人材育成目的・3つのポリシー

先端総合学術研究科における人材育成目的と3つのポリシー

人材育成目的

 先端総合学術研究科先端総合学術専攻は、現代の諸科学分野に共有された主題群を学際的で国際的な知の生産を意識した「プロジェクト研究」によって追求することを通じて、新たな研究領域の創出を担う先端的で総合的な知の探求者、制作者としての次世代の研究者を養成することを目的としています。

学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)

教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)

入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)【求める学生像】

以上

Call for Papers:Catastrophe and Justice

Call for Papers

Catastrophe and Justice

The 8th International Conference of the Faculty of Core Ethics and Frontier Sciences,Soshikan Conference Room, Ritsumeikan University, Kyoto, Japan, March 21-22, 2012
報告者(予定)など詳細はこちら
↑ 2012年1月以降随時更新

Word file(doc)

Purpose:
Recently theories of justice progressed remarkably through responding to challenges by social movements such as feminism, multiculturalism or cultural studies. Yet events like the catastrophe recently experienced in Fukushima, Japan raise questions for theories of justice. For example: can we continue to base our reactions on such notions as freedom, rights, equity, reciprocity and human security— all of which are pivotal to social justice— in catastrophic situations? Catastrophe, as it is understood here is not restricted to the type of evident calamity such as natural disasters, war or economic collapse. If we loosely define the concept of catastrophe as an experience which happens both accidentally and inevitably, or which brutally disrupts between the relation between ordinary and the non-ordinary, then there may have been many events which we should have recognized as catastrophes, but failed to. The purpose of this conference is to reexamine the modern theories of justice, their limit and possibilities in a broader angle in relation to the issue of catastrophe.

近年、正義論は、フェミニズム、多文化主義、カルチュラル・スタディーズなどの挑戦を受けて大きく発展した。だが、このたび日本のフクシマが体験したカタストロフィは正義論に新たな問いを突きつける。自由、権利、衡平性、相互性、人間の安全保障などこれまで社会正義の中心にあった概念は、破局的な状況において、はたしてどこまで有効性をもちうるのか、と。ただし、ここでいうカタストロフィとは、災害や戦争、経済破綻など、だれの目にも明白な惨事に限定されない。むしろその本質を、日常と非日常が荒々しく分断される体験、さらには、偶然であるとともに必然であると感じられる体験に見出すならば、カタストロフィは、われわれの生活のただ中に――それとして認識されることなく――存在することになる。本コンファレンスの目的は、現代正義論の限界と可能性をより広い視角のもとでとらえ返すことを目的とする。

Invited Speakers:
Prof. Jean-Pierre Dupuy, Stanford University (USA)
Prof. Frédéric Worms, Université de Lille et École Normale Supérieure (France)
Prof. Osamu Nishitani, Tokyo University of Foreign Studies(Tokyo, Japan)
Prof. Itoko Kitahara, Ritsumeikan University(Kyoto, Japan)
And others

Eligibility
Anyone from any country and any disciplines can apply. Graduates students, postgraduates fellows and recent graduates*are mostly encouraged to submit a proposal.

院生、若手研究者をはじめとして、どなたでも報告申し込みできます。

Submissions
Submissions should be in the form of an abstract of a maximum of 2 pages (500 words) and should be sent electronically to the following address justiceandcatastrophe (at) gmail.com [atを@に変えてください]  Papers read at the conference should not exceed 25 minutes. Deadline for submissions is October 31 and the results will be made public by November 8.

⇒Change the deadline for submission to  November 30.

10月31日までに、英語あるいは日本語の報告概要を justiceandcatastrophe (at) gmail.com [atを@に変えてください]  にお送りください。概要は2ページ(英語の場合は500語)を上限とします。選考結果は11月8日までにお知らせします。
⇒締切が11月30日になりました!

Financial help:
The living expenses of speakers (hotel and food) for the duration of the conference will be taken care by the conference organization.

報告者に関しては、コンファレンス期間の宿泊、昼食&夕食などはこちらで用意します。

Languages
Languages of the conference are English and Japanese. Submissions can be made in either of those two languages. In the case of Japanese, we will require English translation after the submission is accepted.

コンファレンスで使用する言語は英語と日本語です。報告はいずれでも可能です。ただし、日本語の報告概要で受理された場合には、後日に設定される期限までに長めの英文アブストラクトをお願いします。

Organizers: International Justice and Symbiosis Center, Graduate School of Core Ethics and Frontier Sciences & Institute of Language and Culture, Ritsumeikan University, Kyoto, Japan.

(Coordinators) Paul Dumouchel & Reiko Gotoh, Professors, Graduate School of Core Ethics and Frontier Sciences, Ritsumeikan University, Kyoto, Japan.

2011年9月先端研国際ワークショップのお知らせ

Pre-Workshops of The 8th International Conference of the Graduate School of Core Ethics and Frontier Sciences: “Catastrophe and Justice”

2011年9月先端研国際ワークショップのお知らせ

来る2012年3月に、第8回先端研国際コンファレンス「カタストロフィと正義」が開催されます。それに向けてこの9月に下記の2つのワークショップをもちます。その目的は、社会・技術・自然環境との関係で広く正義概念をとらえ返すことにあります。
なお、Des Gasper氏は、同志社大学グローバル研究科主催の「人間の安全保障」学会(9月17日、18日; http://www.janp.sfc.keio.ac.jp/JAHSS/index.html)の基調報告者の1人です。あわせてご参加ください。

*いずれも逐次通訳を予定しています。

The 1st Workshop: September 15, 16:00-18:00
Venue: Ritsumeikan International Peace Museum 3rd flour
Lecturer: Dominique Lestel (École Normale Supérieure, Paris)
Theme: Humans, Animals and Artifacts (tentative)

The 2nd Workshop: September 20, 10:00-12:00
Venue: Ritsumeikan International Peace Museum 3rd flour
Lecturer: Des Gasper (Erasmus University Rotterdam)
Theme: Influencing the Climate – explorations in interpretive and value-critical policy analysis
Comments: Naoki Morishita (postdoctoral fellow of Ritsumeikan University), Kazuo Okada (graduate students of Ritsumeikan University)
(Note: This paper contrasts a range of studies on the challenges posed by climate change, in terms of whose interests they take into account and prioritise. Text is online at:
http://www.iss.nl/News/Past-Events/Influencing-the-Climate-Explorations-in-interpretive-and-value-critical-policy-analysis)

Organizers: The Graduate School of Core Ethics and Frontier Sciences
Coordinator: Paul Dumouchel and Reiko Gotoh

Fund: JSPS, “Towards Clinical Application of Capability Approach—A Trial of Well-being Economics—”(「潜在能力アプローチの臨床的適用プログラムの設計――福祉経済学の試み――」基盤研究C); Thiel Foundation, “Artificial Empathy and Imitation”.

Profiles of lecturers:
Dominique Lestel, is assistant professor of cognitive ethology at the École Normale Supérieure, Paris and member of the CNRS research center on eco-anthropology and ethnobiology.

Recent publications include:
Les amis de mes amis, Seuil : Paris, 2007
L’Animal est l’avenir de l’homme, Flammarion : Paris, 2010.

Des Gasper
Professor of Human Development, Development Ethics and Public Policy
International Institute of Social Studies (Erasmus University Rotterdam),
PO Box 29776, NL-2502 LT  The Hague, Netherlands

Recent publications include:
– 2010: Development Ethics. Co-editor Asuncion Lera St. Clair. Aldershot: Ashgate.
– 2010: Understanding the Diversity of Conceptions of Well-Being and Quality of Life. J. of Socio-Economics, 39(3), 351-360.
– 2010: ‘The Idea of Human Security’, in K. O’Brien, A.L. St.Clair, B. Kristoffersen (eds.), Climate Change, Ethics and Human Security, Cambridge Univ. Press, pp.23-46.
– 2010: Trees and Water – Mainstreaming Environment In The Graduate Policy Analysis Curriculum. Co-author: S.Tankha. J. of Public Affairs Education, 16(4), 621-644.
You can access some of his papers on SSRN at: http://ssrn.com/author=220649

9月15日Dominique Lestel氏とのワークショップの当日の様子

2011年9月15日ドミニク・レステル氏ワークショップ:ドミニク・レステル氏と通訳者2011年9月15日ドミニク・レステル氏ワークショップの光景2:参加者

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立命館大学衣笠独立研究科事務室
TEL: 075-465-8348
E-mail: doku-ken@st.ritsumei.ac.jp
〒603-8577
京都市北区等持院北町 56-1

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松原 洋子(まつばら・ようこ)

松原写真

領域

生命

職位

教授

専門

科学論
ジェンダー論

担当科目

生命論II/生命論CB
生命論史
プロジェクト予備演習III(生命)
プロジェクト演習(生命)

業績

※21年度以降の最新情報は、下記にリンクされている研究者学術情報データベースをご参照ください。

2020年度 業績一覧
2019年度 業績一覧
2018年度 業績一覧
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2005年度 業績一覧
2004年度 業績一覧
2003年度 業績一覧
2002年度以前の業績

関連情報

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研究者学術情報データベース

  • 研究者学術情報データベース
  • 立命館大学の奨学金・支援制度

    立命館大学には、本研究科院生が利用できる研究支援制度が数多くあります。
    以下は利用できる支援制度の一部です。制度は変更される場合があります。詳細は、入学手続き時または入学時に説明します。
     

    院生のための奨学金・研究活動助成制度

    • 先端総合学術研究科出版助成制度
    • 先端総合学術研究科院生プロジェクト
    • 立命館大学西園寺大学院進学奨励奨学金
    • 立命館大学大学院特別奨励奨学金(S・A・B)
    • 立命館大学大学院特別育英奨学金(S・A・B)
    • 立命館大学大学院学生学会発表補助金
    • 立命館大学大学院博士課程後期課程研究奨励奨学金(S・A・B)
    • クレオテック大学院私費留学生奨学金
    • 立命館大学大学院博士課程後期課程国際的研究活動促進研究費
    • 立命館大学大学院博士課程後期課程学生学会発表補助金
    • 立命館大学大学院研究会活動支援制度
    • 立命館大学生存学研究センターにおける各種研究活動助成制度

     

    立命館大学大学院生に対する奨学金・支援制度の概要

     ■修士・博士課程前期課程・一貫制博士課程(1~2回生)
     ■博士課程後期課程・一貫制博士課程(3回生~)・4年制博士課程
     

    日本学術振興会特別研究員など採用へのサポート

    本研究科では、現在の研究者にとって必須である研究計画書の作成に対するサポート体制が充実しています。その結果として、多くの院生・修了生が日本学術振興会特別研究員ならびに立命館大学専門研究員プログラムに採用されています。

    研究計画書作成のサポート

    • 「アカデミックライティングIV」での研究計画書作成指導
    • 研究指導助手による研究計画書作成サポート

    これまでの日本学術振興会特別研究員採用者

    • 2012年度 DC 9名 + PD 6名
    • 2013年度 DC 2名 + PD 3名
    • 2014年度 DC 4名 + PD 2名
    • 2015年度 DC 2名 + PD 4名
    • 2016年度 DC 1名 + PD 1名
    • 2017年度 DC 2名 + PD 1名 + RPD 1名
    • 2018年度 DC 4名
    • 2019年度 DC 2名 + PD 1名 + RPD 1名
    • 2020年度 DC 3名 + PD 1名
    • 2021年度 DC 4名 
    • 2022年度 DC 5名 
    • 2023年度 DC 4名 
    • 2024年度 DC 1名 

    これまでの立命館大学専門研究員プログラム(旧ポストドクトラルフェロープログラム) 新規採択者

    • 2012年度 3名
    • 2013年度 4名
    • 2014年度 4名
    • 2015年度 0名
    • 2016年度 3名
    • 2017年度 1名
    • 2018年度 0名
    • 2019年度 2名
    • 2020年度 0名
    • 2021年度 1名
    • 2022年度 1名

    これまでの大学院高度化施策初任研究員採択者数

    • 2019年度 1名
    • 2020年度 3名

    立命館NEXTフェローシッププログラム

    • 2021年度 1名

    立命館先端研究アカデミー次世代研究者育成プログラム

    • 2021年度 1名
    • 2022年度 1名

    ※採択者は先端総合学術研究科修了生のみをカウントしています。

    開設5年の到達点

    2007年10月18日

    (立命館大学大学院先端総合学術研究科設置認可申請書より)

    先端総合学術研究科は、立命館大学のリソースを最大限に活用し、学内設置の諸研究所・研究センターとの連携構築をめざしながら、プロジェクト参加型の研究者養成を目標に掲げ、2003年4月に一貫制博士課程として発足した。既存の学部を基礎としたディシプリンを軸とした研究科とは発想をことにする独立研究科による研究者養成の試みである。
    本研究の設置の趣旨は、20世紀における自然科学の発展のインパクトを受けとめつつ人社系学問分野を批判的に再構築する能力と意欲を持った研究者を養成することを目指している。学問の刷新を「先端性」と「総合性」の両面から押し進めるという野心的な試みである。

    このような目的を達成するために、(a)「核心としての倫理」(コア・エシックス)を軸とし、(b)人文科学、社会科学、自然科学の3分野を横断する先端的で総合的なテーマを設定し、(c)本学の研究所・研究センターと連携し、学内外の研究者とネットワークを構築して、ディシプリンを横断するプロジェクト研究を活用し、(d)時代的要請に応えうる柔軟な構造を備えた教育システムを構築することをめざした。世界の現実の動向との接触面であり、新たな学問的課題が産出されるべき先端領域として、「公共」=公共性の再定義、「生命」=生命・環境の倫理、「共生」=多文化・多言語主義、「表象」=ディジタル時代の芸術表象、の4つのテーマ領域を設定した。
    研究科のカリキュラムは、自立したプロジェクト参加・推進者として院生を育てることを目標としている。院生に明確な研究テーマと研究計画を持たせ、世界で通用する基礎能力を養成し(講読演習の重視)、これからの研究に必須な多様なスキルを獲得させ(独自のスキル科目)、プロジェクト運営の能力と責任感を養っている。
    学部を基礎とした研究科とは異なり、ディシプリン中心からテーマ中心へ、プロジェクト中心への転換である。4テーマ領域は倫理的な問題意識の共有という点ばかりでなく、内容的にも相互に連環しており、既存の「系・分野・分科」区分とは必ずしも対応しない。プロジェクトそのものは研究科の専任担当教員が、一定の基礎的な予算のうえに、競争的な外部のファンドあるいは学内の研究補助金を獲得して推進し、そこに院生が参加することを基本としている。したがって担当者にはプロジェクト推進の能力が求められる。また、プロジェクト参加による院生の研究推進能力の養成を補完するものとして、それぞれの問題意識に対応した学会への所属と学会報告をおこなうことを積極的に推奨し、実績をあげている。一貫制博士課程として、一年次からの講義、スキル科目、および2年次の「博士予備論文」の準備(研究科の主要な「定期学会」ともいえる「博士予備論文構想発表会」の開催)、博士論文準備のための演習科目、演習における複数ディシプリンの担当者による指導、担当者による個別の論文指導によって構成されるコースワークは、新たな問題意識と研究能力をそなえた研究者養成のモデル構築の役割を果たしうることを目標としている。

     本研究科は、上記のような設置趣旨に呼応して、開設以来きわめて明確な問題意識と研究目標をもった者が数多く入学してきた。「プロジェクトを基礎とした人社系研究者養成」プログラム(プロジェクトベーストプログラム)を設定し、院生たちの個性的な問題意識を育てつつ、それに明確な表現を与え、彼ら自らが普遍性をそなえた説得力ある論理展開にまで練り上げる力をつける努力を行ってきた。
     とりわけ、次の4点を目標として取り組んできた。

    (a) 論文構築の基礎能力を強化する
    (b) 「スキル系科目」を強化する
    (c) 国際シンポジウム、プロジェクト研究における協働実践を強化する
    (d) 人的ネットワークをいっそう拡大強化する

    これらに即して、スキル系科目の今後の院生教育における必要性と重要性の検討作業、海外留学やフィールドワーク中の院生、遠隔地からの通学者などに、有効な研究指導を行うためのシステムについて検討、海外も含めたプロジェクトベーストプログラム型教育システムの調査・検証を進めつつ、具体的な強化を目指してきた。そのために海外におけるプロジェクト研究を主軸とした研究者養成教育機関との積極的な交流および協力協定の締結にも取り組んできた。
    こうした目的にかんがみ2005年度「魅力ある大学院教育イニシアティブ」に「プロジェクトを基礎とした人社系研究者養成プログラム」として応募し、幸運にも採択された。このプログラムは、本研究科が2003年の開設以来すでに2年間に試行し実施し有効性を検証してきた、すでにのべたプロジェクトを基礎とした研究者養成のメインのコースワークおよびプロジェクトにおける院生自身の研究活動をより高度化するために何が必要かを熟考した。その結果、それをいっそう補強し効果的なコースに高めることを目的として構想されたものである。以下に示すのは当プログラムにおいて実施された目標および活動内容である。

    (a)論文構築基礎能力の強化
     院生各自の固有の問題意識を尊重しながら、かつ開花させるためには、この「論文構築基礎能力」の強化がもっとも重要である。したがって、2005年度に日本語・英語の論文指導スタッフを雇用し、直接面談指導やEメール、メーリングリストなどを活用したきめ細かな指導を通じて、論文指導の基礎能力の構築に努めてきた。また、スタッフが常駐する論文指導室を開室することで、院生に日常的に指導を行う体制を構築した。院生のニーズは高く、多くの院生が利用した。
     一方で、本研究科には一定数の遠隔地に在住する有職者の院生が在籍しているが、彼らに対しては、Eメールや電話などの媒体を利用した遠隔指導が特に効果を挙げた。
    日本語・英語それぞれの論文指導に専念して担当できるスタッフが在室し、本研究科の専任教員と密接な連携をとることで、論文指導体制はより強化できた。また、論文作成のための関連図書、消耗品、機器備品等を購入・備え付けることで、より充実した論文指導を行える環境が整備された。院生指導の経験を踏まえ、「日本語論文作成マニュアル」、「英語論文作成マニュアル」を作成し、個別指導の効果の向上を図った。

    (b)スキル系科目の強化
     ディジタルスキルおよびリサーチメソッドという科目群のよりいっそうの高度化に向けた方向性を検討するために、当該科目の担当教員のヒアリングおよび院生の授業アンケートを実施した。その結果、高度化の具体的な方策については、更なる情報の収集を進めるとともに、問題点を多角的に検討し、本研究科に適した科目内容についての議論を継続することとした。研究科として進むべき方向性を確定して、高度化に向けて作業を進める予定である。
     また、スキル系科目(アカデミックライティング)とも関連するライティングセンターについては、日本ではまだライティングセンターが普及していないという事情もあり、2006年2月にアメリカのライティングセンターの視察を行った。具体的には、Pennsylvania
    State University、American University、University of Maryland、Duke
    Universityの計4大学7つのライティングセンターを訪問・調査し、情報収集とアメリカの大学における現状も把握して、報告書を作成した。加えて、実際にアメリカの大学院でライティングセンターを利用したことのある日本人の方にも協力を要請し、レポートを作成した。また、同月早稲田大学で開催されたシンポジウム"Waseda
    Symposium on Teaching and Research in Academic Writing"にも参加し、日本国内におけるライティングセンターの実情も把握した。
     英語ライティングの調査をしていく中で、英語ライティングとは「資料収集から分析、構成、実際の論文の執筆、そして要旨の提示」という一連の作業全体を英語で行う構想の過程であり、英語ライティングの方法の模索を行うことは、言語を別にすると、それ以外は日本語論文の構築の方法にほかならないということを再認識した。
     これらの出張報告書やその他の情報をもとに、将来のあるべきライティングセンターのあり方を展望に入れ、研究科内で議論を重ね、全学に対しても、ライティングセンターの必要性を繰り返し力説してきた。その結果、少しずつではあるが、全学で大学院生を対象としたライティングセンターが必要であるという声が高まってきている。本研究科では、本教育プログラムの中で実施してきた調査・情報収集で得た内容を、全学的なライティングセンター設立に向けて積極的に提供する活用する。

    (c)国際シンポジウム、プロジェクト研究における協働実践の強化
    本研究科は、世界各国から著名な研究者を招聘して、国際コンファレンスやシンポジウム、ワークショップ、講演会などを開催してきた。
    このうち、2005年10月末に開催した立命館大学先端国際コンファレンス『倫理・経済・法:不正に抗して』は、集中講義や講演に招聘し本研究科と連携をとってきた著名な研究者たちも参加して、3日間にわたりアメリカ、イタリア、インドなどから報告者が参集して開催された。本企画に際して、多数の院生がペーパーの集約、編集、翻訳、資料作成、当日の運営などに積極的に携わった。
    特に、2005年10月末に開催した立命館大学先端国際コンファレンス『倫理・経済・法:不正義に抗して』(国際シンポジウムの際に、一定の予算を配分して院生自らのイニシアティブで比較的若手の研究者(アメリカ、インド、イタリアなど各国から参集する)による研究集会(国際シンポジウムの第3部)の部分の組織を実施した。また、そのためのペーパーの集約、編集、翻訳、印刷などを行い、これらの作業には、すでに個別のゼミで海外研究者を招聘し、集中講義や講演などを行い、その準備過程に院生が積極的に取り組んだ。
     また、フランスの歴史家アラン・コルバン(パリ第一大学名誉教授)氏を本学に客員教授として招きたいという本研究科院生のイニシアティブではじまったアラン・コルバン氏インヴィテーションプロジェクトは、2004年11月からはじまり、地道な準備・活動を経て、2007年1月の集中講義およびシンポジウム「近現代史への問い-アラン・コルバン教授を迎えて」を開催するに至った。その準備段階として、2006年6月以降、院生が主体となって外部講師を招き、計3回事前研究会を開催するなど集中講義・シンポジウムに備えてきた。集中講義最終日にはワークショップを開催して、院生が研究報告をおこなうなど、院生が主体的に参加した。

    (d)人的ネットワークのより一層の拡大
     国際シンポジウムをはじめ、日本および欧米の傑出した研究者を招聘して集中講義、講演会、ワークショップ、共同研究会などを実施し、人的ネットワークを拡大・強化した。また、海外大学との交流協定としては、台湾の佛光人文社会学院、イタリアのベルガモ大学複雑性認識論人類学大学院と包括的研究協力協定を締結した。今後も、具体的な取り組みを行っていく予定である。さらに世界的にも高等教育機関として高位にランクされるエコール・ノルマル・シュペリウールとの連携も視野に入れ準備を進めている。
     国際的ネットワークの形成は、大学全体としての「研究高度化」方針とも密接に関わっているので、先端総合学術研究科としては、国際共同研究や共同学位授与制度などの展開に向けた枠組み作りを現在検討中である。一方国内においては2006(平成18)年度、官民シンクタンク・研究所との将来的な連携をにらんだ研究所訪問・インタビュー、シンクタンクから人を招聘して研究会を実施した。
    「魅力ある大学院教育イニシアティブ」の「プロジェクトを基礎とした人社系研究者養成プログラム」の終了に当たって、文部科学省から外部シンクタンク等との連携などについていっそう強化するべきである、等の評価が示された。こうした評価をふまえてプロジェクトを基礎とした人社系研究者養成プログラムのモデルとしてのいっそうの高度化と精緻化をはかってゆくことを現在の目標としている。「魅力ある大学院教育イニシアティブ」の成果も踏まえて、2007年度グローバルCOEに本研究科を軸に「『生存学』創成拠点」プログラムとして応募し、採択された。ここにも本研究科の研究者養成の理念への期待と評価があらわれていると受け止め、いっそうの深化をはかってゆきたい。

    本研究科の教学方針がディシプリン型の研究者養成方法と決定的に異なるのは、複数のテーマ(「公共」「生命」「共生」「表象」)をたてて、院生ひとりひとりの問題意識を幅広くすくいとる入試方式、テーマ担当教員に偏らない複数教員による指導、テーマごとの自足を避けるために「核心としての倫理(コア・エシックス)」という総合的な理念を中心にすえたカリキュラム編成などである。これに、主題のいかんにかかわらず、院生のニーズをカバーできる多様なスキル科目を設置することで、院生相互の交流や切磋琢磨の促進を図っている点にある。
    学内においては、既存研究科の再編をにらんだ大学院博士後期課程の見直しが進められており、本研究科が示した路線が、学内で触媒的に働いている。
     プロジェクトに基礎を置いた研究者養成の状況は、設置3年目である2005年度には1名が早期修了によって博士学位を取得し、2006年度は同じく早期修了によって4名が博士学位取得した。
     他方、院生に研究分担者としての参画を求める「プロジェクト研究」は、学内研究所の研究会活動とも緩やかな連携を樹立しつつあり、学内の研究支援体制は、後期課程支援を重視する方向へと向かいつつある。