コンテンツ文化研究会

院生代表者

  • 彭 莱

教員責任者

  • 吉田 寛

企画目的・実施計画

 本研究会の目的は、ゲーム、映画・映像、マンガ、アニメなどコンテンツ分野に関する歴史・変遷・現状を巡って、特にグローバルな視点から、既存のコンテンツや視覚文化に対する理解を深めながら、将来性を検討することである。
 本研究会においては、個々分野の分析だけではなく、多数のコンテンツを横断的に概括し、今後コンテンツや視覚文化における研究の方向と課題の提出を試みる。また、申請者共はこの研究会を媒介として、各分野に関心を持つメンバーの交流・支援のためのネットワークの基礎を構築する。

構成メンバー

  • モリ カイネイ(先端総合学術研究科共生領域2009年度入学)
  • 川崎 寧生(先端総合学術研究科表象領域2009年度入学)
  • ホウ ライ(代表者)(先端総合学術研究科表象領域2010年度入学)
  • リョウ ウキ(研究分担者)(先端総合学術研究科生命領域2012年度入学)
  • ラン ブンセイ(先端総合学術研究科生命領域2013年度入学)
メディアからの発信 2014年度
  • 千葉雅也准教授の著書『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(河出書房新社、2013年)が、『表象09――音と聴取のアルケオロジー』の書評に取り上げられました(評者:江川隆男〔立教大学教授](2015/03))
  • 西成彦教授の著書『バイリンガルな夢と憂鬱』(人文書院、2014年)の書評が、『毎日新聞』書評欄に掲載されました(評者:池澤夏樹〔作家〕(2015/01/11))
  • 本研究科修了生、大野光明さんの著書『沖縄闘争の時代1960/70』(人文書院、2014)の書評が毎日新聞(11/16書評欄)に掲載されました。
  • 千葉雅也准教授の著書『別のしかたで ツイッター哲学』の書評が、『週刊読書人』に掲載されました(評者:佐々木敦〔批評家〕(2014/09/26))。→リンク
  • 千葉雅也准教授が著書『別のしかたで ツイッター哲学』の出版に関連して『朝日新聞』の「著者に会いたい」欄に掲載されました(「「仮の輪郭」を選び取る」(2014/7/27))。→リンク
  • 修了生、元研究指導助手・永田貴聖(現・本学専門研究員)さんの著書『トランスナショナル・フィリピン人の民族誌』が『東南アジア―歴史と文化』43号(東南アジア学会 山川出版社刊行)に石井正子准教授(大阪大学大学院人間科学研究科)による新刊書紹介として掲載されました。リンク(amazon)→リンク
    永田さんの著書はこれまでにもいくつかの学術誌(『文化人類学』ほか)に書評として掲載されています。→リンク
  • 立岩真也教授の著書『造反有理――精神医療現代史へ』の書評が、『北海道新聞』に掲載されました(評者:石原孝二〔東京大学大学院准教授〕「資料で示す「停滞」の背景」(2014/01/26))。→リンク
  • 本研究科修了生の川口有美子さんが藤原書店主催の第9回「河上肇賞」の奨励賞を受賞しました!→リンク
「踏みとどまる思考――『動きすぎてはいけない』を読む」

企画概要

 立命館大学大学院先端総合学術研究科では、「踏みとどまる思考――『動きすぎてはいけない』を読む」と題して、千葉雅也氏の著書『動きすぎてはいけない:ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』の書評ワークショップを開催いたします。コメンテーターとして、分析哲学をご専門とする山口尚氏(京都大学非常勤講師)をお迎えいたします。
 予約不要、参加無料、学外の方も御参加いただけますので、ぜひお越しください。

開催日時・場所

  • 日時:1月31日(土)14:00~
    場所:立命館大学衣笠キャンパス創思館303・304号室
    内容:

    14:00~14:50 山口氏によるコメント「非意味の意味の可能性――『動きすぎてはいけない』への応答」
    15:00~15:50 千葉氏からの応答「意味をもちすぎない切断」
    (千葉氏と山口氏の対談形式)
    16:00~16:50 全体討議

  • 主催
    立命館大学大学院先端総合学術研究科
公聴会(2013年度分)

2013年度(遡及) 博士学位審査(甲号)公聴会

以下のとおり公聴会を実施いたします。
なお、やむを得ぬ事情のあるときを除き、
先端総合学術研究科大学院生は全員参加を原則としています。

■ 学位審査申請者:大貫 菜穂(表象)
学位申請論文名:「変身装置としての「ほりもの」―イレズミの絵画的・文学的表象分析―」
日時: 2014年 7月 3日(木)11時00分~
場所: 創思館カンファレンスルーム
審査委員:
【主査】吉田 寛    准教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】岸 文和    教授 (同志社大学文学部美学芸術学科)
【副査】千葉 雅也  准教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】渡辺 公三  教授 (立命館大学先端総合学術研究科)

■ 学位審査申請者:一宮 茂子(公共)
学位申請論文名:「生体肝移植ドナーの意味付与―肯定感と否定感を分かつもの―」
日時: 2014年 7月 3日(木)17時00分~
場所: 創思館カンファレンスルーム
審査委員:
【主査】立岩 真也     教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】西村 ユミ   教授 (首都大学東京大学院人間健康科研究科)
【副査】上野 千鶴子  教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】小川 さやか 准教授 (立命館大学先端総合学術研究科)

■ 学位審査申請者:由井 秀樹(生命)
学位申請論文名:「日本における不妊治療と非配偶者間人工授精の導入をめぐる歴史研究」
日時: 2014年 7月 4日(金)11時00分~
場所: 創思館カンファレンスルーム
審査委員:
【主査】松原 洋子   教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】林 真理   教授 (工学院大学基礎・教養教育部門)
【副査】天田 城介  教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】小泉 義之   教授 (立命館大学先端総合学術研究科)

■ 学位審査申請者:田邉 健太郎(表象)
学位申請論文名:「音楽作品の存在論的探求―分析美学の観点から―」
日時: 2014年 7月 4日(金)18時00分~
場所: 創思館カンファレンスルーム
審査委員:
【主査】吉田 寛    准教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】松崎 俊之  教授 (石巻専修大学人間学部人間文化学科)
【副査】小泉 義之  教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】竹中 悠美  准教授 (立命館大学先端総合学術研究科)

■ 学位審査申請者:吉田 一史美(生命)
学位申請論文名:「近代日本における乳児の生命保護―婚外子の生存保障としての養子制度に関する歴史研究―」
日時: 2014年 7月 10日(木)11時00分~
場所: 創思館カンファレンスルーム
審査委員:
【主査】松原 洋子  教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】津崎 哲雄  教授 (京都府立大学公共政策学部)
【副査】小泉 義之  教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】渡辺 公三   教授 (立命館大学先端総合学術研究科)

■ 学位審査申請者:田中 壮泰(共生)
学位申請論文名:「戦間期ポーランドのユダヤ系文学研究―異文化接触と複数言語使用の観点から―」
日時: 2014年 7月 15日(火)13時00分~
場所: 創思館カンファレンスルーム
審査委員:
【主査】渡辺 公三  教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】沼野 充義  教授 (東京大学文学部言語文化学科)
【副査】小泉 義之  教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】吉田 寛   准教授 (立命館大学先端総合学術研究科)

■ 学位審査申請者:大谷 通高(公共)
学位申請論文名:「日本における犯罪被害者の法的救済の歴史と理論」
日時: 2014年 7月 15日(火)14時30分~
場所: 創思館カンファレンスルーム
審査委員:
【主査】立岩 真也   教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】佐藤 恵   准教授 (法政大学キャリアデザイン学部)
【副査】天田 城介  教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】小泉 義之   教授 (立命館大学先端総合学術研究科)

■ 学位審査申請者:植村 要(公共)
学位申請論文名:「視力回復手術を受けたスティーブンス・ジョンソン症候群による中途失明者のナラティブにおける「治療」についての障害学的研究―当事者性を活用したインタビュー調査から―」
日時: 2014年 7月 15日(火)16時00分~
場所: 創思館カンファレンスルーム
審査委員:
【主査】立岩 真也   教授  (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】熊谷 晋一郎 特任講師 (東京大学先端科学技術センター)
【副査】天田 城介  教授  (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】松原 洋子   教授   (立命館大学先端総合学術研究科)

■ 学位審査申請者:片山 知哉(公共)
学位申請論文名:「所与の選択―こどもの文化選択をめぐる規範理論―」
日時: 2014年 7月 15日(火)17時30分~
場所: 創思館カンファレンスルーム
審査委員:
【主査】立岩 真也   教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】高岡 健   准教授 (岐阜大学医学部)
【副査】井上 彰  准教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】渡辺 公三   教授 (立命館大学先端総合学術研究科)

■ 学位審査申請者:小西 真理子(生命)
学位申請論文名:「共依存の倫理―精神分析と臨床心理を越えて―」
日時: 2014年 7月 17日(木)14時00分~
場所: 創思館303.304教室
審査委員:
【主査】小泉 義之   教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】品川 哲彦  教授 (関西大学文学部総合人文学科)
【副査】松原 洋子   教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】竹中 悠美 准教授 (立命館大学先端総合学術研究科)

■ 学位審査申請者:松田 有紀子(共生)
学位申請論文名:「花街・祇園町歴史人類学的研究―継承/変貌する〈芸〉―」
日時: 2014年 7月 22日(火)16時00分~
場所: 創思館カンファレンスルーム
審査委員:
【主査】渡辺 公三   教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】松田 素二  教授 (京都大学大学大学院文学研究科)
【副査】天田 城介   教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】竹中 悠美 准教授 (立命館大学先端総合学術研究科)

2013年度 博士学位審査(甲号)公聴会

■ 学位審査申請者:牛 革平(共生領域)
学位申請論文名:「Comparing Liberalism and Confucianism:A Perspective on the Problem of China’s Political Modernization」
日時: 2014年 1月 9日(木)13時30分〜
場所: 創思館カンファレンスルーム
審査委員:
【主査】Paul G. Dumouchel 教授(立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】谷口功一 准教授 (首都大学東京法学系)
【副査】井上彰  准教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】渡辺公三  教授 (立命館大学先端総合学術研究科)

■ 学位審査申請者:田中慶子(公共領域)
学位申請論文名:「個人化社会における労働の変容と心の問題」
日時: 2014年 1月 9日(木)16時00分〜
場所: 創思館カンファレンスルーム
審査委員:
【主査】立岩真也   教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】中根光敏    教授 (広島修道大学人文学部)
【副査】井上彰    准教授 (立命館大学先端総合学術研究科)
【副査】小川さやか 准教授 (立命館大学先端総合学術研究科)

★ 公聴会発表者へ
公聴会発表にあたっての留意事項です。

  1. 発表時間は30分、質疑応答30分とする。
  2. レジュメの様式は特に指定しない。あらかじめ50部を用意して持参すること。
  3. レジュメのデジタルデータをメールに添付して提出すること。(学外サーバーにて配付する。)
  4. 発表用原稿またはメモはレジュメとは別に各人において用意すること。
  5. 発表用に使用する機器類については事前に相談すること。
  6. 2010年度よりWEBでの音声配信も先端研内で公開としていますが、なんらかの理由により公開しない場合はその旨届けること。

以上

第87回日本社会学会大会のシンポジウム「<当事者宣言>の社会学――カムアウトからカテゴリー構築まで」公開報告会

研究会趣旨

    2014年11月23日(日)13:30~17:00まで、神戸大学六甲ホールにて、第87回日本社会学会大会のシンポジウムの一つとして「<当事者宣言>の社会学――アウトカムからカテゴリー構築まで」が開催されました。このシンポジウムに上野が討論者として参加したので、このシンポジウムを踏まえた上で、「当事者性」や「当事者研究」について議論ができればと思っています。関心のある方々は申し込み不要ですので、自由にご参加ください。なお、当該企画は上野のプロジェクト演習の番外編として企画されています。

    参加費無料・申し込み不要ですが、教室が狭いため、また人数確認のため、天田・上野までご連絡頂けると有り難いです

開催概要

    日時:2014年11月28日(金)16:20~19:30
    場所:立命館大学衣笠キャンパス創思館405・406
    参加費無料・申し込み不要

    報告
    広瀬浩二郎(国立民族学博物館)「触常者とは誰か――自尊心・主導権・持続力を兼ね備えた“当事者”の模索」へのコメント
     報告者:中村亮太(15分)
    高森明(発達障害当事者)「アブノーマライゼーション宣言解説」へのコメント
     報告者:白田幸治(15分)
    杉野昭博(首都大学東京)「障害ソーシャルワークの視点から見た障害者運動の主張」へのコメント
     報告者:栄セツ子(15分)
    小宮友根(東北学院大学)「言葉を用いた革命の試み」へのコメント
     報告者:三上保孝(15分)

    討議
     討論者:上野千鶴子(立命館大学)(20分)
    全体コメント:
     討論者:天田城介(20分)
    全体討論(80分)

    司会:萩原三義

「音楽と社会」研究会

院生代表者

  • 堤 万里子

教員責任者

  • 吉田 寛

企画目的・実施計画

 音楽文化を考えるうえで、社会との関わりからとらえ直すことは、最近の主潮になっている。この潮流は、ポピュラー音楽だけでなく、西洋芸術音楽においても特に顕著になっており、カルチュラル・スタディーズの影響を受けた新しい音楽学が構築されつつある。そこで本研究会では、1)音楽社会学における基礎文献の輪読、2)現代における多様な音楽文化についての検討、を通し、音楽文化と社会との相互関係を理解することを目的とする。
 

活動内容

 前期は音楽社会学の基礎文献である、テオドール・アドルノ『音楽社会学序説』の講読とディスカッションを月2回のペースで行った。後期はまずVOCALOID、ロック・フェス、コンサートにおける作曲家、そして「場所」概念について各自発表した。その後2014年12月20日(土)に、下記のシンポジウム「音楽の〈場〉と聴取経験の変容」を実施した。

  • シンポジウム 音楽の<場>と聴取経験の変容


    音楽の〈場〉と聴取経験の変容

    ※クリックでPDFファイルダウンロード。

    日時: 2014年12月20日(土) 15:00~17:30
    場所: 立命館大学衣笠キャンパス創思館303、304
    アクセス
    キャンパス

    【内容】
    15:00~16:30  基調講演

    登壇者(五十音順、敬称略):

    柴那典(ライター、編集者、音楽ジャーナリスト)「インターネット環境の浸透はポピュラー音楽の「場」と「表現」をどう変えたか」
    【要旨】
    レコード、カセットテープ、CDと変遷してきた音楽メディアのあり方は、インターネットの普及以降、大きく変化した。それは単なる技術の発展にとどまらず、それによって、音楽がリスナーにどう聴かれ、どう受容されるか、そのあり方も変わってきた。ここではYouTubeやニコニコ動画などの動画共有サービスが誕生し、海外ではSpotifyなどのストリーミングサービスが普及した00年代後半から10年代初頭にかけてをその端境期と位置付け、その前後で音楽の聴取と表現がどう変わったのかを考察する。特にニコニコ動画とボーカロイドを巡るシーンにおいて音楽が「聴取」だけでなく「派生創作」の対象となってきたことを分析し、また音楽を所有することの意識の変化について考える。また『アナと雪の女王』のヒットを巡る状況の分析などを通して、日本と海外の比較も行う。

    永井純一(神戸山手大学)「フェスティバルとリア充」
    【要旨】
     本報告は野外音楽フェスティバルとそのオーディエンスに注目し、音楽を介した若者のコミュニケーションについて考察するものである。
     近年、メディア環境の変化に伴い、人々の音楽への接し方は大きく変わった。たしかに音楽市場は縮小の一途を辿っているが、若者は音楽から完全に撤退したわけではない。CD売上げの低迷に反して、ライブ市場が活況をみせていることはその現れのひとつといえるだろう。
     2000年頃から隆盛したフェスティバルもまた、新しい音楽との接し方を人々に提供した。それは演奏に全神経を傾けるようなコンサートとも、演者とオーディエンスの一体感を志向するライブとも異なり、会場にいることそのものを楽しむような体験である。そしてその体験を共有するための仲間の存在は、以前よりも重要さを増している。
     一見するとフェスティバルに共に参加する友人がいることは、当事者にとってよろこばしいとこであろう。しかし、報告者の観察によると、フェスティバル内の同質化傾向や同調圧力のようなものは強まっているように見受けられる。そうであるとすれば、今日のフェスティバルとはどのような場であり、そこに参加することは何を意味するのか。このことに注目し、音楽を媒介としてつながる関係性の現状について、統計調査の結果や各種データを適宜参照しながら考えたい。

    宮本直美(立命館大学)「コンサート空間における作曲家と演奏家」
    【要旨】
    現在の一般的なクラシック音楽コンサートでは、18世紀~20世紀前半までの有名作曲家の交響曲や協奏曲がプログラムを飾る。ベートーヴェン、モーツァルトなど、そこにはクラシック音楽ファンにとってはお馴染みの大作曲家の名前が掲げられており、さらにそれを誰が演奏するかという情報が聴衆の関心対象となる。世界的に有名な指揮者、独奏者、そしてオーケストラは、過去に生み出された音楽作品の総数から考えればほんのわずかな数の楽曲を繰り返し演奏し、その解釈と表現の違いを聴かせている。しかし過去の作品を繰り返し演奏するという、このクラシック音楽業界の習慣は19世紀に定着したものである。それ以前は、また19世紀においてさえ、新作を聴くことがあたりまえの習慣だった。この習慣の変化は、コンサート空間における作曲家と演奏家の完全な分離をもたらし、さらには音楽の聴き方、批評のあり方をも変えることとなった。本報告では、コンサートが現在の形態を獲得する過程で、その空間における様々な役割がどのように再編されたのかを考察する。

    16:30~16:40  休憩

    16:40~17:30  フリーディスカッション

  • 事前申し込み不要、参加費無料
  • 問い合わせ先: ritsongakuba[@]gmail.com

成果及び今後の課題

 本研究会は、研究会で得た知見を各自の研究へフィードバックすることが到達目標であり、共同での学会発表および論文執筆は行っていない。しかしながら12月に開催した公開シンポジウムにおいて、前期・後期の研究会で獲得した知見と各自の研究との接合点をふまえたディスカッションを実施できたことが、本研究会の成果と言える。また研究会構成メンバーの青野恵介は今年度の研究会を通じて得た知見を生かして修士論文を提出するなど、各自の研究を遂行することができた。

構成メンバー

青野 恵介  表象領域・2013年度入学
荒木 健哉  共生領域・2013年度入学
奥坊 由起子 表象領域・2012年度入学
堤 万里子  表象領域・2014年度入学
山口 隆太郎 表象領域・2013年度入学

活動歴

2015年度の活動はコチラ
2016年度の活動はコチラ

映画を通じて問いなおす「記憶」の形成

院生代表者

  • 梁 説

教員責任者

  • 渡辺 公三

企画目的・実施計画

 本企画の目的は、人々の〈記憶〉を映画(映像)として表出する作品を鑑賞することで、記憶の描かれ方、記憶の継承のされ方、記憶の変転の有り様を、文学、社会学、人類学といった領域横断的な知見から考察することを目的としている。
 映像作品の制作者は、人々の生活の中の政治・文化・宗教・差別といった数多くの要素が混然としている現実の諸相を映し出し、人文科学がテーマとする〈記憶〉や〈語り〉といった概念の基底となる構造を表出しており、見る側の〈記憶〉についての思考を喚起させる。〈記憶〉という共時・通時を内在する概念について、映画という現代の事象表現から読み解こうとする本プロジェクトの試みは、「表象」理論と実践に挑むものであり、本プロジェクトの意義としてある。また、公開研究会を前提としている点においては、個人では観賞困難な映画作品を広く一般に鑑賞する機会を提供するという点においても意義を備えている。

活動内容

  • 1.特別試写会
  • 制作者倉岡明子氏を迎えて-『だからまいにちたたかう』(7/29)実施、プレ企画『六ヶ所人間記』(7/28)『夏休みの宿題は終わらない』(7/29)実施。映画上映に加え、制作者倉岡氏より、10年にわたるパレスチナの状況の変化などの説明を受けた討論会の実施。先端研修了生金城美幸氏(立命館大学衣笠総合研究機構PD)から、直近のパレスチナの状況を聞くなど、内容の濃い討論会を実施。事前学習として、パレスチナ-イスラエル問題に関する学習、試写会のための事前試写を行った。

  • 2.『こつなぎ――山を巡る百年物語』上映会
  • ■日時: 2014年11月16日(日) 12:30~16:00
    ■会場: 立命館大学衣笠キャンパス 充光館301
    ■プログラム:
    12:00 開場
    12:30~14:30 映画上映
    14:45~16:00 森下直紀氏(和光大学経済経営学部)講演・全体討論
    16:00 終了
    16:15~18:00 懇親会

    ■開催趣旨:
    法的な紛争とその歴史は、いかに記憶され、記録されたのか。
    このような問いをたてる視点から、本企画ではドキュメンタリー映画『こつなぎ――山を巡る百年物語』をとりあげて上映します。
    本作におさめられているのは、入会権をめぐる議論に焦点化される近代日本における土地所有や山林の用益にかかわる制度の問題と、山村という、ある生きる場をめぐる人々の闘いの記録だといえるでしょう。また、上映とあわせて、環境史や環境技術社会論がご専門の森下直紀氏を講師として招聘した公開討論会を行ないます。
    本企画では、多様な学的観点をふまえたフロア全体でのディスカッションを通じて、映像作品での人々の記憶の描かれ方、記憶 の継承のされ方、記憶の変転のあり様を多様な学問分野の領域横断的な知見から考察することを試みます。

    ■参加費無料・事前申込み不要
    ■主催:立命館大学先端総合学術研究科2014年度院生プロジェクト「映画を通じて問いなおす「記憶」の形成」

    ■映画『こつなぎ――山を巡る百年物語』概要
    企画・制作: 菊地文代
    監督: 中村一夫
    製作会社: 株式会社周
    配給: 「こつなぎ」上映実行委員会事務局、株式会社パンドラ
    日本/2009年/日本語/カラー、モノクロ/ビデオ/120分/
    山形国際ドキュメンタリー映画祭2009特別招待作品

    「東北地方の山間の集落で、1917年から1975年まで、入会権をめぐる訴訟裁判があった。人々が自由に山に入り、木 々や実など山の恵みを享受してきた慣習に対して、近代的な土地所有制度が強制され、結局反地主側の敗北に終わる。40年前に取材に入った菊地周さんら3人が残した映像とインタビュー録音をもとに、闘いの歴史を明らかにしていきながら、現在の人々の暮らしに目を向け、日本の農村における近代化の問題を、今日に問い直す。」(出典:YIDFF 2009 公式カタログ〔http://www.yidff.jp/2009/cat035/09c038.html)

    ▼映画『こつなぎ』ダイジェスト版はこちら

  • 3.映画『基地の町に生きる』上映会とトークセッションの実施(2015/2/21)
  • 米軍基地の街で生きる女性たちの証言を集めたドキュメンタリー映画の上映に加えて、秋林こずえ氏(同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授)には、軍隊と性暴力をめぐってジェンダーの視点から、また先端研修了生の大野光明氏(大阪大学グローバルコラボレーションセンター特任助教)には、米軍基地の歴史と現在をめぐる社会運動の視点からコメントをいただき、米軍基地をめぐる〈記憶〉がどのように分断され、自分の基地の〈記憶〉をどう継承しうるのかについて討論を行った。

「分析哲学と芸術」研究会

院生代表者

  • 安田 智博

教員責任者

  • 吉田 寛

企画目的・実施計画

 本研究会は、美学・芸術学に属する問題を取り上げ、分析哲学の観点から検討することを目的としている。研究活動をはじめて、今年で4年目に入る。本年度は、「音/サウンド」に焦点を当てて議論をする。近年、分析哲学の領域においては音に着目する研究が増加している。他方で、メディア文化論や大陸系哲学におけるサウンド研究の蓄積は相当量に及ぶ。本研究会は、分析哲学の音研究とサウンド・スタディーズを統合俯瞰的に検討することによって、「音/サウンド」研究の新たな地平を開拓したい。

活動内容

  • 【第1回研究会】
    11月3日(月)18:00~
    場所:学而館生命部屋
    購読文献:源河亨 「音の不在の知覚」、『科学基礎論研究』41(2) pp.81-91、科学基礎論学会、2013年
  • 公開研究会「音/サウンド研究の現在」

    日時:11月22日(土)14:00~
    場所:立命館大学衣笠キャンパス創思館303・304
    内容:

    14:00~15:00 
    レクチャー1 
    谷口文和(京都精華大学)「レコード音楽における音の空間性」
    【要旨】
    録音技術を駆使して制作された音楽、すなわち「レコード音楽」は、その場での演奏にもとづく音楽とは根本的に異なる表現形式を持っている。人はレコードの再生音から、その音が鳴り響くその場とは別の空間を感じ取る。また、映画やビデオゲームがそれぞれのメディアを介して非現実的な架空の世界を表現できるように、レコード音楽もまた、現実に音が鳴り響く空間ではあり得ないような音のリアリティを生じさせる。その点で、レコード音楽の「サウンド」は、物理現象としての音とは分けて考えることができるだろう。本報告では、レコード音楽における歴史的な空間表現の手法の変遷について作品例に触れつつ紹介した上で、レコード音楽的空間のリアリティのあり方について考察する。また、音楽研究における「サウンド」概念の扱いについても併せて紹介したい。

    15:10~16:10
    レクチャー2 
    源河亨(慶應義塾大学)「環境音と音楽の知覚」
    【要旨】
    本発表の目的は、非音楽的な環境音の存在論的身分とそれについての聴覚経験の分析を基礎として、そこから音楽知覚のあり方を検討することである。音の存在論としては、Casati and Dokic (2005)やO’Callaghan (2007)で提示された遠位出来事説(located event theory)を取り上げる。それによれば、音は音波ではなく、音源となる物体の振動(あるいはそれに準ずる出来事)である。もし音源が物体の振動と同一であるなら、音は空間的位置をもち、また、視覚や触覚によっても捉えられるようなマルチモーダルな対象であることになるだろう。こうした帰結は音楽的な音の場合にも引き継がれると考えられる。つまり、音楽も空間的位置をもち、複数の感覚モダリティによって捉えられる対象であることになる。本発表では、上記の立場を擁護するだけでなく、その立場が音楽鑑賞の実践に対してどのような帰結をもたらすかについても検討したい。

    16:20~18:00
    フリーディスカッション

  • 予約不要、参加無料、学外の方も御参加いただけます。

成果及び今後の課題

 研究会メンバーが、本研究会の助成を受け、各自学会発表や論文投稿を行った。また、公開研究会は学内外併せて12名ほどの参加があり、上記に記したレクチャーを受けて、「音が出来事であると考えることは妥当なのか」、「音楽の知覚と音楽から喚起される想像の違いをどこに設けるべきか(音楽から聞こえてくる空間とは知覚に属するのか、等)」といったディスカッションを行った。次年度は、研究会の記録を保存し、メンバーが常に参照できるようにしたい。

構成メンバー

・安田 智博(代表) 生命領域 2011年度入学
・山口 隆太郎    表象領域 2013年度入学
・角田 あさな    表象領域 2008年度入学
・鍾 宜錚      生命領域 2012年度入学
・根岸 貴哉     表象領域 2014年度入学

Body and Society(BAS)

院生代表者

  • 北村 健太郎

教員責任者

  • 立岩 真也

活動計画

2006年度の活動計画は、発足当初の遠隔地/有職者院生が集う自主的な研究会という基本的性格は維持しながら、院生の業績を外部へ積極的に発信する。2006年度に計画している活動内容は、大まかに言って以下の三点である。

1.これまで/これからの院生の成果をまとめた研究報告書を作成して自主出版する。
2.講師を招聘した講演会を1回行う。
3.院生それぞれの研究テーマによる報告をもとに研究会を行なう。

活動内容

1.これまで/これからの院生の成果をまとめた研究報告書を作成して自主出版する。
2007年3月末、先端総合学術研究科〈初〉の院生論集『Birth ― Journal of Body and Society Studies』を刊行予定。執筆院生は〈表象〉領域1名、〈共生〉領域3名、〈生命〉領域3名、〈公共〉領域12名、計19名。本研究科を構成する4領域を横断した院生論集となる。

2.講師を招聘した講演会を1回行う。
人選や日程調整など、うまく合わなかったため、実施しなかった。

3.院生それぞれの研究テーマによる報告をもとに研究会を行なう。
2006年6月10日(土)、7月8日(土)、7月9日(日)、8月26日(土)、8月27日(日)、12月23日(土・祝)計6回、院生それぞれの研究テーマによる報告をもとに研究会を実施した。主に1回生の報告に充てて、それぞれの研究テーマが明確になる機会になるようにした。学外からの報告者も受け入れた。どの会も活発な議論が行なわれ、しばしば予定時間を超過した。詳細については、別紙④「公募研究会企画 開催報告書」6枚の報告書を参照。下記ホームページにも、プログラムを掲載している。

プログラム
Body and Society編論集

アルチュセール勉強会

院生代表者

  • 橋口 昌治

教員責任者

  • 西川 長夫

勉強会発足当初の主旨文(2005年8月21日)

ルイ・アルチュセール(西川長夫ほか訳)『再生産について――イデオロギーと国家のイデオロギー諸装置――』が日本で刊行され、約3ヶ月が過ぎました。とはいえ、この本に収められた草稿には1969年5月~6月という日付が記されています。36年の時を経た現在の日本や世界において、この本のインパクトとはどのようなものなのでしょうか。5800円もの大金を払ってでも読む価値について(?)、次のような言葉がつづられています。

フランス語版の「編者」であるジャック・ビデ、
「この著作は過ぎ去った時代から舞い戻ってきたように見えるかもしれない。たしかにこの著作は一部、今となっては実行不可能な見解を述べている。しかしながら、この著作は、乗り越えられたと考えることは依然として全くできないような次の問いに私たちを直面させる。すなわち、自由と平等の理想を声高に叫ぶ社会のなかで、ある者たちによる他の者たちの支配が絶えず新たに再生産されているのはどのような条件においてであるか?」(『再生産について』pp7)

あるいは訳者の一人、西川長夫、
「本書の読者は、教条主義とも見まがうマルクス-レーニン主義的原則がくりかえされるのを読み、マルクス-レーニン主義の亡霊を見る思いがするに違いない。だが思いかえしていただきたい。われわれが本書を読んでそのように感じたとすれば、それは同時に、われわれがいかに無原則的な保守化の流れに遠く押し流されてきたかを物語ってもいるのである。そしてわれわれが遠く押し流されたあとの知的廃墟にどっと流れこんできたものを一言で要約すればリベラリズムと言ってよいであろう。現在の体制の維持を前提としたリベラリズムは現代社会の部分的な不正や不平等については語るが、そうした不正や不平等を生み出す根本的な構造については口を閉ざす。だが本書においては、そのようなリベラリズムや経済主義あるいはナショナリズムにかんする根底的な批判がすでに前もって明快な言葉で語られているのである。そしてとりわけ『再生産』という観点は現在、おそらく当時アルチュセールが予想した以上の現代性をもっている。」(同上pp442)

この本は、既存秩序や他者との関係性の再生産という観点から、例えば学校制度について、家族について、法や国家、政府、社会運動や抵抗運動、アイデンティティー、主体性、個人、イデオロギー、階級、ネオリベラリズム、グローバリゼーション、宗教、暴力・・・・など多種多様なテーマ・事象を縦横無尽に語りうる論点を散りばめているように思います。また逆にアルチュセールが語りえていない論点を見つけ出すことも議論を深めるためにも必要なことでしょう(例えば、植民地主義についての言明の無さ)。再生産の力学を狂わせ、世界の別のあり方や他者との関係性の別のあり方をいかに切り開くのか、という問いとともに、ぜひ皆さんとアルチュセール『再生産について』の合評会を開きたいと思います。

活動報告

「アルチュセール・再生産論研究会」は昨年度から行ってきた自主的な研究会を引き継いだ上で、合評会を開くことを目標として活動した。合評会は前期の終わりに、立命館大学国際言語文化研究所と先端総合学術研究科との共催のシンポジウムという形で行われることになった。そこで前期はシンポジウムの準備、後期は紀要『立命館言語文化研究』に掲載する報告の編集と執筆を行った。

勉強会レジュメ

シンポジウム

シンポジウムの内容(講演会等のテーマ・報告者・プログラム・参加人数等)は以下のとおりである。

『再生産は長く続く?――アルチュセール・マラソン・セッション――』

◆2006年7月21日(金)16:30-19:30(開場16:00)
セッション1『再生産について』を今読むことの意味はどこにあるのか
○司会:崎山政毅(立命館大学)
○発表: 林淑美(了徳寺大学)、平井玄(音楽評論家)
○コメンテーター:大中一彌(法政大学)、伊吹浩一(専修大学)、山家歩(法政大学/専修大学)

◆2006年7月22日(土) 10:00-19:15(開場9:30)
セッション2『ニート』議論で語られないこと ―なぜ、まだ、シンドイのか―
○司会:橋口昌治(立命館大学先端総合学術研究科)
○発表:紀井早苗(高槻むくげの会)、上山和樹(『「ひきこもり」だった僕から』著者)
○コメンテーター:山田潤(「学校に行かない子と親の会・大阪」世話人、『ハマータウンの野郎ども』共訳者)、今野晃(専修大学)、能勢桂介(立命館大学先端総合学術研究科)

セッション3 継続する暴力・搾取への抗いに向けて ―社会構成体の<周辺>をめぐる呼びかけ―
○司会・問題提起:大野光明(立命館大学先端総合学術研究科)
○発表:小野俊彦(九州大学)、原口剛(大阪市立大学)
○コメンテーター:伊吹浩一(専修大学)、阿部小涼(琉球大学)
総括セッション
○司会:大野光明(立命館大学先端総合学術研究科)
○発表:西川長夫(立命館大学)
○ディスカッション:セッション1~3発表者および会場参加者。

シンポジウム詳細

参加人数は2日間で延べ120名ほど。質疑応答では活発な議論が交わされた。
なおシンポジウムの報告が掲載される紀要は2008年度に公刊される予定である。