • 日時:2018年8月3日(金)10:00~14:50
      場所:立命館大学 衣笠キャンパス 創思館303・304教室

      *詳細はこちら

    成果及び今後の課題

     成果としては、公開シンポジウムの開催を通じて、国内で最初のスラムツーリズムに関する総合的な議論の場を設けることができたことが挙げられる。

    構成メンバー

    ・八木 達祐
    ・荒木 健哉
    ・小田 英里
    ・酒向 渓一郎

    精神医療史・医学史研究会

    院生代表者

    • 幸 信歩

    教員責任者

    • 松原 洋子

    企画目的・実施計画

    目的:精神医学者の呉秀三が、明治・大正期に調査した精神障害者の「私宅監置」の状況を報告してから、今年で100年となる。この報告論文「精神病者私宅監置ノ実況及ビ統計的観察」(1918年)は大きな反響をよび、翌年の精神病院法制定につながった。日本では法律の制定や改正を通して、精神医療保健の改善に向けた試みが行なわれ、「入院医療中心から地域生活中心へ」という方策を打ち立てた。しかし、30万床にのぼる日本の精神科病床数は現在でも世界一であり、未だに自宅監置の事件や精神科病院での拘束による死亡が報告されている。そこで、日本の精神医療と脱施設化に成功したイタリア共和国の精神医療への取り組みを比較し、日本の脱施設化がすすまない理由について問題点を挙げながら考察する。
    方法:今秋に来日する精神科医イヴォンヌ・ドネガーニ氏(精神科医/ボローニャ精神保健局元局長)を招き、講演会を行なう。ドネガーニ氏は、精神科医療の脱施設化を目指す「精神病院を無くす法律」(180号法 通称バザーリア法)制定に向けてボローニャ市行政や専門職の意見を集約し、脱施設化への方向性を定める実践に携わってきたことで知られる。この講演会の成果をふまえて、精神障害者が地域で暮らす環境についての日本とイタリアの相違を研究する。

    活動内容

    講演会
    第1回目

    • 開催日時  2018年9月29日 14時半~15時半
    • テーマ 「イタリア・ボローニャでの精神障がい者と地域との共生の歩み―よりあたりまえな地域社会の実現に向けて―」
    • 講師   イヴォンヌ・ドネガーニ氏(精神科医/ボローニャ精神保健局元局長)
    • 通訳   栗原和美(イタリア国立ミラノ大学 哲学専攻  東京ソテリア所属)
    • 場所   福井メトロ劇場(会場所在地:福井県福井市順化1-2-14)
    • *詳細はこちら(Facebook)

    第2回目

    • 開催日時  2018年9月30日 9時15分~12時
    • テーマ 「この国に生まれたる不幸を重ねないために―座敷牢から地域での暮らしへ―」
    • 講師  イヴォンヌ・ドネガーニ氏(精神科医/ボローニャ精神保健局元局長)
    • 通訳   栗原和美(イタリア国立ミラノ大学 哲学専攻  東京ソテリア所属)
    • 場所   福井市地域交流プラザ・アオッサ会議室(福井県福井市手寄1丁目4-1 AOSSA5F)

    第3回目

    • 開催日時  2018年9月30日 14時半~15時半
    • テーマ 「日本のこれからの精神医療保健の方向性は?×イタリアの勇気」
    • 講師   イヴォンヌ・ドネガーニ氏(精神科医/ボローニャ精神保健局元局長)
    • 通訳   栗原和美(イタリア国立ミラノ大学 哲学専攻  東京ソテリア所属)
    • 場所   福井メトロ劇場(会場所在地:福井県福井市順化1-2-14)
    • *詳細はこちら(Facebook)

    成果及び今後の課題

    第1回目
    ・参加人数 135名
    第2回目
    ・参加人数 50名
    第3回目
    ・参加人数 110名

    会場から、当事者の切実な意見や医療従事者からの日頃の思いが語られ、講師の講演を聞くだけではなく会場が一体となった。地域一般の人も含めて、さまざまな立場の人々が参加され、歴史の事実を知り、一人ひとりが、今とこれからをつなぐ担い手である意識が深まる切っ掛けとなった。

    構成メンバー

    ・柳田 千尋
    ・三浦 藍
    ・駒澤 真由美
    ・伊東 香純
    ・桐原 尚之
    ・寺前 晏治
    ・舘澤 謙蔵
    ・西田 美紀
    ・戸田 真里
    ・幸 信歩

    重度障害者の空港及び航空機等における円滑な移動を促進する調査

    院生代表者

    • 桐原 尚之

    教員責任者

    • 立岩 真也

    企画目的・実施計画

     本研究プロジェクトは、空港及び航空機等を対象とした重度障害者の円滑な移動を促進するために必要な実態把握をおこなうことを目的とする。
     2018年5月18日、いくつかの課題を残しつつ高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を見直す法案(以下「改正バリアフリー法」とする。)が7年ぶりに改正され成立した。5月8日の参議院本会議では、筋萎縮性側索硬化症(以下、「ALS」とする。)の人の空港及び航空機等の利用をめぐる問題について審議がおこなわれ課題があきらかにされた。例えば、座位を保てない人が搭乗できるようなプランは少なく、割引チケットなどの選択肢もないため、いずれも高額となっていること、また、人工呼吸器ユーザーはたくさんの機器を必要とし、それを持ち込むために事前に診断書を付けて申請しているが、それでも保安検査場において機器を解体されることなどがそうである。
     しかし、これらの課題は、改正バリアフリー法での解決が見送られ、次の改正まで先送りにされることとなった。そのため、次の改正で課題を解決するためには、課題の整理と実態把握が必要不可欠である。そこでALSの人の飛行機利用における実態の調査をおこなった。

    活動内容

    2018年9月7日に参議院議員会館にて「ALSの航空バリアフリー研究会」を開催した。

    日 時: 2018年9月7日(金)13時から16時
    場 所: 参議院議員会館 地下1階・103室
    共 催: ALSの航空機利用におけるバリアフリー研究会

    プログラム
    第一部 (13:00~14:00)
    ・空港及び航空機の利用についてALS当事者の経験(増田英明 佐川優子 岡部宏生)
    第二部 (14:00~15:00)
     ・改正バリアフリー法及び改正航空法の制度説明
      (国土交通省総合政策局安心生活政策課 同省航空局航空ネットワーク企画課 同省航空局航空事業課)
     ・川田龍平参議院議員の取り組み

    ・2018年9月13日
    川口有美子さんにALSの人の飛行機の利用実態を聞き取り調査した。空港の保安検査場における医療機器の取扱いに関する事例を聴き取りした。要人訪問などで警備が強化されていると医療機器を分解されることがあることがわかった。事前に航空会社と空港の保安検査場の連携関係について調査したところ、航空会社が同行して医療機器について説明できたとしても、保安検査場は保安検査場の判断で分解してしまうことを妨げないため、解決策がほとんどないことがわかった。

    ・2018年11月8日
    川口有美子さんにALSの人の飛行機の利用実態を聞き取り調査した。北海道において天候上の理由で飛行機が飛ばないトラブルにあった経験や機内で飛行中にシートベルト着用サインが出ている状態で人工呼吸器が外れて転がっていったのを拾いに行こうとしたら着席を求められた話しなどを聴くことができた。

    ・2018年11月26日
    川田龍平参議院議員が2018年6月におこなった各主要な空港(羽田T1、T2、羽田国際、成田T1、T2、T3、関空T1、T2、伊丹、中部、福岡、新千歳、那覇)における担架、ストレッチャー、リクライニング車椅子、車椅子の設置状況、それぞれ機内利用可の設置状況について、当研究会が自主的に追跡調査をおこうことを決めた。

    ・2018年12月4日
    エアカナダが国際線のビジネスクラスとストレッチャー席に障害者割引を適用させていることがわかった。調査のため実際にエアカナダを利用するALSの人がいないか打ち合わせをおこない実現可能性の高そうな候補者を絞り込むことができた。調査の実施は今年度中には難しいが、調査の目途を立てることまでは実現できた。

    ・2019年2月13日
     京都市障害者自立支援協議会権利擁護部会に出席し、日本ALS協会近畿ブロック増田英明会長の活動を参与観察した。飛行機を使用する上での課題が「障害に基づく差別」という観点で行政上の手続きにのっていることが明らかになった。

    成果及び今後の課題

     ALSの人をはじめとする重度障害者の空港及び航空機等における円滑な移動を促進するため、何が課題であり、どう取り組むべきであるかを重点事項にまとめ明らかにした。
    ・実際にALSの人が海外旅行に行くための予算の獲得し、渡航を支援・調査する。とりわけてビジネス席に障害者割引を採用しているエアカナダへの搭乗と調査を目指す。
    ・改正バリアフリー法に基づく市町村の協議の場に当事者の参画を促していく。そのため、モデルケースの紹介や参画状況の実態把握をおこなう。
    ・航空機利用等におけるALSの人の困りごと・工夫などのエピソードを集積し、報告書にまとめていく。
    ・改正バリアフリー法の接遇と研修について当事者を中心とした研修コンテンツを作成し、当事者が研修を担えるようにしていく。なお、これによって客室乗務員による人工呼吸器の取り扱いや保安検査場での医療機器の取り扱いの問題の解決を目指す。
    ・空港における担架、リクライニング式車椅子、ストレッチャー等の設置状況を毎年調べて公表する。必要に応じて空港に設置要求を出していく。
    ・航空会社にストレッチャー料金等の見直しを求めていく。具体的には、川田龍平参議院議員による働きかけと京都市による働きかけであり、その記録をとる。また、各航空会社のストレッチャー料金及びビジネスシートの障害者割引について調査をおこなう。

    構成メンバー

    ・桐原 尚之
    ・西田 美紀
    ・戸田 真里
    ・舘澤 謙蔵