障害者における文化的空間へのアクセシビリティ(2025年度)

院生代表者

  • 高岡 杏

教員責任者

  • 小川 さやか

概要

今日において障害者の社会参加への促進に向けて、多数の論文またはプロジェクトが進められている。この社会参加とは、労働や教育を指すことが多い。このふたつが重要であることは自明である。けれども、人間のライフスタイルにおいて、趣味という部分も大きく占めるのではないだろうか。本研究で障害者が趣味という形で社会参加をする上で、その文化的空間にはどのような合理的配慮等が必要であるかに注目する。2024年4月1日から事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化され、エンターテインメントを提供する企業にもその義務が課せられることになった。だが、合理的配慮というものは一体どういったものなのかは世の中に未だ浸透されていない。聴覚障害であれば、手話通訳または音声を文字へ変換する器具の持ち込みの検討であったり、肢体不自由者であれば、車椅子スペースの設置や介助者の派遣・扱い方などを検討しなくてはならない。本研究プロジェクトでは、①障害当事者がいかにしたら健常者と同じように趣味という形で文化的空間への参入ができるようになるのかを検討し、②エンターテインメントを提供する側に合理的配慮に発信することを目的とする。

活動内容

構成メンバー

高岡 杏
宮本 敬太
山口 和紀
種村 光太郎
玉田 襟

身体論・空間論研究会(2025年度)

院生代表者

  • 宮内 沙也佳

教員責任者

  • 美馬 達哉

概要

 本研究会の目的は、それぞれの理論に関する文献講読と公開研究会での意見交換を通して、研究会所属メンバーの博士論文執筆の切り口の発展、研究者としての活動の礎を築くことである。そのために本研究会では、以下4点の内容をおこなう。①読書会、②読書会で検討したテキストの著者や研究者を招聘した公開研究会、③各メンバーの執筆原稿のブラッシュアップである。以上を通して、着実な研究環境の生成や成果発信の場として研究会を機能させていく。
 本研究会が発足した2024年度では、フーコー『ユートピア的身体/ヘテロトピア』、ハラウェイ『サイボーグ宣言』、カヴェル『眼に映る世界』の講読を進めてきた。その延長線上として、本年度はドゥルーズ『シネマ I・II』の購読を中心にする。同時に、前年度の文献と部分的にオーバーラップする形で「中心/脱中心」や「システム/バグ」を思考するために、ギャロウェイ『プロトコル』も講読予定である。上記の文献講読(月1回程度開催予定)に加え、各メンバーの原稿検討会(月1回開催予定)、公開研究会(2月開催予定)といった流れで本研究会を進行する。
 本プロジェクトの意義は、多様な専門領域における身体論や空間論を探ることによって、身体の拡張性や有限性を捉えることである。身体論と空間論は緊密な関係にある。本研究のメンバーは、視覚文化論やメディア論、分析哲学などを背景とするメンバーから構成されている。そのため、多様な視点を双方向に発信し、各々の研究に還元することに本研究会の意義がある。

活動内容

構成メンバー

宮内 沙也佳
濱中 健太
KIM Kyo
浦野 智佳
立川 宗一郎
徳永 怜
加藤 このみ
今井 友哉
水口 陽太

活動歴

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フランス現代思想研究会(2025年度)

院生代表者

  • 立川 宗一郎

教員責任者

  • 千葉 雅也

概要

 本研究プロジェクトの目的は、フランス現代思想に関する文献を用いた購読会を通じて、分野の知見を深め、研究者としてのスキルアップを目指すことである。具体的な内容としては、2025 年 6 月から 2026 年 2 月にかけて、関連研究を行うメンバーによる月例の研究会を実施し、文献の購読とレジュメ作成を行い、発表形式で購読会を進めていく。さらに、秋学期以降は公開研究会を開催し、フランス現代思想を専門とする講師を招聘し、より専門的な講義とディスカッションを行う。
 本研究プロジェクトの意義は、以下の通りである。
1. フランス現代思想分野における知見の深化:文献の購読とディスカッションを通じて、フランス現代思想の理論やアイデアについてより深い理解を得ることができる。
2. 研究者としてのスキルアップ:レジュメ作成や研究発表を通じて、研究方法や論理的思考力など、研究者として必要なスキルを向上させることができる。
3. 学外講師との交流:公開研究会を通じて学外の専門家と交流し、専門的な知識や視点を得ることができる。

活動内容

構成メンバー

立川 宗一郎
北村 公人
濱中 健太
蛭間 直人
徳永 怜
小野 瑞佳
水口 陽太

活動歴

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少数者と教育研究会(2025年度)

院生代表者

  • 種村 光太郎

教員責任者

  • 阿部 利洋

概要

 本研究会は、「少数者と教育」というテーマに関する研究を行う院生によって運営されている。例えば、メンバーの山口が研究している「高等教育の障害学生支援」という分野では、従来「支援の在り方」や「制度の在り方」に注目した研究が多くなされてきた。しかし、当該分野においては、そもそも「どのような経緯で障害学生が高等教育に受け入れられるようになったのか」について研究されてこなかった。また、メンバーの竹村が研究対象とする「障害者の高校進学」について、視覚・聴覚・身体障害などの障害学生への合理的配慮は検討されても、「学力」で劣る重度知的障害者への合理的配慮については十分検討されてこなかった。本研究会では、そのような「少数者」が教育機関で学ぶ時に前提となり議論されていないこと、例えば「高等教育では障害者/健常者とを分けずに、共に学んでいくこと」「知的障害者が高等教育に進学することが困難」など、「社会的少数者が高等教育機関で学ぶ」などについて議論を行う。そうすることで、本研究会では社会的少数者と教育に関係する学術的な議論を根本から問い返すことを目指す。
 そこで本研究会では、各々の研究対象について議論することはもちろん、「少数者と教育」に関するテーマ全般について議論していき、以下の目的の達成を目指す。①「少数者と教育」に関する研究動向や歴史を把握、及び実態を調査し、その成果を発信していくことを通じて、学術研究の発展に寄与できる実践力を身に付けること。②「少数者と教育」に関わる研究を行う院生の共同研究を通じて、各自の研究能力を向上させること。③ 研究目的に沿った研究者に講演をしてもらい、「少数者と教育」を取り巻く課題について理解を深める。

活動内容

 

構成メンバー

山口 和紀
兵藤卓磨
種村 光太郎
竹村 文子
山本 由紀子
村田 准
大橋 一輝
高岡 杏

活動歴

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映画理論・映画批評研究会

院生代表者

  • 西川 秀伸

教員責任者

  • 千葉 雅也

概要

 本研究プロジェクトの目的は、映画理論とその作品分析の方法論に対する理解を深めることである。本研究プロジェクトはこの目的を実現するために、新旧の映画理論及び映画批評を精読し、その理解をもとに改めて映画実践について考えてみようと思う。
 講読予定のテクストは蓮實重彦の『映画監督 小津安二郎』と木下千花の『溝口健二論 映画の美学と政治学』である。本研究会では定期的に講読会を開催し、この二つのテクストを精読する予定である。また講読会とは別に、関東と関西からそれぞれ映画研究者を招聘し研究会を開催予定である。
 本研究プロジェクトの意義は、次の三点に集約される。第一に、蓮實重彦と木下千花の映画批評と映画理論の実践を精緻に理解し運用できるようになることである。第二に、研究会を開催することによって生まれる研究者同士の交流である。第三に、本研究プロジェクトを通して、抽象的な次元の映画理論と具体的な次元の作品分析のための方法論の双方に精通することによって、映画研究の未来に資する能力を養うことができることである。

活動内容

構成メンバー

西川 秀伸
宮内 沙也佳
立川 宗一郎

活動歴

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日本現代批評史研究会(2025年度)

院生代表者

  • 今井 友哉

教員責任者

  • 千葉 雅也

概要

 本研究会は、日本現代批評史における重要文献の講読を通して、日本現代批評の歴史意識や現代の批評状況を捉えることにより、批評的な問題意識を醸成することを目的とする。また、学術と批評の横断可能性を意識づけ、多角的な視点を身につけることで、学術/批評をまたぐ「知」のあり方を模索する。
 学術/批評にまたがる「知」に接近するために、日本現代批評に関心をもつ院生とともに文献講読を行う。前年度の講読文献であった福尾匠『非美学――ジル・ドゥルーズの言葉と物』(河出書房新社、2024年)における問題意識を引き継ぎつつ、講読する文献は平倉圭『ゴダール的方法』(インスクリプト、2010年)とする。
文献講読と併せて、7月4日(金)~8月31日(日)の期間開催されるジャン=リュック・ゴダール《感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について》展を鑑賞する。そうすることで、「ゴダール的方法」を経験的に把握することを目指す。
 本研究会の意義は主に三つある。第一に、さまざまな学問分野の「知」を包含する日本現代批評史を追うことで、文学・哲学・ゲーム研究・メディア論・表象文化論等々の諸分野に関わる横断的な「知」を獲得すること。第二に、批評の歴史意識のなかに存する、学術に還元することを可能とする「知」を探ることを通して、批評的かつアクチュアルな問題意識を形成すること。第三に、さまざまなコンテクストが交差する日本現代批評の文献を講読することにより、複数的な思考を同時的に駆動するようなテクスト読解の能力を向上すること。以上の三点を通して、学術/批評の「知」を血肉化する。

活動内容

構成メンバー

今井 友哉
高畑 和輝
立川 宗一郎
徳永 怜
間宮 琴子
水口 陽太

活動歴

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脱構成研究会(2025年度)

院生代表者

  • 徳永 怜

教員責任者

  • 美馬 達哉

概要

・【目的】
本院生プロジェクトは、イタリアの政治哲学者ジョルジョ・アガンベンによるホモ・サケルシリーズの文献講読を行う。本年度は『身体の使用₋脱構成的可能態の理論のためにー』(上村忠雄訳.みすず書房.2016)及び『王国と栄光:オイコノミアと統治の神学的系譜学のために』(高桑和己訳.青土社.2023)を主要な輪読文献とし、【脱構成】というテーマを基軸に広く「生政治」を問題とする政治哲学、公法学、美学への読解力の向上を目的とする。
【脱構成】とは、アガンベンがアントニオ・ネグリの「構成的権力」を批判する際に提示した戦略である。執行権力が法措定を事実上占領する「例外状態」が常態化した今日において、憲法制定の力としての「構成的権力」に頼ることはもはや袋小路である。【脱構成】はこうした生政治的状況に応答するために、法措定を回避する生の形式の可能性を広く問うものであり、その実践について理論的な考察を行うことが本研究会の任務となる。
・【活動】
月例の文献講読を行う。アガンベン読解においては、現代政治哲学における生政治理論の専門用語(統治性、別の生の形式)、公法学の専門用語(構成的権力、構成された権力)、美学の専門用語(ポイエーシス、プラクシス)等、多くの専門知識が求められる。メンバーは報告の過程でこれらの専門知識について適宜調査し、自らの血肉として理論を運用できるよう研鑽に努める。また、適宜イタリア現代思想を専門とする外部講師(長島皓平氏)等を招聘し、研究指導を仰ぐ。
・【意義】
本研究会での研鑽を通じて、メンバーは「生政治」理論を中心とした諸々の専門領野に対する読解力を養うことが期待される。
アガンベンの文献読解は、多様な分野の古典理論を現代の状況に敷衍して思考する際に最良の糧となる。現代思想のバックボーンを構成する、諸々の人文科学領野に対する基礎体力を醸成することは、参加メンバーの研究の質を根底から向上させることに役立つであろう。
本研究プロジェクトの目的は、イタリアの政治哲学者ジョルジョ・アガンベンのホモ・サケルシリーズの文献を用いた講読会を通じて、【脱構成】というテーマから現代の「生政治」を問題とする政治哲学、公法学、美学に関する知見を深め、研究者としてのスキルアップを目指すことである。
【脱構成】とは、アガンベンがアントニオ・ネグリの「構成的権力」を批判する際に提示した戦略である。執行権力が法措定を事実上占領する「例外状態」が状態化した今日において、憲法制定の力としての「構成的権力」に頼ることはもはや袋小路である。【脱構成】はこうした生政治的状況に応答するために、法措定を回避する生の形式の可能性を広く問うものであり、その実践について理論的な考察を行うことが本研究会の任務となる。
*本研究会は立命館大学先端総合学術研究科の学生を主要メンバーとしつつ、京都大学人間環境学研究科のアガンベン研究者である竹下涼氏、東京都立大学人文科学研究科のバタイユ研究者である森裕太氏、学習院大学大学院のフーコー研究者である石田幸人氏、無所属のフーコー研究者である仲宗根大介氏等、複数名の有志も協働で参加する。

 

活動内容

構成メンバー

徳永 怜
立川 宗一郎
今井 友哉
水口 陽太
久保田 はな(文学研究科)

活動歴

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ゲーム基礎文献購読研究会(2025年度)

院生代表者

  • 木村 亮太

教員責任者

  • Martin ROTH

概要

本研究プロジェクトでは、ゲーム研究における基礎文献の読解と共有を主軸に、各参加者の知識の向上を目指すものである。
本研究プロジェクトでは、ゲーム研究における基礎文献の読解と共有を主軸に、各参加者の知識の向上を目指すものである。ゲーム研究における基礎文献を取り上げ、定期的に開催する研究会で文献の内容についてのディスカッションを行う。これらの研究会を踏まえて、年に2回ほどゲーム研究者を講師として招待し、取り扱った資料に関して講演や議論を行う。
これらの研究会を実施することで、各々のゲーム研究に対する知識の向上と、領域として日の浅いゲーム研究で基礎文献についての知識共有につながり、ゲーム研究の更なる発展に寄与できる。
 

活動内容

構成メンバー

木村 亮太
平田 清音
LIANG Shihyu
TONG Haorui
PARK Sujin
間宮 琴子
LEE Mimong
YU Haowen
FANG Ya
水口陽太
QIAN Yiyang

活動歴

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院生代表者

  • 大橋 一輝

教員責任者

  • 後藤 基行

概要

【目的】
 本研究会の目的は、障害者の働くことに関する研究を行う院生が共同研究を通じて、博士論文執筆に必要な研究力を向上させることにある。所属メンバーが調査対象とする障害種別は、身体障害(視覚・聴覚)、精神障害、知的障害の3区分に及ぶ。各院生の問題意識に基づいて、障害者の「働くこと」を実践する場を調査することで、個々の障害種別に特化する傾向にある各個研究を「job&work」のテーマに即して編集し、独創的な共同研究を切り拓く。

【内容・方法】
 本研究会では、各院生による研究動向の発表・討論をおこなう定例会を対面またはZoomで毎月開催することで、学術研究の発展に寄与できる実践力を養う。また、本研究会では、「働くこと」を実践する複数の団体を調査する。主な調査先として、「①NPO法人ちゅうぶ」、「②NPO法人わっぱの会」、「③社会福祉法人素王会」を想定している。具体的には、①と③は生活介護事業所、②は就労継続支援B型の場を対象とした聞き取りなどの質的調査を行う。
 また、必要に応じて、就労継続支援に関するその他団体を対象としたフィールドワークの実施も検討している。以上の団体の活動を比較検討することによって、障害者の「働くこと」をめぐる今日的状況の一端を明らかにする。

【意義】
 障害種別によって合理的配慮を含めた労働条件、雇用方法は大きく異なる。現在、特別支援教育を受けている児童生徒や不登校児童の増加により障害者雇用の拡大は予想されるが、それに伴ってその状況は大きく変わっている。例えば、障害者雇用の特例子会社、A型・B型就労継続支援事業所は急増し、ビジネスとして成長している。この状況下で、各院生がそれぞれの視点を持ち寄ることは、個々の障害種別にとらわれない多角的な議論の発展に資する。

 

活動内容

構成メンバー

竹村 文子
宮本 敬太
大矢 雅之
種村 光太郎
山口 和紀
山本 由紀子
原田 武彦

生命論研究会(2025年度)
  • Qu Hongkin

教員責任者

  • 美馬 達哉

概要

〈生命〉というのは、もはや単なる生物学的事象の指示対象ではない。それは近代における知の制度的配置の中核を成しつつ、統治・倫理・経済・美学の諸領域を横断しつつ変容し続ける概念である。そして現代社会において、「生命」という語は、あらゆる領域を貫通するキーワードとして機能している。生殖医療、遺伝子工学、終末期ケア、気候危機、感染症管理、そしてAIといった領野において、生命はもはや自然的な事実だけではなく、制度的に定義され、政治的に管理され、倫理的に構築される対象へと変貌している。
 とりわけ、本研究会は以下の三点を柱とする。一、生命論の哲学的系譜の再検討:ベルクソン、カンギレム、フーコー、ドゥルーズ、モランらに代表される現代思想による生命論の展開を鳥瞰する。二、日本近現代思想における生命観の特異性の検討:澤瀉久敬らの仕事を手がかりに、近代日本における生命観の変容とその制度的・文化的条件を析出する。三、医療、教育、福祉、司法等における生命の定義と操作の実践、すなわち生命に対する介入の歴史的変遷に、総合的視点を導入しつつ検証する。
 

活動内容

構成メンバー

QU Honglin
OUYANG Shanshan
宮内 沙也佳
WANG Yusen
WANG Yuyang
徳永 怜
今井 友哉
山村 洸貴