院生プロジェクト2022スタートアップ報告会

「日中社会の生と死」研究会

日中社会の生と死ポスター
 

「アート/クラフト」研究会

「アート/クラフト」研究会
 

SOGI研究会

SOGI研究会ポスター
 

Public-Inclusion-Research-Project

Public-Inclusion-Research-Project
 

incurable研究会

incurable研究会資料
 

家庭内・親族間等における人権問題研究会

家庭内・親族間等における人権問題研究会資料
 

「障害者と労働」研究会

「障害者と労働」研究会
 

ソーシャル・プラクティスとアート研究会

ソーシャル・プラクティスとアート研究会
 

映画・テレビドラマ映像分析研究会

映画・テレビドラマ映像分析研究会
 

映像と現代音楽研究会

映像と現代音楽研究会
 

エスノグラフィー研究会

エスノグラフィー研究
 

デジタルメディア空間と情動研究会

デジタルメディア空間と情動研究会
 

美学・芸術学基礎文献講読会

美学・芸術学基礎文献講読会
 

学術論文創作技法講読会

学術論文創作技法講読会
 

公聴会(2021年度)

2021年度春学期博士学位審査(甲号)公聴会

以下のとおり公聴会を実施いたします。
なお、やむを得ぬ事情のあるときを除き、
先端総合学術研究科大学院生は全員参加を原則としています。


  • 【終了】学位審査申請者:SHEN CHIN
    学位申請論文名:Same-sex Marriage and Pluralistic Family Forms – Study on Sexual Equality in Taiwan –
    日時: 2021年 7月 5日(月)18時00分~19時00分
    場所: Zoom
    【主査】小川 さやか 教授 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
    【副査】Ilenia Ruggiu 准教授 (カリアイ大学)
    【副査】Paul G. Dumouchel
       (元立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘教授)
    【副査】千葉 雅也 教授(立命館大学大学院先端総合学術研究科)
    【副査】美馬 達哉 教授 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
  • 【終了】学位審査申請者:KAI HE 
    学位申請論文名:A case study of a Beijing Manju Elite Lady’s School and the US-Ch’ing Relations(1900~1916)
    日時: 2021年 7月 8日(木)10時30分~11時30分
    場所: Zoom
    【主査】小川 さやか 教授 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
    【副査】RAJKAI, Zsombor Tibor 教授 (立命館大学国際関係学部)
    【副査】Paul G. Dumouchel
       (元立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘教授)
    【副査】西 成彦 特任教授 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
    【副査】美馬 達哉 教授 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
  • 【終了】学位審査申請者:XU TING
    学位申請論文名:On the Use of Interactive Media Art to Help Autistic Children Develop Friendship
    日時: 2021年 7月 15日(木)10時30分~11時30分
    場所: Zoom
    【主査】小川 さやか 教授 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
    【副査】細井 浩一 教授(立命館大学映像学部)
    【副査】Paul G. Dumouchel
       (元立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘教授)
    【副査】美馬 達哉 教授 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
    【副査】Martin Roth 准教授 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
  • 【終了】学位審査申請者:中嶌 清美
    学位申請論文名:過労死家族の会の形成と展開――京都と大阪の過労死運動と過労死家族の会と当事者の事例から――
    日時: 2021年 7月 15日(木)11時45分~12時45分
    場所: 創思館カンファレンスルーム
    【主査】立岩 真也 教授 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
    【副査】山崎 喜比古 教授(放送大学)
    【副査】後藤 基行 講師 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
    【副査】小泉 義之 特任教授(立命館大学大学院先端総合学術研究科)
  • 【終了】学位審査申請者:駒澤 真由美
    学位申請論文名:精神障害を生きる当事者の「生の実践」―リカバリーと一般就労の直線的理解を超えて―
    日時: 2021年 7月 15日(木)13時10分~14時10分
    場所: 創思館カンファレンスルーム
    【主査】立岩 真也 教授 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
    【副査】森岡 正芳 教授(立命館大学総合心理学部)
    【副査】後藤 基行 講師 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
    【副査】小川 さやか 教授(立命館大学大学院先端総合学術研究科)
  • 【終了】学位審査申請者:金野 大
    学位申請論文名:医療的ケアを必要とする小児と家族の社会関係の縮小と再構築について
    日時: 2021年 7月 15日(木)14時30分~15時30分
    場所: 創思館カンファレンスルーム
    【主査】立岩 真也 教授 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
    【副査】中根 成寿 准教授(京都府立大学公共政策学部)
    【副査】美馬 達哉 教授 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
    【副査】松原 洋子 教授 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
  • 【終了】学位審査申請者:幸 信歩
    学位申請論文名:近現代日本の精神医療における作業療法に関する歴史研究――作業を介在させた治療法の導入と展開
    日時: 2021年 7月 15日(木)16時00分~17時00分
    場所: 創思館カンファレンスルーム
    【主査】美馬 達也 教授 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
    【副査】橋本 明 教授(愛知県立大学教育福祉学部)
    【副査】松原 洋子 教授 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
    【副査】小泉 義之 特任教授 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)


★ 公聴会発表者へ
公聴会発表にあたっての留意事項です。

  1. 発表時間は30分、質疑応答30分とする。
  2. レジュメの様式は特に指定しない。
  3. レジュメのデジタルデータをメールに添付して提出すること。
  4. 発表用原稿またはメモはレジュメとは別に各人において用意すること。
  5. 発表用に使用する機器類については事前に相談すること。
  6. 2010年度よりWEBでの音声配信も先端研内で公開としていますが、なんらかの理由により公開しない場合はその旨届けること。

以上

エスノグラフィー研究会(2022年度)

院生代表者

  • 酒向 渓一郎

教員責任者

  • 阿部 朋恒

概要

本研究会の目的は、エスノグラフィーの批判的読解、および実地での訓練調査を通じて、研究会参加者のフィールド調査力を向上することにある。エスノグラフィーとは、フィールドワークという経験的な調査手法を通じて、人びとの社会生活について具体的に書かれた記述のことを指す。近年、人類学・社会学を問わず、さまざまな分野において研究手法としてエスノグラフィーが導入されている。本研究会に参加する院生のフィールドもさまざまであるが、全員が参与観察や生活史の聞き取りに取り組んでいるという共通点をもち、収集したデータからエスノグラフィーを書くことになる。これまでに描かれてきたさまざまなエスノグラフィーの読解と訓練調査を通じて、参加者のフィールド調査力を向上する機会としたい。そこで本研究会では以下の2つの目標を設定する。
➀様々な分野で描かれたエスノグラフィーの中から課題図書を選び、月1~2回の読書会を開催する。
➁研究会顧問である阿部の引率の下、京都市北区の里山において合宿を行い、フィールドワークの訓練を目的とした簡易的な調査を行う。そこで得たデータについては、検討会を開催し、調査内容やインタビュー方法について参加者の間で相互検討を行う。

活動内容

おおよそ月2回、レジュメ担当者を決めて課題図書を輪読した。
参考のためこれまで輪読した書籍の一部を下記に記す(順不同)。
ブロニスラウ・マリノフスキー(2010)『西太平洋の遠洋航海者』(増田義郎訳)講談社学術文庫
 アリス・ゴフマン(2021)『逃亡者の社会学』(二文字屋脩他訳)亜紀書房
 宮前良平(2020)『復興のための記憶論』大阪大学出版会
 ロイック・ヴァカン(2013)『ボディ&ソウル』(田中 研之輔他訳)新曜社

成果及び今後の課題

本研究の成果としては、分野横断的にエスノグラフィーを輪読することができたことがあげられる。たとえば人類学を志す院生が社会学者やその他の分野の研究者が描いたエスノグラフィーを読む機会を得ることができた。このように普段はあまり馴染みのない分野にて描かれたエスノグラフィーの内容を、時間をかけて検討、批判的に読み込むことができたのは、将来的に本研研究会の参加者がエスノグラフィーを描く際の参考となったといえる。他方、今後の課題としては当初予定していたフィールドワークの訓練合宿が行えなかったことである。このことは、コロナ禍が比較的落ち着いたことで本研究会参加者の多くが自身のフィールドに戻ったため、合宿参加者の予定を合わせることが困難であったことが大きい。しかし、合宿の意義はあるという意見は参加者のなかで一致しているため、今後研究会を継続する場合訓練合宿を行いたい。

構成メンバー

酒向 渓一郎
柴田 惇朗
坂本 唯
孔 文浩
李 思航
曹 旭東
清水 美春
片平 美雪
吉川 由貴
西本 春奈

「障害者と労働」研究会(2022年度)

院生代表者

  • 栗川 治

教員責任者

  • 立岩 真也

概要

◆目的
 本プロジェクトは、次の2つを目的とする。
 ①「障害者と労働」に関わる研究をおこなっている院生が、共同研究を通じて、各自の研究力を向上させる。
 ②各院生が「障害者と労働」に関する最先端の国内・国際的な研究動向を把握し、実態を調査し、その成果を集積・発信していくことを通じて、学術研究の発展に寄与できる実践力を培う。
◆方法・内容
 上記の目的を達成するための方法として、次の内容の活動をおこなう。
 ①定例研究会の開催(月1回程度): 各院生の研究経過、研究成果を持ち寄り、相互の批判・討論を通じて、各自および共同の研究の課題を明らかにしていく。
 ②研究成果報告会の実施(年度末): 公開の研究成果報告会をおこない、1年間の本プロジェクトの実績を報告するとともに、国内外の最先端の研究者を招聘してシンポジウム(講演かい)を併せて開催し、今後のさらなる研究の進展を図る。
 ③生存学研究への参画: 立命館大学生存学研究所の研究活動に積極的に参画し、障害学国際セミナー(東アジア障害学フォーラム)での研究発表・海外の研究者との交流を深めるとともに、日常的には生存学hpの「障害者と労働」のサイト(http://www.arsvi.com/d/w0105.htm)での資料集積・内容拡充を、本プロジェクトの課題に位置付けておこなっていく。
 ④学会・研究会、調査への派遣: 「障害者と労働」に関する各種学会・研究会に参加する院生、およびインタビュー調査等に出張する院生に対して、旅費等を補助して、各自の研究活動を支援する。
 ⑤プロジェクト成果報告の発信: 上記①~④の活動成果を随時報告書にまとめ、生存学hpに掲載し、関係者から指導・助言を得る。
◆意義
 本プロジェクトは、現代の日本と世界において重要なテーマである「障害者と労働」に関して、最先端の学際的・国際的な知見・情報を得つつ、個々の院生が独創的な研究を進めるとともに、その成果を先端総合学術研究科および生存学研究所の活動・媒体を通じて世界に発信し、この分野の学術研究の進展に寄与していく経験を積めるという意義をもつ。これは、「障害者と労働」に関する研究を志す大学院生が多数在学する本研究科(おもに公共領域)の特色を生かし、また、日本と東アジア、そして国際的な障害学研究の拠点である生存学研究所が本研究科ときわめて密接な関係にあるという条件に恵まれていることによって可能となっていることである。

活動内容

  • New!
  • 2022年度立命館大学先端総合学術研究科院生プロジェクト「障害者と労働」研究会 2022年度公開セミナー

    テーマ:障害のある人もない人も共に働く場とは
    『精神障害を生きる──就労を通して見た当事者の「生の実践」』出版記念

    日時:2022年12月19日(月)19:00~21:00
    開催形態:ZOOMによるオンライン配信 
         ※情報保障あり(日本語音声を文字通訳します)

    参加方式:事前申し込み制
    申し込みはこちら
    申し込み締め切り:2022年12月17日(土)21:00まで
     ※申込フォームからの参加申し込みが難しい場合には、
      下記の問い合わせ先にメールをしてください。

      問い合わせ先 山口和紀 
      mail: gr0530ev[at]ed.ritsumei.ac.jp(※atを@に変更)

    詳細についてはこちらをご覧ください。

    構成メンバー

    渥美 勉
    有松 玲
    大木 えりか
    宇津木 三徳
    岸田 典子
    國近 歩
    栗川 治
    小井戸 恵子
    竹村 文子
    種村 光太郎
    中井 秀昭
    中井 良平
    西本 春菜
    宮本 敬太
    山口 和紀

    活動歴

    2021年度の活動はコチラ
    2020年度の活動はコチラ

    「アート/クラフト」研究会(2022年度)

    院生代表者

    • 柴田 惇朗

    教員責任者

    • 小川 さやか

    概要

     本研究会の目的は「アート/クラフト」の境界的事例の質的研究を用いて、制度の枠を超えた社会における創造性のあり方について研究し、その成果を学術論文として発表することである。
    具体的な内容および実施方法は以下の通りである。昨年度の成果である「おかんアート」に関する調査、および第38回民族藝術学会大会における発表「研究対象としての「おかんアート」 ——美学、社会学、人類学からの検討」(2022.04.17)に基づき、本年度は追加調査及び査読論文の執筆・投稿を行う。月1回程度のペースで月例研究会を開催し、そこでは参考資料の購読、調査の計画、執筆の計画及び進捗報告、論文投稿準備などを行う。なお、調査は「おかんアート」に関する活動が盛んな神戸市長田区を便宜的な予定地としているが、変更の可能性もある。
    本研究会の意義は学際的な研究領域の院生が集まり、社会人文科学において広く重要性が指摘されている創造性に関する共同研究を行う点である。各学問領域の理論や方法論に関する知見の共有を通じた各人の研究者としてのスキルアップは各自の研究の充実に寄与すると考えられる。また、共著論文の執筆はそれ自体が貴重な研究経験となることに加え、それが各自の業績となることも大きな意義である。

    【参考】Howard S. Becker, 1984, Art Worlds, University of California Press.(後藤将之訳,2016,『アート・ワールド』慶應義塾大学出版会.)

    活動内容

    本年度、当研究会は11回の例会、2度のフィールドワーク、学会発表を行った。例会ではフィールドワークの準備やふりかえり、学会発表・論文提出に向けた準備を行った。

    成果及び今後の課題

    成果:学会発表およびフィールドワークを通じて共同研究を前にすすめることができたこと。
    今後の課題:会発足時から目標としている論文投稿は2023年度に持ち越された。提出を行うことを今後のマイルストーンとして設定した上で、その後の展開についても議論を重ねたい。

    構成メンバー

    柴田 惇朗
    藤本 流位
    坂本 唯
    西本 春菜

    活動歴

    2021年度の活動はコチラ

    デジタルメディア空間と情動研究会(2022年度)

    院生代表者

    • 浦野 智佳

    教員責任者

    • MARTIN ROTH

    概要

     本研究プロジェクトは、デジタルメディア空間で発生する人々の情動的な営みについてあつかう。ソーシャル化したデジタルメディアの場で、人々はどのような情動のやりとりをおこなうのかについて、参加メンバー各自の研究に引き寄せながら検討する。これらはデジタルメディア空間におけるメタ的な位相での情動の取りあつかいからメディア作品の受容論を中心として、いずれも人々の情動が緒メディアに触れることでどのように誘起されるかについて検討するという点で共通する。理論面では主にメディア論と情動論を軸として、各自の研究であつかう事例を検討していく。具体的な活動方法としては、講師を招聘しての講演会もしくは勉強会と、活動メンバー内での読書会及びディスカッションを予定している。
     本研究プロジェクトの活動は、個別具体的な複数の事例に共通の切り口を与えより抽象的なレベルでの議論を可能にする点で、メンバー各自の研究の進展に対して不可欠なものである。また、デジタルメディアにおける情動という、未だ検討の余地が大きく残る分野において、事例に裏打ちされたフィードバックによる理論面での前進が期待できる。

    活動内容

    2022年
    10月 読書会(伊藤守(2017)『情動の社会学』青土社)
    11月 読書会(伊藤守(2017)『情動の社会学』青土社)
    12月 講師を招聘しての勉強会 詳細は以下に記載
    2023年
    2月 読書会(White, Daniel. (2022)Administering AFFECT:POP CULTURE JAPAN AND THE POLITICS OF ANXIETY, Stanford Univ Press.)

    勉強会タイトル:伊藤守先生 特別勉強会「情動とメディア研究の課題」
    日時:2022年12月2日(金)14:00~16:00
    場所:立命館大学衣笠キャンパス 創思館4階so401.402教室
    対象:学生・院生・教職員(申込不要)
    概要:早稲田大学教育・総合科学学術院教授、日本メディア学会会長の伊藤守先生をお呼びしての勉強会。
    伊藤先生から「情動とメディア研究の課題」についてご講演いただいた後、参加者とのディスカッションをおこなった。

    なお勉強会に関する参考文献として、次の資料を使用した。
    伊藤守(2013)『情動の権力―メディアと共振する身体』せりか書房
    伊藤守(2014)『アフター・テレビジョン・スタディーズ』せりか書房
    伊藤守編(2015)『よくわかるメディア・スタディーズ[第2版]』ミネルヴァ書房
    西垣通・伊藤守編著(2015)『よくわかる社会情報学』
    伊藤守(2017)『情動の社会学』青土社
    伊藤守編(2019)『コミュニケーション資本主義と〈コモン〉の探求: ポスト・ヒューマン時代のメディア論』東京大学出版会
    伊藤守編(2021)『ポストメディア・セオリーズ:メディア研究の新展開』ミネルヴァ書房

    成果及び今後の課題

     12月におこなった勉強会とそれに向けた読書会では、伊藤守先生の論じるデジタルメディア研究における情動の理論を検討した。また先生に直接お話を伺うことで、今後の情動論を切り口としたデジタルメディア研究への見通しを得た。
     今後の課題としては、今年度の活動でたびたび疑問としてあがった、情動論のバックグラウンドおよび情動論として成立する以前の議論について広く学ぶ必要をあらためて認識した。

    構成メンバー

    浦野 智佳
    向江 駿佑
    田中 俊太朗
    PERNG Shinwen
    ZHANG Yixin

    Public & Inclusion Research Project(2022年度)

    院生代表者

    • 新山 大河

    教員責任者

    • 岸 政彦

    概要

    〈背景〉
    COVID-19の感染拡大が著しくなって以降、差別や貧困などの社会問題が浮き彫りとなった。自己責任論と社会的排除が横行し、公共圏は驚くべき速度で縮小している。
     公共圏と包摂に関する知見がこれまでになく求められる一方で、社会問題の構造的要因を明らかとするための一手法であるインタビュー調査の実施が困難となった。また、感染流行下においては研究会や勉強会の開催といった学生の主体的な学びと議論を展開するための場の形成が阻まれ、分断が進んでいる。大学院生には学修と研究、そして社会に向けた成果の発信といった学術的意義および社会的意義への円環的な姿勢が求められている。
    これらに対して、「社会的排除」をテーマに研究会を院生間で共同的に進めたい。

    〈目的〉
    本プロジェクトの目的は以下の3点である。
    ①「社会的排除」に関連したテーマで、質的社会調査を用いた研究を行なっている院生を主体に、輪読会・データセッションなどの研究会を通じて各自の研究力を向上させる。
    ②社会調査実習を通して、フィールドワークを体系的/総体的に学び、質的社会調査法に関するノウハウを習得する。
    ③各々の研究から、データセッション会によって導き出された知見を、学会報告や論文投稿などを通じて学術研究の発展に寄与する。

    〈方法・内容〉
     上記の目的を達成するために、本活動では次の活動を実施する。
    1【輪読会】
    主に質的社会調査の古典と位置付けられる著作を課題図書として設定する。各々が設定した図書を輪読会までに購読し、担当パートのレジュメをもとに報告を行う。報告を受け、各々の研究関心やテーマに引き付けた議論を行う。
    2【インタビュー調査】
    メンバーが各々の活動しているフィールドの調査協力者へと生活史調査を行う。
    3【データセッション会】
    調査で得られたデータを文字起こしし、データをもとに議論を行う。社会的排除の実態から、各自の研究の課題を議論から導き出す。導き出された知見をもとに、いかにして成果を社会へ発信、還元していくのかを議論する。
    4【講師招聘】
    社会的排除に関わる研究へ取り組む講師を招聘し、公共圏と社会的排除について学ぶ。そののちに講演をふまえて、各々の活動しているフィールドにおける社会問題や構造的要因について議論する。
    5 【社会調査実習】
    「沖縄戦の生活史と戦後沖縄社会の構造変容」(岸政彦/科研費研究課題19K02056) における調査へ、研究会コアメンバーが同行して調査の補助、聞き取りを行う。調査に同席し、現地での調査対象者との信頼の築き方や、研究者として望まれる立ち振る舞いなど、明文化できないような事柄も含めた社会調査の方法を取得し、フィールドワークを総体的、体系的に学ぶ。

    <意義>
    ①研究会を通じた研究活動によって得られた知見を、学会報告や論文投稿などの形で社会に発信する
    ②アフターコロナの学修における学び方を模索し、引き継ぐことでピア学習のモデルを提示する

    活動内容

    活動内容
    ①マックス・ウェーバー『理解社会学のカテゴリー』輪読会
    開催日: 2022年6月18日
    会場:Zoom開催

    ②アーヴィング・ゴッフマン『スティグマの社会学』輪読会
    開催日: 2022年7月20日
    会場:Zoom開催

    ③ハワード・ベッカー『アウトサイダーズ』輪読会
    開催日: 2022年8月13日
    会場:Zoom開催

    ④社会調査実習
    開催日:2022年9月12~16日
    会場:沖縄県 那覇市・座間味村
    講師招聘研究会:「沖縄の階層とジェンダー」(於:琉球大学) 上間陽子先生(琉球大学)

    ⑤ピエール・ブルデュー『芸術の規則I』輪読会
    開催日: 2022年11月2日
    会場:Zoom開催

    ⑥ピエール・ブルデュー『芸術の規則II』輪読会
    開催日: 2022年12月7日
    会場:Zoom開催

    ⑦ハワード・ベッカー『アート・ワールド』輪読会
    開催日: 2023年1月18日
    会場:Zoom開催

    成果及び今後の課題

     本プロジェクトの研究成果は以下の通りである。いずれの活動も構成メンバーに加えて他大学の大学院生や学部生の参加もあり、活発な研究会活動を行うことができた。

    【古典輪読会】
     古典輪読会では、マックス・ウェーバー『理解社会学のカテゴリー』、アーヴィング・ゴッフマン『スティグマの社会学』、ハワード・ベッカー『アウトサイダーズ』『アート•ワールド』、ピエール・ブルデュー『芸術の規則I・II』を取り上げた。いずれも社会学の重要文献として位置付けられているもので、本研究会のテーマである社会化的排除や公共圏といった観点から検討を行うことができた。

    【社会調査実習・講師招聘】
     社会調査実習では、岸政彦先生の「沖縄戦の生活史と戦後沖縄社会の構造変容」(科研研究課題/領域番号19K02056)に同行する形で行なった。「沖縄社会の戦後の継時的な構造変容」をテーマに、戦争体験者がその後どう人生を形作っていったのかについて調査を行なった。実習では実査に加え、琉球大学教授の上間陽子先生を招聘し、「沖縄の階層とジェンダー」をテーマにご講演をいただいた。
     研究成果としては、取り組みが琉球新報で報じられた他に、得られたデータをまとめた報告書が立命館大学国際言語文化研究所より発行された。報告書は座間味村役場や、座間見小中学校、語り手の方々へお配りすることを予定している。各々の研究活動の基礎力を底上げすることを目的として、インフォーマントとの信頼関係の築き方や、立ち振る舞いなど、明文化できない社会調査のノウハウを取得し、フィールドワークを総体的、体系的に学ぶことができた。

    【成果物】
    [調査報告書]岸政彦・山本和(編), 2023, 『調査報告書 座間味の人生』 立命館大学国際言語文化研究所.
    [メディア報道]琉球新報DIGITAL, 2022, 「火薬で遊ぶ子どもに『戦争は終わった後も続いてる』大学院生らが座間味島の
    生活史を聞き取り」(最終閲覧日2023年2月21日 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1588703.html).

    構成メンバー

    新山 大河
    西本 春菜
    玉置 ふくら
    玉木 敦之(社会学研究科)
    林 綾乃(社会学研究科)

    家庭内・親族間等における人権問題研究会(2022年度)

    院生代表者

    • 中井 良平

    教員責任者

    • 立岩 真也

    概要

     十分な対策が行われているかは別として、学校や職場といった場所におけるいじめ等の人権侵害に対しては、厳しい目が向けられるようになっている。他方、家庭などにおいて近しい関係にある者同士の間に起こった人権侵害では、外部の第三者による評価が困難なこと、職場や学校といった公共にも開かれている場所と異なり、閉鎖性が高いことなどから、被害にあった者がより声をあげづらく、声をあげても適切に受け取られない、といった事態が起こっていることが考えられる。また、法によっても規定され残存する家長制の影響も受け、家族・親族間においては序列が存在し、その上位にいる者から下位の者に対しての権力の行使が可能となっている。これらの事情が組み合わさることで、公共の場においては人権侵害と捉えられる問題が、ひとたび家庭内や親族間の問題となると、「不適切な(行いをする)成員」に対する「正当な力の行使」などとして容認されるという事態がうまれ得る。家族・親族は、多くの者が生まれながらに最も身近に、永続的に所属する集団であり、その集団においての被害・疎外それ自体が、その者への大きな人権侵害となり得る。またそのような強固な基盤を持つ集団において少数派になった場合、他の成員に体制の転換を訴え、実現させることは極めて困難である。外部への被害の訴えが困難であることと上記事情が組み合わさり、被害にあった者は孤立することになる。本プロジェクトでは、インタビュー調査を主軸に据え、家族や親族間での人権侵害やそこから立ち直ろうとする営み、それを阻害する要因などに着目することで、「家」において権力がどのように作動し、弱い立場の成員へ影響していくのかを考察する。

    活動内容

    ・インタビュー調査(2022年度は1名)
    ・定期的な文献講読(2022年度は『結婚差別の社会学』)

    成果及び今後の課題

     インタビュー調査では、婚外子を産むことに対する国・社会・家族・親族からの差別的な扱いについて、Aさんにお話を伺うことができた。Aさんは長く差別に反対する運動を行ってこられ、お話を伺いながら、過去から現在に至る差別のあり方や、それに屈しまいとした人々の行動の、重要な一端を見ることができた。また、プロジェクトの問題意識を自身のものとして強く有するメンバーの経験と、Aさんの経験を照らし合わせたとき、家父長制などを拠り所とし、「家」内の成員を正統/非正統な者に隔てようとする人々のあり方が、浮かび上がってきた。『結婚差別の社会学』(齋藤 直子)の講読及び意見交換からも、同書における語り(人々の経験)と自身らの経験を対照させ、同様の気付きが得られた。
     課題としては、今後プロジェクトにおける成果を、どのように発表・報告していくか、という点がある。メンバーの多くは、プロジェクトにおける問題意識に関わりのある研究を行っているものの、プロジェクトでの成果を直接研究に用いることは、昨年度はなかった。得られた気付きをその時だけのものとしないよう、プロジェクトとして、成果報告の方法・場などについて考えていきたい。

    2022年度購入書籍: 『結婚差別の社会学』 齋藤 直子

    構成メンバー

    中井 良平
    平安名 萌恵
    戸田 真里

    incurable研究会(2022年度)

    院生代表者

    • 中井 良平

    教員責任者

    • 後藤 基行

    概要

     本研究プロジェクトの目的は、希少難病、慢性疲労症候群など医学的な地位が定まっていない「論争中の病」、医学で明確に説明できない病を患う人々が、生活を送る上で必要なサポートを当事者の視点から明らかにすることである。
     希少難病や論争中の病は、医療者にもよく知られておらず、診断までに時間を要することが多い。さらに診断されても治療法はなく、支援制度や可能なサポートについての情報提供も十分になされていない状況にあると考えられる。加えて、検査に異常がないなど、医学で明確に説明できず、診断がつかないために医療機関をさまよい続ける病者も少なくない。
     現在の医療制度は、病名が何らかのかたちで確定されることを前提に設定されており、これらの当事者は、医療や福祉のバックアップを受けられないまま、制度のすき間に追いやられている可能性がある。実際、当事者の置かれた状況については、社会的な認知がほとんどなされていない現状がある。
     当事者や支援者が置かれた状況の一端について、インタビュー調査を通じて明らかにし、当事者らのニーズを丹念に拾い上げていきたい。どのような公的サポート、制度的な改善が必要であるかを考察し、当事者が直面する困難を、診断名や診断の有無に左右されることなくサポートできる仕組みを考えたい。

    活動内容

    ・インタビュー調査(2022年度は3名)
    ・行政の支援担当者・メディア関係者などを交えた意見交換会の実施
    ・定期的な勉強会での文献講読

    成果及び今後の課題

     インタビュー調査に応じていただいたのは、診断や制度の利用までに時間を要した病者当事者・そのご家族の方で、その困難や、医療者・社会などから向けられる偏見の目などについてのお話を伺うことができた。その貴重な記録は、今後話し手の方との協議の後、研究・考察に用いさせていただく。その一部は、生存学研究所サイト「arsvi.com」で公開が予定されている。
     また、昨年度は行政の支援担当者の方を交え、複数回の意見交換会を行い、既存の制度の「使えなさ」について、支援を行う側からの声を聞くことができた。
     今後の課題としては、調査の規模を広げていき、質的・量的どちらの点からも、「制度の谷間」に置かれた病者らの困難を構成する要素を抽出可能とするような、データを集めていくことである。

    2022年度購入書籍: 『〔新版〕現代医療の社会学 :日本の現状と課題』 中川 輝彦 ・黒田 浩一郎 編

    構成メンバー

    中井 良平
    戸田 真里
    西岡 知香
    劉 心悦
    高橋 初
    栗川 治
    寺田 准子

    活動歴

    2021年度の活動はコチラ

    映像と現代音楽研究会(2022年度)

    院生代表者

    • WANG Qionghai

    教員責任者

    • 千葉 雅也

    概要

     本研究会は、現代音楽が映画、アニメーションなどの大衆文化の中で使用され、その構造的な特徴から離れ、イメージ的に聞かされることに焦点を当てる。現代音楽が映像産業に転用される歴史や受容、とりわけその転用の理論的根拠を中心に、現代音楽及び映像音楽の関係性を探究し、映像および音楽研究の分析、研究能力を向上させることを目的とする。
    具体的な内容については、映画音楽および現代音楽についての文献講読およびその発表を通じて議論を行う。月1回のスパンで研究会を実施し、映像音楽および現代音楽の概観を習得するとともに、院生メンバーそれぞれの研究テーマに応じた知識を獲得する。また、ゲスト講師をお招きし、講演会と質疑応答を行い、専門的な知見をいただくことで、メンバーのさらなる研究能力の向上を図る。
     本研究会の意義は、音楽学、美学、表象文化論といった学際的な視点をもとに「映像」及び「現代音楽」をメディアと音楽の関係性という視点で議論することにある。また、レジュメ制作・報告による発表能力の向上、研究会運営のプロジェクト企画能力の養成、そして第一線の研究者と交流を通して、研究力を全般的に向上するという意義がある。

    活動内容

    文献購読
     今年度では日本映画の中で現代音楽を使用する代表的な人物である武満徹の著作『映像から音を削る』を中心に文献購読し、武満の映画音楽の手法を議論しました。
     日期:7月7日、10月29日 場所:ZOOM

    研究発表会
     各メンバーが各々研究テーマについて研究発表をし、その内容を議論しました。

    高畑和輝 「1970-80年代の武満の創作論にみる「武満トーン」の研究」8月3日 ZOOM
    WANG qionghai 「アニメーション特有の音響について」12月10日 ZOOM
    WU zewei 「中国映画における映像音響について」1月7日 ZOOM

    講師講演会
     映画音響及び武満徹研究を専門とするゲスト講師柴田康太郎を招いて講演会を開き、武満徹を中心とする戦後日本映画の音響的特徴について講演をしていただき、その内容を議論しました。
    日期 9月5日 場所:究論館 プレゼンテーションルームA (ZOOM併用)

    成果及び今後の課題

    <成果>
     戦後日本の映画音楽において、現代音楽的な要素を取り入れることで代表的である武満徹の仕事を映像鑑賞、文献購読、講師講演会を通して議論した結果、映像音楽における雑音などの効果音の使用、またそれを分析する現代音楽におけるミュージック・コンクレートの視点の重要性を深く理解した。
     また、各メンバーの研究発表を通して、このような雑音や効果音を音楽にする流れは、戦後日本の映画音楽だけではなく、戦前のアニメーションでも文脈が蓄積しており、2つの領域の背後に共通するのは、音を聞き取る大衆が置かれるメディア環境の変遷があることを理解した。
     以上の二点を踏まえて、映像音響と現代音楽について、その歴史的な経緯及びそれを形成させたメディア環境について、今後さらなる研究を展開するための見識を得ることができた。

    <今後の課題>
     本研究会は本来講師講演会を2回計画していたが、講演料や移動経費の予測が甘かったため実現できなかった。資金計画の面を見直し、さらなる研究会運営能力の向上が今後の課題である。

    構成メンバー

    高畑和輝
    WANG Qionghai
    西川秀伸