生存学と文学(2012年度)

院生代表者

  • 田中 壮泰

教員責任者

  • 西 成彦

企画目的・実施計画

文学作品に描かれた「ままならぬ身体」を再考する。具体的には、ゴンブローヴィッチ、シュルツ、カフカ、古井由吉、安部公房、寺山修司といった作家の作品から、身体を束縛する社会的拘束力と、それに対抗し逸脱する身体の様相を検討することを主な目的とする。
2012年6月から、隔週ペースで研究会を開催する。毎回二名程度が、各自の関心と生存学を結ぶ研究構想を発表していく。互いの関心を共有するとともに、意見交換を通して問題意識を深め、知識を涵養していく。その間も研究会の内外で互いに連絡を取り合い、資料と情報の交換を行っていく。研究成果は本プロジェクトの研究会のほか、国内外の学会およびシンポジウム等で随時口頭発表し、そこで得られた批判と提言を基に再構成して、各種媒体に論文成果を公表する。

活動内容

当初予定していた隔週ペースとまではいかなかったものの、年に3回、定例研究会を開催し、各自の関心と生存学を結びつけた研究構想を発表した。研究会ではいずれも活発な議論が飛び交い、意見交換を通じて問題意識を深めた。
さらに学外の研究者を招聘して、企画研究会を二回に渡って開催した。8月に「文学と戦争の記憶」というタイトルのもと、東京大学大学院博士後期課程の村上陽子氏をお招きし、嶋津与志の短編小説「骨」を中心に、沖縄文学と沖縄戦の記憶の問題について発表していただき、それを受けて大野光明、友田義行の二名がコメントを行い、全体討議を行った。また、2013年2月に、「文学とケアの現代性」というタイトルのもと、東京大学大学院総合文化研究科の岩川ありさ氏をお招きして、大江健三郎『﨟たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ』を中心に、トラウマやケアの問題など多岐に渡るお話をしていただき、それを受けて、泉谷瞬から鹿島田真希の「冥土めぐり」について話をしていただき、全体討議を行った。

成果及び今後の課題

今年度は、外部から若手の研究者二名を招いて、企画研究会を二度開催できたことが大きな成果であった。そこでは文学と戦争の記憶の問題をはじめ、介護やセクシュアリティー、トラウマの記憶の伝達や当事者性の問題などが議論されたが、本研究会が向きあい考察すべき問題として掲げた「ままならない身体」と文学との関わりについて、文学研究者だけでなく専門を異にする多くの研究者と問題意識を共有し、議論を深めることができた。今後も、これらの研究会で築いた内外の研究者との交流も積極的に活用しながら、生存学と文学を結ぶ学際的な共同研究を、より広く展開していくことを予定している。

構成メンバー

  • 大野 光明
    先端総合学術研究科 一貫制博士課程5回生 研究分担者(院生)
  • 櫻井 悟史
    先端総合学術研究科 一貫制博士課程6回生 研究分担者(院生)
  • 濱本 真男
    先端総合学術研究科 一貫制博士課程4回生 研究分担者(院生)
  • 北見 由美
    先端総合学術研究科 一貫制博士課程1回生 研究分担者(院生)
  • 泉谷 瞬 
    日本文学専修 博士後期課程3回生 研究分担者(院生)
  • 秋吉 大輔
    日本文学専修 博士後期課程3回生 研究分担者(院生)
ドイツ語文献講読会(2012年度)

院生代表者

  • 田中 壮泰

教員責任者

  • 吉田 寛

企画目的・実施計画

先端的な研究を行う上で、語学力は必要不可欠である。本研究会は、研究遂行上、ドイツ語文献の読解を要する院生を中心に、ドイツ語の基礎を学び、読解力の向上を目指すものである。また、本研究会で培った語学力を用いて、各自、ドイツ語文献を用いた研究を深め、学会での発表、論文執筆に励み、積極的に発表していくことを予定している。

活動内容

年度前半は各自の基礎的なドイツ語力を鍛えることを目指し、テキスト『ニュー・エクスプレス ドイツ語』(白水社)を毎週読み進める形で進めた。3ヶ月ほどでテキストを読了し、中級用のテキストとして、『独文解釈の秘訣―大学入試問題の徹底的研究 (1)』(郁文堂)を読み進めた。後期は美学、論理学を研究する院生メンバーからの要望で、L. Wittgensteinの Logisch-Philosophische Abhandlungの精読を行った。

成果及び今後の課題

 研究会のメンバーは、各自の研究を進める上でドイツ語の読解力を必要とする院生たちから構成されている。研究会をスタートさせた当初は、ドイツ語を読めない院生もいたが、研究会を進めるうちにコツをつかみ、『論考』を読み進める後期には、誤読も減り、各自の研究を進める上で十分なドイツ語力が養われたと考える。今後は、ドイツ語文献を読むだけでなく、研究会での学習を活かす形で、論文執筆や学会報告などを行い、外部に成果を発信していきたい。

構成メンバー

  • 番匠健一 生命領域・2005年度入学
  • 小西真理子 生命領域・2011年度入学
  • 角田あさな 表象領域・2009年度入学
フェミニズム研究会(2012年度)

院生代表者

  • 安田 智博

教員責任者

  • 天田 城介

企画目的・実施計画

 本研究会は、フェミニズム(あるいはジェンダー/セクシュアリティ)に関する基礎的な知見を共有し、協議・検討をすることを目的としている。領域や研究科を横断した研究会メンバーの多彩な視点を通じて、様々な角度からフェミニズム問題に取り組むことができる。
 2012年度前期は、講師に立命館大学文学部非常勤講師、堀江有里氏を招聘し、フェミニズムにおける基礎文献の講読(江原由美子『ジェンダーと権力作用』『ジェンダー秩序』等を予定)を行うことでファミニズムにおける基礎的教養の獲得を目指すと同時に、文献について議論する。2012年度後期は、前期に引き続き、堀江有里氏を招聘し、基礎文献の講読を図る。加えて、フェミニズム関連の学外講師を招聘し、公開研究会を実施する。公開研究会の実施時期は、2013年1月頃を予定している。研究会の開催は、年間を通じて月1~2回のペースで行なう。

活動内容

●日時: 2012年04月04日(水)15:30―18:00
場所: 修学館ラウンジ
参加: 小西真理子、谷村ひとみ、堀江有里、山口真紀、吉田幸恵
内容: (1)研究会の方針会議

●日時: 2012年4月25日(水)18:30-22:00
場所: 学而館202
内容: (1)江原 由美子, 2001, 『ジェンダー秩序』の第一部講読(レジュメ担当:小西真理子、谷村ひとみ、山口真紀)

●日時: 2012年5月16日(水)18:30-21:30
場所: 学而館202
内容:(1)江原 由美子, 2001, 『ジェンダー秩序』の第4章と第5章講読(レジュメ担当:青木千帆子、大谷道高)

●日時: 2012年6月27日(水)19:00-21:30
場所: 学而館202
参加: 大谷道高、ケイトリン・コーカー、小西真理子、山口真紀、安田智博、堀江有里
内容:(1)江原由美子『ジェンダー秩序』(2001年、勁草書房)第6章講読
   (2)研究会運営に関する協議

●日時:2012年7月18日(水)19:45-21:30
場所:生命部屋
参加:青木千帆子、植村要、大谷道高、小西真理子、山口真紀、堀江有里、安田智博
内容:(1)「先端研まつり」用ポスターについての協議と作成(作成担当:大谷道高、小西真理子、山口真紀)
   (2)文献講読:『ジェンダー秩序』第7章(レジュメ担当:堀江有里)
   (3)生存学HPへ研究会の情報アップすることについて(担当:大谷道高)

●日時:2012年7月31日(火)16:00-19:00
場所:生命部屋(学而館202)
参加:大谷道高、小西真理子、谷村ひとみ、山口真紀、吉田幸恵、堀江有里
内容:今後について
・文献講読: 江原由美子、1988、『フェミニズムと権力作用』勁草書房 に決定。

●日時:2012年09月13日(木)17:30~20:00
場所:学而館202(生命部屋)
参加:谷村ひとみ、堀田義太郎、堀江有里
内容:文献講読とディスカッション
「フェミニズムを卒業した女たち」(第1部第一章)、江原由美子、1988、『フェミニズムと権力作用』勁草書房。(レジュメ担当:谷村ひとみ)

●日時:2012年10月17日(水)18:00~21:10
 場所:学而館202(生命部屋)
 参加:谷村ひとみ、村瀬真以(社研M1)、堀田義太郎、山口真紀、堀江有里
 内容:文献講読とディスカッション
 「フェミニズムと権力作用」(第1部第二章)、「解放を無みするもの」(同第三章)、江原由美子、1988、『フェミニズムと権力作用』勁草書房。(レジュメ担当:山口真紀(三章)、堀江有里(二章))

●日時:2012年11月28日(水)18:00~21:00
場所:学而館202(生命部屋)
参加:植村要、谷村ひとみ、堀田義太郎、山口真紀、堀江有里
内容:文献講読とディスカッション
講読文献:江原由美子、1988、『フェミニズムと権力作用』勁草書房。
 第1部・第3章「日常性としての性差別」(報告者:山口真紀)
 第2部・第1章 結婚の意味の変貌(報告者:谷村ひとみ)

●日時:2013年1月6日(日)14:30-19:00
場所:生命部屋(学而館202)
参加:植村要、堀田義太郎、山口真紀、堀江有里
内容:(1)文献講読:江原由美子、1988、『フェミニズムと権力作用』勁草書房。(レジュメ担当:堀田)
   (2)公開研究会について

●日時:2013年2月1日(金)15:00-18:00
場所:生命部屋(学而館202)
参加:谷村ひとみ、堀田義太郎、松田有紀子、安田智博、山口真紀、堀江有里
内容:予算執行について

●日時: 2013年2月17日(日)13:00-16:50
場所: 生命部屋(学而館202)
参加: 植村要、堀田義太郎、安田智博、山口真紀、堀江有里
内容: 公開研究会(2月23日)に向けての協議

●日時: 2013年3月8日(金)15:00-18:30
場所: 生命部屋(学而館202)
参加: 小西真理子、谷村ひとみ、堀田義太郎、松田有紀子、安田智博、山口真紀、米岡裕美、堀江有里
内容:(1)次年度に向けての協議
   (2)公開研究会(2月23日)の振り返り
   (3)次回以降の講読文献候補
     (a)各自の推薦文献を順番に読む
     (b)各自メンバーの論考を読む

公開研究会

テーマ:フェミニズムという構え ――政治・権力・表象
日時:2013年2月23日(土)14:00-18:00
場所:立命館大学(衣笠キャンパス)恒心館735号室(3階)

■タイムテーブル 
◆第1部
14:00~14:15研究会紹介と趣旨説明:谷村ひとみ(立命館大学大学院先端総合学術研究科・公共領域)
14:15~15:10発題1:女性学の「揺れ」とひろがり ―――カナダでの経験から:池田直子(カナダ・ヨーク大学大学院博士後期課程)
質疑応答
15:10~15:20 休憩

◆第2部
15:20~16:20発題2 (各20分)
・山口真紀(立命館大学大学院先端総合学術研究科・公共領域)「フェミニズムの言葉・フェミニズムの記憶――少女漫画『愛すべき娘たち』から
・植村要 (立命館大学大学院先端総合学術研究科・公共領域)「『女性学年報』投稿原稿執筆と、コメントから考える」
・堀江有里(立命館大学大学院国際関係研究科・非常勤講師)「レズビアンというポジションからフェミニズムを読むこと」
16:20~16:40 質疑応答

◆第3部
16:40~18:00 全体協議
18:00    終了(予定)
*司会:堀田義太郎(立命館大学生存学研究センター・教員)

成果および今後の課題

 今年度は、特定の文献を講読することを通じて研究会メンバーがフェミニズムの基礎知識を習得することができた。来年度は、研究会メンバーそれぞれがフェミニズムに関する独自のテーマを持っていることをいかして、メンバー各自が自身のテーマに属した文献や論文もしくは論稿を紹介する形式で進めていく予定にある(まずは、竹村和子、2000、『フェミニズム』岩波書店の講読を考えている)。

構成メンバー

  • 吉田 幸恵(先端総合学術研究科・公共領域)
  • 松枝 亜希子(先端総合学術研究科・公共領域)
  • 植村 要(先端総合学術研究科・公共領域)
  • 松田 有紀子(先端総合学術研究科・共生領域)
  • 小西 真理子(先端総合学術研究科・生命領域)
  • ケイトリン・コーカー(社会学研究科博士課程前期課程)

 

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2012年│立命館大学大学院 先端総合学術研究科

2012年度 行事

2012年4月

  • 1日(日) 新入生・在学生オリエンテーション/前期セメスター開始
  • 6日(金) 前期セメスター授業開始

2012年5月

  • 8日(火) 入試説明会(衣笠)
  • 19日(土) 本学創立記念日

2012年6月

  • 3日(日) 入試説明会(衣笠)
  • 10日(日) 入試説明会(大阪)

2012年7月

  • 8日(日) 入学試験(7月実施:入試方式「APUからの特別受入入学試験(2012年度9月入学)・学内進学入学試験(2013年度4月入学)」) → 合格発表日:2012年7月20日(金)
  • 20日(金) 前期セメスター授業終了
  • 21日(土)・23日(月)〜27日(金) 2012年度前期 博士論文・博士予備論文構想発表会

2012年8月

2012年9月

  • 3日(月) 夏期集中講義(第1週)開始
  • 8日(土) 入学試験予備日(2013年4月入学・9月実施:「3年次転入学試験」)
  • 9日(日) 入学試験(2013年4月入学・9月実施:入試方式「一般入学試験・社会人自己推薦入学試験・外国人留学生入学試験・学内進学入学試験・APUからの特別受入入学試験・自己推薦入学試験・3年次転入学試験」) → 合格発表日:2012年9月21日(金)
  • 10日(月) 夏期集中講義(第2週)開始
  • 25日(火) 前期セメスター終了
  • 26日(水) 後期セメスター開始/後期セメスター授業開始

2012年11月

  • 4日(日) 入試説明会(衣笠)
  • 11日(日) 入試説明会(大阪)

2013年1月

  • 21日(月) 後期セメスター授業終了

2013年2月

  • 9日(土) 入学試験(2013年4月入学・2月実施:入試方式「一般入学試験・社会人自己推薦入学試験・外国人留学生入学試験・学内進学入学試験・APUからの特別受入入学試験・自己推薦入学試験・3年次転入学試験」) → 合格発表日:2013年2月22日(金)
  • 10日(日) 入学試験予備日(2013年4月入学・2月実施:「3年次転入学試験」)

2013年3月

  • 31日(日) 後期セメスター終了
「分析哲学と芸術」研究会(2012年度)

院生代表者

  • 田邉 健太郎

教員責任者

  • 吉田 寛

企画目的・実施計画

 本研究会は、分析哲学における美学領域の先行研究を主として取り上げ、検討することを目的としている。研究活動をはじめて今年で2年目に入る。2011年度は、修了生や他大学の院生を中心に1ヶ月に1回のペースで研究会を開催し、参加メンバーの研究課題沿った文献講読を行った。
 今年度は、二つの活動を軸として研究会をすすめる。第一に、昨年度と同様に、メンバーの研究課題に応じて、分析哲学の文献を広く議論することである。1ヶ月に1回のペースで、各人が関心のある文献を持ち寄り議論する。第二に、後期に行われる山口尚氏(大阪工業大学非常勤講師)特別研究会およびそのための事前勉強会である。

活動内容

  • 第1回研究会 
    日時:2012年10月23日(火)
    場所:創思館411号室
    内容: 山口尚『クオリアの哲学と知識論証 メアリーが知ったこと』、第1章、第2章
    発表者:田邉健太郎
  • 特別研究会 
    日時:2012年12月1日(土)14時00分~
    場所:創思館303/304号室
    内容: 山口尚氏(大阪工業大学非常勤講師)をお招きし、『クオリアの哲学と知識論証』(春秋社,2012年)の著者自身による解説と美学への応用を講義していただいた。全体は三部から構成され、(1)「タイプB物理主義と現象概念戦略――『クオリアの哲学と知識論証』第5章の議論を中心として」、(2)「物理主義と美的性質」、(3)レクチャーに対する質疑応答、から成り立っていた。
  • 第2回研究会 
    日時:2012年11月19日(月)
    場所:創思館410号室
    内容: Charles Nussbaum[2003]. “Kinds, Types, and Musical Ontology,” in JAAC.
    発表者:かとうたかふみ(京都大学)
  • 第3回研究会 
    日時:2013年2月7日(木)
    場所:創思館410号室
    内容: 第2回研究会の続き

成果及び今後の課題

 今年度は活動回数が少なく、結果として少数の発表者のみが担当することになってしまった。研究会自体の内容は昨年度よりさらに充実してきているので、計画的に研究会を開きたい。

構成メンバー

  • 角田あさな 先端総合学術研究科・表象領域・2008年度
  • 奥坊由起子 先端総合学術研究科・表象領域・2012年度(三年次編入)
  • 鍾宜錚 先端総合学術研究科・生命領域・2012年度(三年次編入)
  • 成瀬泰樹 先端総合学術研究科・表象領域・2012年度
  • 諸岡聖 先端総合学術研究科・公共領域・2012年度
多様な「生」を描く質的研究会(2012年度)

院生代表者

  • 青木 秀光

教員責任者

  • 天田 城介

企画目的・実施計画

本研究の目的は、人のライフコースにおいて生じる様々な変遷を「プロセス」という観点から、より鮮明に捉えるための質的研究法の在り方について検討することにある。この目的を達成するための方法は、以下の通りである。

  1. 不定期にフィールドワークおよびインタビューを中心とした研究遂行に必要となる質的研究の方法論の体系的な修得のための研究会を行い、異なる研究フィールドにおける方法論上の課題について議論する。
  2. 並行して、「当事者研究」を一つのキーワードとして設定して、当事者研究の意義、及び可能性を探る。
  3. 年度末に公開研究会を開催し、各メンバーの一年間の研究成果を報告する。

活動内容

 各々の研究発表を行う研究会を5月10日、6月18日、1月18日の3回、当事者研究についての文献購読を行う研究会を11月30日に行った。そして、年度末の2月10日には「質的研究における当事者性について考える」というテーマの公開研究会を開催し、各々が研究成果を発表し、やまだようこ生存学研究センター特別招聘教授、山本耕平産業社会学部教授がコメントを行った。
 研究会で行われた研究発表は、里親家族の経験をインタビュー調査から検討したもの、難病患者のサポート・グループに関する研究、統合失調症の子を持つ親の経験をインタビュー調査から検討したもの、色覚検査に関する歴史研究から研究における「当事者性」を検討したものであった。

2012/05/10 13:00-18:00、至創思館409
赤阪麻由、炎症性腸疾患病者のケアのあり方:ピア・サポートに注目して
青木秀光、統合失調症を抱える子を持つということ

2012/06/11 15:00-20:00、至創思館411
由井秀樹、不妊治療を経て養育里親家族が形成されるプロセスに関する研究:就学前の里子を養育する里母の語りから
赤阪麻由、コミュニティ臨床という視点からの難病者のケア
合評会(天畠大輔,2012,『声に出せないあかさたな』生活書院.)

2012/11/30 15:00-18:00
批評会(宮内洋・今尾真弓編、「あなたは当事者ではない:〈当事者〉をめぐる質的心理学研究」北大路書房.)

2013/01/18 14:00-16:00、学而館202
赤阪麻由、「当事者性は「当事者」だけのものか ―難病サポート・グループの実践と研究を通して」
由井秀樹、「『当事者』による歴史記述の意義と課題:学校健診における色覚検査検査史を題材に」

2013/02/10 13:00-17:00 公開研究会「質的研究における当事者性について考える」 創思館301-302 
青木秀光、「自己との向き合い:統合失調症の子を抱える親へのライフストーリー研究を通して」
赤阪麻由、「当事者性は『当事者』だけのものか:難病サポート・グループの実践と研究を通して」
由井秀樹、「『当事者』による歴史記述の意義と課題:学校健診における色覚検査史を題材に」
牛若孝治、「男性性の変容についてのナラティヴ・アプローチ:『自己物語の記述』の手法を通じて、トランスジェンダーを生きる過程を分析する」

成果及び今後の課題

今後の課題として以下の2点が挙げられる。

  1. 質的研究の根本問題である科学性や客観性につき、自己との関わりを通して考察すること。
  2. まずは議論を活発化させるために、どのような査読付き媒体で結果を提示するのか(現在においてはそれこそ査読者の「主観」によって棄却される多くの質的研究を用いた論文が存在することを鑑みて)考察する。

構成メンバー

  • 青木秀光
  • 赤坂麻由
  • 窪田好恵
  • 谷村ひとみ
  • 天畠大輔
  • 中村昌也
  • 由井秀樹
「震災をめぐる障害者・病者の生活問題」に関する研究会(2012年度)

院生代表者

  • 権藤 眞由美

教員責任者

  • 立岩 真也

企画目的・実施計画

本研究会の目的は、震災をめぐる障害者・病者の生活問題を院生個々人の関心の所在に引き寄せて研究を行い、その過程で見えた課題に対し研究会にて議論を重ね問題解決の一助となるよう取り組むことにある。震災によって困難極める状況下におかれた障害者や在宅で生活している難病患者の方の声を聞き、震災に関する情報発信、情報共有を行う。
昨年度は、グローバルCOE「生存学」創生拠点院生プロジェクトにおいて研究会を行い学会及びシンポジウム等にて各自の研究に基づき災害時における「障害者」「病者」への援助、支援、避難所の在り方を報告した。本年度も継続して研究を行うことで障害者・病者の視点に立脚した「震災」対策の提言を行うことに意義があると思われる。

活動内容

本研究会は、メンバー個人で障害者・震災をキーワードに現地調査を実施した。仙台・八戸の調査における精神障害者に関する報告、JDF被災地障がい者支援センターふくしま、JDF被災地障がい者支援センターみやぎにて、障害者における現状と課題についてのインタビュー調査、震災地における情報弱者についてなど、各自の研究により学術的に深みを増す機会となった。年度末には、生存学研究センターポスドク研究員である渡辺克典氏を交えコメントを頂き調査結果及び調査経過の研究報告会を開催した。

成果及び今後の課題

 今年度の本研究会は、各メンバーが現地へ出向き調査を実施し、ホームページなどでも情報発信、国際セミナーでのポスター報告など成果発信・情報共有の側面においても成果があったと思われる。
 今後の課題は、定期的に研究会を開催できなかったことである。遠方の院生もいるが、次年度は、事前に研究開催日を調整・周知し計画的に研究会を実施することである。また。今年度は、現地への調査を中心に計画を実施したが、メンバー間で関心のある研究者の方などを招聘するかたちでの研究会も取り入れていくことも含め、研究活動を一層邁進して行きたいと考えている。

構成メンバー

  • 有松 玲      
    立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程公共領域・5年
  • イム・ドクヨン   
    立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程公共領域・4年
  • 桐原 尚之     
    立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程公共領域・1年
  • クァク・ジョンナン
    立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程公共領域・4年
  • 権藤 眞由美    
    立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程公共領域・4年
  • 酒井 美和     
    立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程公共領域・4年
  • 佐藤 浩子     
    立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程公共領域・5年
マイノリティ研究会(2012年度)

院生代表者

  • 梁 陽日

教員責任者

  • 天田 城介

企画目的・実施計画

本プロジェクトは、立命館大学グローバルCOEプログラム「『生存学』創成拠点」の院生プロジェクト「地域社会におけるマイノリティの生活/実践の動態と政策的介入の力学に関する社会学研究」(2009年6月~2012年3月)の成果を継承して研究活動を進める。

マイノリティ研究は、マイノリティをめぐる差別・排除の実態、国家・行政や資本による政策・事業の内容や枠組み、「マイノリティ」を規定する知、そして差別・排除に抗う運動・実践、の連関を分析・考察することが求められている。本プロジェクトは、マイノリティをめぐる知が、差別・排除を補完・編成する社会的装置でもあるとの視点から、マイノリティ研究のあり方をメンバーの研究テーマ・フィールドから批判的に問い返す試みを目的とする。

具体的には、①2012年3月に出版した『差異の繋争点――現代の差別を読み解く』(天田城介・村上潔・山本崇記編ハーベスト社 http://www.arsvi.com/b2010/1203aj.htm)の公開合評会を通じ、マイノリティ研究の達成点と課題を明らかにすること。上記をふまえ、②新たな研究課題を設定し、共同研究を更に深めること。以上の2点である。

http://www.arsvi.com/o/m02.htm

活動内容

公開合評会「天田城介・村上潔・山本崇記編『差異の繋争点――現代の差別を読み解く』を読む」(立命館大学大学院先端総合学術研究科主催、マイノリティ研究会共催)の実施

日時:2012年6月5日(火) 18:00~20:30
場所:立命館大学衣笠キャンパス存心館2階705教室
企画概要:

  1. 執筆者による自著解題(目的・問題意識など)
    村上 潔(先端総合学術研究科研究指導助手)
  2. コメンテーターによる書評コメント
    安部 彰(立命館大学衣笠総合研究機構特別招聘准教授)
    安田 智博(先端総合学術研究科一貫制博士課程)
  3. 全体討論

定例研究会の開催

  1. 第28回定例研究会(2012年12月18日(火)15:00~於立命館大学学而館2階201)

    発表者:

    • 梁陽日「夜間中学における教育とその変遷――大阪における取り組みを中心に」
    • 由井秀樹「日本における非配偶者間人工授精に関する歴史的検討――なぜ1948年まではじめられなかったか?」
    • 大野光明「大阪のなかの『沖縄問題』の『発見』――大阪沖縄連帯の会を事例に」
  2. 第29回定例研究会(2013年2月19日(火)15:30~於立命館大学学而館2階 201)

    発表者:

    • 牛若孝治「芸術活動における障碍のある人とない人との関係性――援助者・非援助者を超えて」
    • 梁陽日「若者支援・特別支援教育の陥穽――善意による排除社会補完構造の考察」

成果及び今後の課題

第1に、公開合評会を通じてマイノリティ研究会の成果である『差異の繋争点――現代の差別を読み解く』(天田城介・村上潔・山本崇記編ハーベスト社、2012年3月)の達成点と課題を確認した。特に、マイノリティをめぐる言説、理論、政策的提言が、常に・既に福祉国家論の枠組みに親和的であらざるをえない現実に対し、批判的な距離を取ること、研究と実践を架橋することの必要性が再確認された。本合評会は先端総合学術研究科との共催で実施され、研究会内外の幅広い層からの参加を得るとともに、生存学の核心概念としてのマイノリティ研究のあり方に一石を投じたものと自負している。同時に、マイノリティの生き方の実態を記述するための方法論の構築については、十分に議論が深められなかったため、継続して今後の課題となったことを記しておきたい。

第2の成果は、新たな研究会メンバーを加え、ネットワークを広げられたことである。研究メンバーはアカデミズムの場のみならず、様々なフィールドに対して積極的に参与を行っており、日常的な研究活動を通じて広げてきたネットワークを活用しながら、様々な研究者や実践者が集う多様な場として研究会が運営されてきた。今後も、研究会が持つ多様性を基盤としたダイナミックな場としての意味を問いながら、さらに研究会を維持・発展させていきたい。

構成メンバー

  • 大野 光明 先端総合学術研究科・公共領域
  • 林 徳榮   先端総合学術研究科・公共領域
  • 郭 貞蘭  先端総合学術研究科・公共領域
  • 権藤 真由美 先端総合学術研究科・公共領域
  • 酒井 美和  先端総合学術研究科・公共領域
  • 白杉 眞     先端総合学術研究科・公共領域
  • 西沢 いづみ 先端総合学術研究科・生命領域
  • 矢野 亮    先端総合学術研究科・公共領域
  • 梁 陽日   先端総合学術研究科・公共領域
  • 吉田 幸恵   先端総合学術研究科・公共領域
生命倫理研究会(2012年度)

院生代表者

  • 鍾 宜錚

教員責任者

  • 小泉 義之

企画目的・実施計画

 本研究会は、人の生命(生死)をめぐる問題に関する先行研究を取り上げ、倫理的観点から検討することを目的としている。2012年度は、生命領域院生を中心に2ヶ月に1回のペースで研究会を開催し、参加メンバーの研究課題に沿った文献講読や研究発表を行ない、議論を通して参加者の見識を深め、各々の研究の発展に繋げていく。研究者同士が切磋琢磨できる場を設けて、新たな視点や方法論を展開することに本研究会の存在意義があるといえる。

活動内容

  • 日時、場所:2012年5月25日、16:30-18:00、創思館405
    内容:鍾宜錚「台湾の『安寧緩和医療条例』から捉えた『善い死(善終)』の作法」
  • 日時、場所:2012年6月7日、16:00-18:30、学而館202
    内容:家住裕美子「メチニコフの思想と明治期で日本での受容—死生学前史の試み」
    由井秀樹「不妊治療を経て実子のいない養育里親家族が形成されるプロセスに関する研究:就学前児童を養育する里母の語りから」
  • 日時、場所:2012年8月5日、16:00-18:30、学而館202
    内容:小西真理子「自己紹介に嗜癖する―ギデンズ、フーコーを手掛かりに」
       徳山貴子「宝月理恵『戦後日本における歯科衛生士の専門職化—口腔医療をめぐる支配管轄の変容から―』」
  • 日時、場所:2012年10月23日、15:00-18:00、学而館202
    内容:由井秀樹「配偶子提供、代理懐胎における『子の福祉』—AID出生者の事例から」
       鍾宜錚「現代台湾人の死生観について―『安寧緩和医療条例』の成立を手がかりに」
       家住裕美子「メチニコフの思想とイワン・イリイチの死—死生学前史の試み」
  • 日時、場所:2013年3月14日、14:00-17:00、学而館202
    内容:由井秀樹「日本における人工授精普及過程に関する歴史的検討:生殖の医療化の進展」
       小西真理子「Similarity and Difference between the Ethics of Care and “Amae” —Comparing Men/Women with Western/Japanese Culture—(ケアの倫理と『甘え』の概念の類似性と差異性—男性/女性文化および西欧/日本文化の比較—)」
       鍾宜錚「台湾における終末期医療に関する法改正と現状」

年度総括

 今年度は計5回の研究会を行なった。その内容は主に各自の研究の進捗状況を発表し、議論し、その後の学会発表や論文執筆に有用な視座が与えられた。研究会で他者の発表を聞くことで、参加者も刺激を得ることができた。
 今後も引き続き参加者が相互に刺激を与え合い、各々の研究を進捗させる一つの拠点として研究会を位置づけていきたい。

構成メンバー

  • 鍾宜錚(代表者)
  • 吉田一史美 
  • 由井秀樹 
  • 小西真理子 
  • 徳山貴子
  • 馬場久理子
  • 堀元樹

※本研究科院生のみ記載 

歴史社会学研究会(2012年度)

院生代表者

  • 小出 治都子

教員責任者

  • 天田 城介

企画目的・実施計画

本研究科は学問横断的な研究を旨とするため、さまざまな学問分野に所属する学生が在籍する。そのような場に共通項として現れるのが歴史記述の問題である。歴史をどのように記述するかについては、歴史学のみならず、社会学、人類学、経済学、政治学の分野でも模索されてきた。その中で、歴史社会学と呼ばれる分野は、歴史学と社会学の融合を目指す点で、学際的な研究において歴史記述をどう扱うかという問題の重要な参照点となりうる。本研究会は、歴史社会学の定義の確立や歴史社会学の方法の一般化を目指す研究会ではない。歴史社会学を実践する諸文献を学際的に読み解くことで、そこで示されている歴史記述の手法をどのようにそれぞれの学問分野に応用できるのかを探求することを目的とするものである。日本においては、歴史社会学学会なるものは存在しない。歴史社会学を標榜する本研究会は、そのような現状に一石を投じるという意味で、おおいに意義のあるものといえる。
本研究会は2009年度より、文献の読みこみ、歴史社会学を専門とする研究者の講演の企画、『歴史から現在への学際的アプローチ』(生存学研究センター報告17)の刊行など、様々な活動を展開してきた。本年度は、これまでの研究の集大成として、洛北出版から『体制の歴史』を出版することを目指し、本の構成や各自の論文を検討する研究会の開催を中心に活動を展開した。

活動内容

第1回研究会
日時:5月11日(金)16:00~19:30
場所:創思館416
発表者・タイトル:研究会メンバー全員・『体制の歴史』構想発表

第2回研究会
日時:6月8日(金)16:00~19:30
場所:創思館416
発表者・タイトル:石田智恵、大谷通高、櫻井悟史、佐藤量、中田喜一、渡辺克典・『体制の歴史』草稿検討会

第3回研究会
日時:7月3日(火)13:00~16:00
場所:創思館416
発表者・タイトル:大谷通高、石田智恵、近藤宏、西嶋一泰、中田喜一・『体制の歴史』草稿検討会

第4回研究会
日時:7月13日(金)16:30~19:00
場所:創思館416
発表者・タイトル:角崎洋平、小出治都子、冨田敬大、橋口昌治、松田有紀子・『体制の歴史』草稿検討会

第5回研究会
日時:8月17日(金)10:00~19:00
場所:創思館416
発表者・タイトル:研究会メンバー全員・『体制の歴史』草稿検討会

第6回研究会
日時:9月20日(木)10:00~19:00
場所:立命館大学衣笠キャンパス アカデメイア立命21 3階
発表者・タイトル:研究会メンバー全員・『体制の歴史』草稿検討会

第7回研究会
日時:10月9日(火)10:00~19:00
場所:立命館大学衣笠キャンパス アカデメイア立命21 3階
発表者・タイトル:研究会メンバー全員・『体制の歴史』草稿検討会

第8回研究会
日時:10月31日(水)10:00~19:00
場所:立命館大学衣笠キャンパス アカデメイア立命21 3階
発表者・タイトル:研究会メンバー全員・『体制の歴史』草稿検討会

成果及び今後の課題

成果

天田城介・角崎洋平・櫻井悟史編, 2013,『体制の歴史』洛北出版.【出版予定】
角崎洋平, 2013, 「構想される「生業」への経路――貸付による離陸」天田城介・角崎洋平・櫻井悟史編『体制の歴史』洛北出版.
近藤宏, 2013, 「アポリアを生み出す自主管理――パナマ東部先住民エンベラから見る先住民統治体制」天田城介・角崎洋平・櫻井悟史編『体制の歴史』洛北出版.
松田有紀子, 2013, 「「女の町」の変貌――戦後における京都花街の年季奉公をめぐって」天田城介・角崎洋平・櫻井悟史編『体制の歴史』洛北出版.

今後の課題

 これまでの研究成果を『体制の歴史』としてまとめたので、まずは同書の合評会を開くなどして、批判的検討を行なっていきたい。そこで今後の課題をまとめ、その後、第二弾の本の構想を練っていく。

構成メンバー

  • 大谷通高(公共・2005年度入学)
  • 角崎洋平(公共・2008年度入学)
  • 小出治都子(表象・2006年度入学)
  • 近藤宏(共生・2006年度入学)
  • 中田喜一(公共・2008年度入学)
  • 西嶋一泰(共生・2008年度入学)
  • 松田有紀子(共生・2008年度入学)