出生をめぐる倫理研究会

代表者

  • 松原 洋子

事務担当

  • 小門 穂、吉田 一史美

企画目的・実施計画

 本研究会は2008年の設立以来、「出生」をキーワードに妊娠・不妊・中絶・出産・養育など生殖に関わる様々問題を扱ってきた。今年度の研究課題は生殖と再生医療に関する技術と倫理であり、「生殖」と「生存」にかかわる医療・技術についてその接点と可能性を理解し、生殖技術が当該男女・親子・家族とどまらず広く社会に関わるものであることとその倫理的課題を検討することを目的とする。生殖医療や新しい技術をめぐって生ずる倫理的問題に研究メンバーが各専門領域からのアプローチを試み、学際的な議論の構築を目指すことに本研究会の意義がある。
 生殖技術と再生医療に関する公開シンポジウムを開催し、ゲストに柘植あづみ氏(明治学院大学社会学部教授・医療人類学)と八代嘉美氏(京都大学iPS細胞研究所特定准教授・幹細胞生物学)を迎える。また、子産み・子育てのなかでの不妊治療の捉え直しをテーマに、本研究会メンバーの安田裕子を講師として公開研究会を開催する。そして、成果物として、講演シンポジウムの講演録を含む報告書を作成する。

活動内容

第1回:打ち合わせ

2013年7月1日(月)13:00-15:00、立命館大学衣笠キャンパス創思館415。

第2回:公開企画に向けて事前勉強会1

2013年8月1日(木)13:00-16:00、立命館大学衣笠キャンパス創思館415
テキスト…柘植あづみ『生殖技術――不妊治療と再生医療は社会に何をもたらすか』みすず書房、2012年。

第3回:公開企画に向けて事前勉強会2

2013年8月17日(土)13:00-16:00、立命館大学衣笠キャンパス・創思館415。
テキスト…八代嘉美『増補 iPS――世紀の発見が医療を変える』平凡社、2011年。

第4回:公開シンポジウム

「iPS・ES細胞と生殖技術――その学問的成果・技術的有用性・倫理的問題」
2013年12月8日(日)13:30-17:00、立命館大学衣笠キャンパス末川記念会館大講義室。
講師…柘植あづみ氏(明治学院大学)、八代嘉美氏(京都大学iPS細胞研究所)。

第5回:公開企画に向けて事前勉強会3

2014年2月27日(木)13:00-15:00、立命館大学衣笠キャンパス創思館415

第6回:公開研究会

「子どもをもつことをめぐる女性の選択と経験――語りからのアプローチ」
2014年3月26日(水)14:00-16:00、立命館大学衣笠キャンパス創思館401/402。
講師…安田裕子(立命館大学衣笠総合研究機構)。

成果及び今後の課題

 活動の成果として、12月開催の公開シンポジウムの講演録と本研究会メンバーの論文等を掲載した次の報告書を刊行した。小門穂・吉田一史美・松原洋子編『生殖をめぐる技術と倫理――日本・ヨーロッパの視座から(生存学研究センター報告22)』立命館大学生存学研究センター、生活書院、2014年。
 今後の課題は、これまでの活動の継続に加え、外国語の文献講読、メンバーによる調査活動および報告をより積極的に行うことである。

構成メンバー

  • 松原洋子(先端総合学術研究科教授)
  • 小門穂(生存学研究センター専門研究員)
  • 安田裕子(衣笠総合研究機構専門研究員)
  • 吉田一史美(先端総合学術研究科生命領域6回生)
  • 西沢いづみ(先端総合学術研究科生命領域6回生)
  • 由井英樹(先端総合学術研究科生命領域6回生)
  • 貞岡美伸(先端総合学術研究科生命領域6回生)
  • 坂井めぐみ(先端総合学術研究科生命領域6回生)
ヨーロッパ文化・芸術・思想研究会

院生代表者

  • 川﨑 寧生

教員責任者

  • 竹中 悠美

企画目的・実施計画

 本研究会は、2009年度から行ってきた「『ドイツ文化』研究会」、「ヨーロッパ文化研究会」を継承し発展させるものである。これまでの研究会では、おもに芸術を対象として、西欧思想の根本にあるものを見極め、日本的なものとの相違を理解しようと努めてきた。昨年度は、ハイデガー『芸術作品の根源』を用い、ハイデガーの術語に秘められた意図を理解し、西欧の伝統における芸術の意味を理解することを目指した。今年度は昨年度の目的をひきつぐとともに各自の研究を深めるため、哲学的解釈学を展開させたハンス=ゲオルク・ガダマーの『真理と方法』、そのなかでも、芸術論と言語論に注目した。芸術や言語の領域を横断する現代の解釈学について考察するとともに、研究会員個々が各自の研究(学会発表・論文執筆)において解釈学の視点をどう活かすことができるか検討することを目的とした。
 各研究会では、Hans-Georg Gadamer; Wahrheit und Methode: Grundzüge einer philosophischen Hermeneutik, J.C.B. Mohr, 1960.(『真理と方法Ⅰ』轡田収他訳、法政大学出版局、1986)を輪読した。必要に応じて、原著や英語文献にも目を通すとともに、丸山高司『ガダマー』(講談社、1997)、渡邊二郎『構造と解釈』(ちくま学芸文庫、1994)などの文献も参照した。輪読を進めつつ各分野に当てはめ具体的に考えることで、参加者の理解度を高めるとともに積極的に発言することに努めた。

活動内容

  • 第1回研究会
    日時:2013年8月11日(日)14時00分~18時00分
    場所:末川記念会館 2階 第2会議室
    内容: 初回のため研究会メンバーは事前学習としての「序論」までを各自読み、研究会へと臨んだ。研究会では講師より昨年度扱ったハイデガーとガダマーの連関などについて説明していただきながら、一文一文精読していった。各自が抱いた疑問について講師の示唆のもと参加者が意見を出しあい、議論を深めた。
  • 第2回研究会
    日時:2014年1月12日(日)14時00分~18時00分
    場所:朱雀キャンパス 210号教室
    内容: 第2回目から本研究会のメンバーに加え、他大学の学生も参加した。参加者の提案により、「第Ⅰ章 美学的次元の乗り越え 第1節 精神科学にとっての人文主義的伝統の意味」を中心に読み進めた。特に「教養」と「共通感覚」のところでは、音楽オーケストラや絵画鑑賞における「教養」と「共通感覚」とは何かについて、それぞれの意見を出し合い、活発な議論をすることができた。 
  • 第3回研究会
    日時:2014年1月12日(日)14時00分~18時00分
    場所:朱雀キャンパス 210号教室
    内容: 前回に続き、「共通感覚」を読み進めた。複雑で内容を捉えることが難しい箇所では、講師による思想史的な知識について説明していただくことでより深く理解するとともに、内容を捉えたうえで、それを具体的な芸術の様相に当てはめるとどのようなことが言えるのかについて、美術や音楽の現象から議論した。文章を深く読解しつつ自発的に発言することによって、単に内容を論理的に把握するだけでなく、各自の研究に引き付けながら「共通感覚」および「判断力」概念を理解することができた。
  • 第4回研究会
    日時:2014年3月12日(水)14時00分~18時00分
    場所:朱雀キャンパス 312号教室
    内容: 前回までの総まとめも行ったうち、「判断力」および「趣味」を中心に輪読した。まず、「規定的な判断力」と「反省的な判断力」の違いを現代の出来事に当てはめながら理解・共有した。次に、カント以前に示されてきた「共通感覚」とカントが示した「共通感覚」の違いをガダマーはどのように捉え、カントを批判しているのかに注目し議論を進めた。また、「共通感覚」を養うためには現代において何が必要かを参加者が自発的に意見を述べ合うことができた。

成果及び今後の課題

 本研究会ではこれまでと同様に内容把握とともに、一つひとつの語句を洗い出し、曖昧な箇所を残さないように基本文献を読むことを重視した。より具体的に理解することをめざし、音楽・美術館・現代美術などの参加者の研究対象を取り上げたことで、参加者が活発に発言でき、各研究分野についての理解も深めることができた。
 当初は芸術論および言語論を進めていくことを予定していたが、結果としては芸術論にとどまり言語論にまで進められなかったことが反省点としてあげられる。参加者が自発的に発言することで、昨年度よりも活発な議論を行えたことは、本研究会の成果であると同時にこれまで続けて行ってきた研究会の成果であると考える。
 今後もこのような研究会を行い、近代哲学・文化形成について論じる場を作ることを考えている。また、ただ議論するのではなく、研究会での内容を踏まえた発表あるいは論文作成へ発展させていきたい。

構成メンバー

  • 川﨑 寧生(表象領域・2008年度入学・代表者)
  • 茂山 忠亮(表象領域・2003年度入学)
  • 鹿島 萌子(表象領域・2008年度入学)
  • 角田 あさな(表象領域・2009年度入学)
  • 山口 隆太郎(表象領域・2013年度入学)
精神分析研究会

院生代表者

  • 北村 隆人

教員責任者

  • 千葉 雅也

企画目的・実施計画

 本研究会は、精神分析の創始者であるフロイトの理論解釈と、その解釈を通じてメンバーの研究をさらに深めることを目的としている。研究会は、精神分析という学問において共通関心をもっているが、領域、専門分野および研究テーマは多彩なメンバーで構成されている。研究会メンバーの多彩な視点を通じて、様々な視点(精神分析の専門家、心理学、社会学、文学、文化人類学など)から精神分析における興味関心・問題意識を深めたり共有したりすることができる。
 2013年度は、月1回のペースで研究会を開催し、フロイトの翻訳版テクストの講読とメンバーによる研究発表を行う。まず、フロイトの精神分析理論の全体像を把握するための文献を1回で講読し、その後、フロイトの重要文献を年代順に読み進める。毎回の研究会では一つのテーマを設定し、フロイトの主要テクストを講読する回と、そのテクストに関して研究報告する回とを交互に行う。研究報告の回では、前回の研究会の論点や、扱ったテクストと各自の研究テーマとの関係についてなど、各メンバー独自の視点による発表を行い、研究会メンバーで議論・意見交換を行う(具体例としては、1回の研究会で『ヒステリー分析』を読み、次回の研究会で、ヒステリーに関する文献・論文を紹介したり、それを用いて研究報告を行ったりする)。

活動内容

  • 第1回研究会
    5月28日(火)14時40分~ @生命部屋
    『現代の精神分析――フロイトからフロイト以後へ』
    I フロイト理論の全体像
    1章・2章aまで:近藤宏
    2章b~c:中村亮太
    2章d~e:馬場久理子
    2章f:小西真理子
    II フロイトからフロイト以後へ
    1章~3章:小西真理子
    4章~6章:北村隆人
  • 第2回研究会
    7月2日(火)13時~ @生命部屋
    『フロイト全集2(ヒステリー研究)』
    観察1 アンナ・O嬢:田中壮泰
    病歴A エミー・フォン・N婦人:中村亮太
    病歴B ミス・ルーシー・R:近藤宏
    病歴C カタリーナ:北村隆人
    病歴D エリザベート・フォン・R嬢:馬場久理子
    ヒステリーの精神療法のために(フロイト):小西真理子
  • 第3回研究会
    8月6日(火)13:00~16:30 @生命部屋
    発表1:「アンナ・Oと共依存」(発表者:小西真理子・指定質問者:北村隆人)
    発表2:ドンブロフスキに関する発表(発表者:馬場久理子・指定質問者:大谷通高)
  • 第4回研究会
    9月10日(火)13時~ @生命部屋
    『フロイト全集 4巻(夢解釈Ⅰ)』
    第2章:北村隆人
    第3章:田中壮泰
    第4章:近藤宏
    第5章(A:大谷通高、B:小西真理子、CとD:馬場久理子)
  • 第5回研究会
    10月29日(火)13時~ @生命部屋
    『フロイト全集 5巻(夢解釈Ⅱ)』
    第6章(ABC:北村隆人・DEF:田中壮泰・GHI:近藤宏)
    第7章(ABC:中村亮太・DEF:馬場久理子)
  • 第6回研究会
    11月26日(火)13:00〜 @生命部屋
    研究発表(報告者:北村隆人 、馬場久理子)
  • 第7回研究会
    12月24日(火)13:00〜 @生命部屋
    研究発表(報告者:河原梓水、小西真理子)
  • 第8回研究会
    2月18日(火)13:00〜 @生命部屋
    「性欲論三篇」『フロイト全集6』
    第一篇:河原梓水
    第二篇:北村隆人
    第三篇:馬場久理子
    まとめ:小西真理子

成果及び今後の課題

 今年度は、月1回のペースで研究会を開催し、フロイトの著作(初期)の読解および精神分析に関する個人発表を中心として活動してきた。1年間の活動を通じてメンバーが、精神分析理論における基礎知識を習得することができた。今年度は、フロイトの著作を年代順に取り扱ってきたが、来年度は、メンバーの学術的関心に焦点を当てながら読解する著作を選抜し、より各メンバーの個人研究に還元できる活動を行っていきたい。

構成メンバー

  • 北村隆人 公共領域 4回・2012年度入学
  • 小西真理子 生命領域 5回・2011年度入学
  • 中村亮太 公共領域 1回・2013年度入学
  • 馬場久理子 生命領域 4回・2010年度入学
  • 由井秀樹 生命領域 5回・2011年度入学
言語教育における「ことば」と「アイデンティティ」を考える

院生代表者

  • 野島 晃子

教員責任者

  • 西 成彦

企画目的・実施計画

企画目的

 言語意識と個人のアイデンティティ形成は密接な関係をもつ。第一言語あるいは母語は自己のアイデンティティに大きな影響を及ぼすが、さらに別の言語(第二言語)が加わると複雑化する。意識しているか、していないかは別にしても、バイリンガルであることは単なる言語だけの問題ではない。また、言語選択には国の政治的要因も影響を及ぼすことが多い。
 本研究会は、言語教育を「目標言語を教育する」という側面からだけではなく、「アイデンティティを形成する」という側面をはじめとする多角的な観点から捉え、参加者各々の専門領域に応用する技術と知識の習得・探求を目的とするものである。

実施計画

1. 2013年6月から月1回ペースで研究会を開催する。
2. 参加メンバーの研究課題・研究関心に沿った文献講読や研究発表を行い、ディスカッションをとおして参加者の見識を深め、それぞれの研究へとつなげる。
3. 関連分野の講師を招聘し、特別研究会を実施する。

活動内容

  • 第1回研究会:2013年5月21日
     今回新たに立ち上げた研究会において、何をどのように進めて行くかに関し、各々の研究テーマ、関心のある事象、メンバーにすすめたい図書について意見交換を行った。
     それぞれの研究の進捗についても、お互いに評価し合い、積極的にコメントをすることができ、研究会としての新規テーマ設定だけに留まらず、各々が自分の研究について振り返る場となった。

  • 第2回研究会:2013年6月18日
     研究会にて輪読を進めるにあたり、その図書の選定を行った。各自が関心のある図書やこれまでの論文で使用した文献を持ち寄り、研究会のテーマに会うものを話し合った。単に図書の話だけではなく、著者の研究内容や研究機関等で行っている授業内容にまで話が発展し、活発な意見交換を行うことができた。

成果及び今後の課題

 メンバー各々の研究に関し理解を深め、批評し合う機会の場となったことは、直接的な研究会の成果につながらなくとも利点であったと考えることができる。
 代表者をはじめメンバーの予定がうまく合わず、研究会を定期的に開催することができなかった点、一年間を通じて開催しなかった点は大いに反省しなければならない。今後は、メンバーの大半が揃わない日程であっても定期的に研究会を開催し、また、メンバー以外の院生への周知、呼びかけも行い、多種多様な院生の間での意見交換の機会を持ちたい。今回実現できなかった講師招聘については、今後も引き続き候補者への打診を行い、実現に向けて進めていく。

構成メンバー

  • 野島 晃子 共生領域
  • 中井 和夫 共生領域
  • 児嶋 きよみ 共生領域
  • 北見 由美 共生領域
  • クァク・ジョンナン 公共領域
  • 馬場 裕子 共生領域
「共同連」における「共にいきる」ことを可能とする実践

院生代表者

  • 権藤 眞由美

教員責任者

  • 立岩 真也

企画目的・実施計画

  • 企画テーマ:「「共同連」における「共にいきる」ことを可能とする実践とはなにか」
    目的:共同連における対等な働き方と公正な分配方法、差別・偏見・能力主義への問い
    実施日:2013年10月23日(水)16時00分~19時00分
    場 所:創思館416 
    対談者・招聘者:立岩真也・共同連代表 堀 利和氏
  • 第30回記念共同連全国大会新潟大会参加
    日時:2013年8月24日(土)~8月26日(月)

    「共同連」の全国大会に参加し、「社会的企業」のモデルとなっている事業所の方々と交流を図り分科会にて意見交換 を行った上で、「共同連」の現在の課題や障害を持つ持たないにかかわらず共に働き生きることを可能としているもの が何かを分析する。

  • 「わっぱの会」見学
    日時:2014年2月20日(木)~2月21日(金)

活動内容

 2013年10月に研究会のメンバーだけでなく開かれた研究会にすることを目的に「「共同連」における「共にいきる」ことを可能とする実践とはなにか」というテーマで、共同連代表である堀利和氏と本学教員である立岩教授の対談を行った。教員、院生を含め12名の参加で「社会的企業」、障害のあるなしにかかわらない対等な働き方や公正な分配方法、能力主義について活発な議論をおこなった。
 また、院生個人の関心あるテーマに沿って、共同連全国大会に参加、愛知県名古屋市にある「わっぱの会」の各事業所見学などを行った。共同連全国大会に参加をした際には、障害の有無にかかわらず働き手である双方からの「共に働く」ことに関する現場からの報告を聞くことができた。ワークショップでは、「共に働く場」についての各々の取り組みや思い、工夫、悩みなどを意見交換し、「共に働く」ことを可能にする課題をグループごとにまとめ発表し交流を深めることができた。

成果及び今後の課題

 「「共同連」における「共にいきる」ことを可能とする実践とはなにか」というテーマを解明することは、障害を持つ人たちと持たない人が共に生きることを可能とするひとつのロジックである。1984年の結成大会基調で共同連結成にあたっての基本的一致点は①障害者差別とたたかう②障害者、健常者の平等性の追求③共に働く場、生活する場をつくっていくことであり、団体の中の強固な目的は現在も変わってはいない。そこには、仕事の能力に価値をおくのではなく共に生活を営む上でお互いが生活費を必要としているという前提のもと、支援する側される側の関係ではない労働の場における対等な関係が築かれるその過程には、障害の有無にかかわらず共に働く仲間、共に生きる仲間として、ひいては同じ社会生活を営む一員としての関係性が存在していることがわかったことは研究会の成果のひとつといってもいいだろう。

構成メンバー

  • 権藤眞由美
  • クァク・ジョンナン
  • イム・ドクヨン
  • 青木秀光
  • 坂井めぐみ
フランス現代思想研究会

院生代表者

  • 角田 あさな

教員責任者

  • 小泉 義之

企画目的・実施計画

 本研究会は、フランス現代思想の原書文献における精密な読解能力を習得すること、およびフランス語の語学力向上を目的としている。研究者に求められる能力を考慮すれば、院生の外国語原書読解能力の育成は重要である。本研究科は教員、修了生にフランスの思想研究を専門とする者が多く、フランス現代思想を学ぶ環境に恵まれているといえる。本研究会はその環境を活かすため、2011年1月より有志を募って勉強会を開催し、2012年からは院生プロジェクトとして研究会を行なってきた。先端研におけるこの研究会の意義は、院生がフランス現代思想の原書と向き合い、語学能力と読解能力を育成するための場を提供する点にある。
 2012年度は、月2~4回の割合で研究会を行い、ジル・ドゥルーズの『意味の論理学』の第1、2、12セリーを原書で通読し、年度末には教員責任者である小泉義之先生と、千葉雅也先生をコメンテーターに、公開研究会を開催した。
 2013年度も引き続き『意味の論理学』の第3セリー以降の講読を行う。研究会は毎週、月4回のペースで行う。毎回の研究会では、一文毎に精査・精読し、フランス語文法の理解と読解を丁寧に行う。その際、講師として立命館大学非常勤講師の松谷容作氏を招聘する。

活動内容

  • 第1回研究会
    日時:2013年7月1日(月)18時~
    場所:充光館3F 32
    内容:Gilles Deleuze, Logique du Sens, Les Editions de Minuit, 1969
    Troisème série de la proposition
    報告者 :中村亮太、小西真理子
  • 第2回研究会
    日時:2013年7月8日(月)18時~
    場所:充光館3F 32
    内容:Gilles Deleuze, Logique du Sens, Les Editions de Minuit, 1969
    Troisème série de la proposition
    報告者 :中倉智徳
  • 第3回研究会
    日時:2013年7月30日(火)13時~
    場所:学而館202
    内容:Gilles Deleuze, Logique du Sens, Les Editions de Minuit, 1969
    Troisème série de la proposition
    報告者 :松谷要作
  • 第4回研究会
    日時:2013年8月8日(水)14時~
    場所:学而館202
    内容:Gilles Deleuze, Logique du Sens, Les Editions de Minuit, 1969
    Troisème série de la proposition
    報告者 :小西真理子
  • 第5回研究会
    日時:2013年9月9日(月)13時~
    場所:学而館202
    内容:Gilles Deleuze, Logique du Sens, Les Editions de Minuit, 1969
    Troisème série de la proposition
    報告者 :角田あさな
  • 第6回研究会
    日時:2013年10月2日(水)13時~
    場所:学而館202
    内容:Gilles Deleuze, Logique du Sens, Les Editions de Minuit, 1969
    Troisème série de la proposition
    報告者 :松谷要作
  • 第7回研究会
    日時:2013年11月16日(土)13時~
    場所:朱雀キャンパス316
    内容:Gilles Deleuze, Logique du Sens, Les Editions de Minuit, 1969
    Troisème série de la proposition
    報告者:角田あさな、中倉智徳
  • 第8回研究会
    日時:2014年1月20日(月)11時~
    場所:学而館202
    内容:Gilles Deleuze, Logique du Sens, Les Editions de Minuit, 1969
    Quatrième série des dualités
    報告者 :松谷容作
  • 第9回研究会
    日時:2014年4月1日(火)13時~
    場所:学而館202
    内容:Gilles Deleuze, Logique du Sens, Les Editions de Minuit, 1969
    Quatrième série des dualités
    報告者 :角田あさな、中村亮太、中倉智徳

成果及び今後の課題

 本年度は、前年度の研究活動を継続する形で、引き続き『意味の論理学』の原著読解を行い、著作の理解を深めると同時に、メンバーのフランス語読解能力の向上に努めた。立命館大学非常勤講師の方々にもご参加いただいたおかげで、院生の能力向上とより活発な議論を実現することができた。来年度以降も、引き続き『意味の論理学』の精読を行っていきたい。

構成メンバー

  • 角田 あさな 表象領域5回・2009年度入学
  • 小西 真理子 生命領域5回・2011年度
  • 中村 亮太 公共領域1回・2013年度入学
生命倫理研究会

院生代表者

  • 吉田 一史美

教員責任者

  • 小泉 義之

企画目的・実施計画

 本研究会の目的は、人の生命(生死)をめぐる問題を倫理的観点から検討することである。研究会活動をはじめて今年で6年目に入る。各自の関心、課題に沿った文献講読や研究発表を行い、議論を通して参加者の見識を深め、各々の研究の深化・発展に繋げる。とくに学会発表やジャーナルへの投稿を目標とし、各々の研究を進捗させる一つの拠点として位置づけ、さらに今年度は3名在籍している博士論文執筆予定者の報告会を実施する。月に1回のペースで研究会を開催し、各自の研究発表を行う。

活動内容

  • 第1回研究会
    日時:5月10日 場所:立命館大学衣笠キャンパス学而館202研究室
    報告1 杉島優子「日本における胃瘻の変遷:研究論文のレビューを通して」
    報告2 由井秀樹「日本における人工授精普及過程に関する歴史的検討:『生殖の医療化』の進展」
  • 第2回研究会
    日時:9月28日 場所:立命館大学衣笠キャンパス学而館202研究室
    報告 各自の研究進捗状況の発表(由井秀樹、小西真理子、吉田一史美、鍾宜錚)
  • 第3回研究会
    日時:11月12日 場所:立命館大学衣笠キャンパス学而館202研究室
    報告1 小門穂(生存学研究センター専門研究員)「フランスにおける生殖補助医療と平等――2013年同性婚法案審議の検討から」
    報告2 鍾宜錚「台湾における「死に方」の言説――新聞記事から見た「安楽死」、「自然死」、「安寧死」について」
  • 第4回研究会
    日時:2月11日 場所:立命館大学衣笠キャンパスアカデメイア21小会議室2
    報告1 小西真理子「共依存の倫理:精神分析と臨床心理を越えて」
    報告2 吉田一史美「近代日本における胎児・乳児の生命保護――子どもの生存保障としての養子制度に関する歴史研究」
    報告3 由井秀樹「日本における不妊医療と非配偶者間人工授精の導入をめぐる歴史研究」

成果及び今後の課題

 研究会メンバーが各自、学会発表や論文発表を行った。とくに鍾宜錚は発表論文について生命倫理学会から奨励賞を授与された。また、博士論文執筆予定者3名がすべて3月に学位請求論文を提出することができた。今年度は実りの多い研究会活動であった。今後は、研究発表とあわせて文献講読も積極的に行っていく。

構成メンバー

  • 吉田一史美(先端総合学術研究科生命領域2008年度入学)
  • 西沢いづみ(先端総合学術研究科生命領域2008年度入学)
  • 馬場久理子(先端総合学術研究科生命領域2010年度入学)
  • 由井秀樹(先端総合学術研究科生命領域2011年度入学)
  • 小西真理子(先端総合学術研究科生命領域2011年度入学)
  • 坂井めぐみ(先端総合学術研究科生命領域2011年度入学)
  • 鍾宜錚(先端総合学術研究科生命領域2012年度入学)
  • 徳山貴子(先端総合学術研究科生命領域2012年度入学)
ドイツ語文献講読会(2013年度)

院生代表者

  • 奥坊 由起子

教員責任者

  • 吉田 寛

企画目的・実施計画

 先端的な研究を行う上で、語学力は必要不可欠である。本研究会は、研究遂行上ドイツ語文献の読解を要する院生を中心に、ドイツ語の基礎を学び、読解力の向上を目指すものである。本研究会のメンバーは、ここで培った語学力を活かして学会発表、論文執筆に励み、各自の研究を深めてもらう。

活動内容

 2013年度は新メンバーも加わったことから前期はドイツ語文法を基礎から復習することに力を入れた。後期はメンバーの希望を募ってドイツ語文献を二冊選択して、月一回のペースで講読会を開いた。一冊は音楽史研究の古典Guido Adler, Handbuch der Musikgeschichte, Frankfurt Verlags-Anstalt, 1924で、もう一冊は先端的なトラウマ研究書Franz Ruppert, Trauma, Angst und Liebe: Unterwegs zu gesunder Eigenständigkeit. Wie Aufstellungen dabei helfen, Kösel-Verlag, 2012である。

成果及び今後の課題

 2013年度前期は各メンバーのドイツ語の基礎力を磨き、後期はテクストの読解力の向上を目指したが、この1年余りの研究会での学習と講読とを通じて、メンバーの語学力は、ある程度のドイツ語文献であれば目立った誤読もなく読みこなせる程度には上達した。本来ならば本研究会の成果を学会発表や投稿論文の形で発信すべきではあったが、実現できなかったことが悔やまれる。外国語は一朝一夕では物にはならない。しかし、可能ならば2014年度も本研究会を継続したいと考えている。その折はメンバーの実力も一定の水準に達し、ドイツ関連の論文や学会発表において、本研究会で培った実力を示すことができるはずである。

構成メンバー

  • 田中壮泰 共生領域・2005年度入学
  • 番匠健一 生命領域・2005年度入学
  • 小西真理子 生命領域・2011年度入学
  • 角田あさな 表象領域・2009年度入学
  • 馬場久理子 生命領域・2010年度入学
2013年度
2013年|立命館大学大学院 先端総合学術研究科

2013年度 行事

2013年4月

  • 3月31日(日) 院生オリエンテーション
  • 1日(月) 前期セメスター開始
  • 8日(月) 前期セメスター授業開始

2013年5月

  • 14日(火) 入試説明会(衣笠)
  • 19日(日) 本学創立記念日

2013年6月

2013年7月

2013年9月

  • 8日(日) 9月実施入学試験試験日
     → 合格発表日:2012年9月20日(金)
  • 25日(水) 前期セメスター終了
  • 26日(水) 後期セメスター開始/後期セメスター授業開始

2014年1月

  • 20日(月) 後期セメスター授業終了

2014年2月

2014年3月

  • 31日(月) 後期セメスター終了